効果的なアンケートの作り方|回答率を上げて分析に役立たせるには
効果的なアンケートの作り方|回答率を上げて分析に役立たせるには
アンケートを作成して顧客満足度や社内研修の感想を分析し、改善点を探したり今後の活動に活かしたりしたいと考えている企業や団体は多いでしょう。
しかし、アンケートを作ろうと思っても「アンケートの作り方がわからない」「どんな設問を作ればよいのかわからない」と悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
この記事では、アンケートの基本的な作り方や回答率を上げるポイント、注意点などを解説します。アンケート作成に便利なツールも紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
目次はこちら
- アンケートを実施する際の全体的な流れ
- 回答率が上がるアンケートの作り方
- これをやると正確なデータを収集できない!アンケート作成時の注意点
- 短時間で本格的なアンケートを作成できるツール5選
- アンケートはツールで効率よく作成しよう
アンケートを実施する際の全体的な流れ
アンケートは目的を明確にすることから始まり、質問内容の決定、結果の集計、分析という流れで行います。アンケート前に目的を明確にすることで、必要な情報を得るための準備ができるでしょう。
アンケート内容は、調査対象者に合わせて回答しやすい質問を設置することが大切です。しかし、アンケートは対象者に回答してもらって終わりではありません。実施後の集計や分析によって、はじめて活用できる情報となります。以下では、アンケートを実施する際の全体的な流れを解説します。
アンケートを行う目的を明確にする
アンケートを作成する際には、アンケートを行う目的を明確にすることから始めるとよいでしょう。目的を明確にしていないと、必要な情報を得るための設問が抜けてしまったり、不要な設問を設定したりすることがあるためです。
アンケートの目的をはっきりさせることによって得られる情報が明らかになり、収集したい情報を得るための設問をきちんと組み込めます。設問の内容が本来の目的から逸れるのを防ぐために、アンケートの目的をチームで共有しておくことが大切です。
アンケートを実施する目的を明確にできたら、調査対象者を設定しましょう。ターゲット層を絞り込んで、年齢や性別、職業などの分類から、調査を行う人数まで設定します。
アンケートの内容を決定する
紙やWebといったアンケートの媒体と、選択式か記述式といった設問の形式を決めていきます。アンケートの媒体は紙媒体とWeb媒体、どちらの方が調査対象者にとって回答しやすいのか見極めて選びましょう。
紙媒体は年齢層を問わず幅広く活用できますが、紙や印刷などの費用、収集と分析に手間がかかることがデメリットです。それに対して、Web媒体は収集と分析は容易であるものの、操作面などにおいてハードルがやや高いと感じる方もいるかもしれません。このように、調査対象者とコスト、手間を総合的に考えアンケート媒体を選ぶことが重要です。
設問の形式は選択式と記述式に分けられ、選択式はさらに次の4種類に細分化されます。
①ラジオボタン
ラジオボタンは、「次の選択肢の中から自身の性格に最も当てはまるものを1つ選んでください」というような、選択肢のうち1つを選ぶ形式のことです。
②チェックボックス
チェックボックスは、選択肢から複数を選択するパターンなどを指し、例えば「次の選択肢の中から、自身の性格に当てはまるものをすべて選んでください」といったような設問です。
③5段階評価
5段階評価は、「自身の性格によく当てはまるを5、全く当てはまらないを1として、5段階で評価してください」といったように、5段階で評価する形式です。
④マトリックス
マトリックスは、3~5段階または10段階程度の評価を複数の項目について行うもので、「次に示す各項目について、それぞれよく当てはまるものを5、全く当てはまらないものを1として評価してください」のようになります。
また、「この研修を受けて感じたことを自由に書いてください」のような記述式の設問を設定すると、枠に縛られない幅広い回答が期待できるでしょう。一方、回答するのが手間に感じられたり、抽象的な回答しか得られなかったりするデメリットもあるので注意が必要です。
さまざまな種類の設問形式から、回答しやすく必要な情報を得やすい形式を選択しましょう。
アンケートの集計と分析
アンケートの目的を達成するには、アンケートの実施後にデータの集計と分析を行うことが重要です。集計と分析を行うことでアンケート結果の全体像を把握し、情報の深堀りが可能になるため、より多くの情報を得られます。
近年はアンケート結果の集計と分析ができるツールも充実してきております。集計を行う際は、結果を視覚的に把握しやすいようグラフを用いるとよいでしょう。
グラフの自動生成ツールでは、アンケート結果の内訳がわかりやすい円グラフや、回答数の順位付けができる棒グラフ、推移の把握に効果的な折れ線グラフなどの作成が可能です。
主な集計手法には、全体像の把握を目的とする単純集計、属性ごとの特徴を把握しやすいクロス集計などがあります。分析手法には、物事の発生確率の予測に便利なロジスティック回帰分析、関連性のある情報を抽出するアソシエーション分析などがあり、目的に応じた手法の選択が必要です。
最近は分析にAIを用いることもあり、さらに高精度な分析が期待できます。効率的かつ正確に情報を把握するなら、アンケート結果の集積・分析ツールを導入するのもおすすめです。
回答率が上がるアンケートの作り方
回答率が上がるアンケートを実施するためのポイントは、回答のハードルを下げることと、回答のモチベーションを上げることです。回答のハードルとは具体的にいうと、回答にかかる時間や回答の手間が挙げられます。手間を理由に回答してもらえない事態を防ぐため、アンケートを見た回答者に「すぐに終わる」「簡単」という印象を与えることが有効です。
また、回答することでプレゼントを提供するといった、インセンティブの設定も回答率に貢献するのではないでしょうか。
回答しやすい設問を心掛ける
アンケートの回答率を上げるためには、回答しやすい設問を心掛けることが重要です。例えば、1つ目の設問の形式は記述式よりも選択式の方が、回答のハードルは下がるでしょう。
また、設問の文章の長さも大切です。できるだけ文章は短く端的に記述することで、回答者が質問内容を理解しやすくなり、スムーズに回答を続けられます。
逆に文章が長く難解に感じると、回答者が途中でアンケートの回答をやめてしまうこともあるかもしれません。年齢層に合わせた文体や、言葉の選択を意識してみましょう。
回答者に「時間がかかりそうだな」と思わせない
回答者に「時間がかかりそうだ」と感じさせないのも、回答率を上げるコツです。例えば、アンケートの冒頭に目安時間を記載しておくと効果的でしょう。3分や5分などといった所要時間を数字にし具体的に認識してもらうことで、回答に要する手間をはっきりとイメージすることができ、回答のハードルが下がります。
また、視覚的に認識しづらい漢字や専門用語の多用は、アンケートの回答途中での離脱につながります。回答者に「難しそう」と思わせないような設問とすることも、回答率を上げるポイントです。
アンケート回答のお礼を設定する
アンケートの回答に対して景品のようなお礼があると、回答率の向上が期待できるでしょう。お礼は調査対象者に見合った食品や商品券、自社ブランドの製品などを設定するのがポイントです。お礼に抽選方式を採用すると、名前や住所といった個人情報も記入してもらいやすくなります。
ただし、マイナスな印象につながる回答は避けられてしまう可能性があるため、「回答内容は抽選には影響ありません」などと明記し、できるだけ正確なアンケート結果を集めるようにしましょう。
これをやると正確なデータを収集できない!アンケート作成時の注意点
アンケートは次に示す事項に注意して作成しないと、正確な情報が得られません。
・ 回答を誘導するような質問文は避ける
・ 1つの質問文で2つ以上のことを聞かない
・ 個人情報の取扱いについて明記する
先入観を与えないこと、一問一答形式とすることが効果的なアンケートを作成するポイントです。また、個人情報の取扱いに敏感な人が増えているので、取扱いの明記を必ず行いましょう。
回答を誘導するような質問文
回答者へ先入観を与える質問文は、回答が偏ってしまう原因となります。例えば「売れている」「おいしいと評判」といった情報が質問文に記載されていると、回答者は無意識のうちにプラスの印象を持ってしまい、よい方向に回答が偏ってしまう可能性があります。
回答に偏りが生じると、アンケートの有効性が薄らいでしまうため、回答を誘導するような質問文にならないよう注意が必要です。
1つの質問文で、2つ以上のことを聞いている
1つの質問文に複数の質問内容が含まれていると回答者の混乱を招いてしまい、正確な回答を得られなくなる可能性があります。例えば、「この芳香剤の使い勝手や香りはいかがでしたか?」という質問では、回答者は使い勝手と香りのどちらについて答えればよいのか混乱してしまいます。
「この芳香剤の使い勝手はいかがでしたか?」「この芳香剤の香りはいかがでしたか?」といったように、1つの質問文における質問項目は1つに絞るようにしましょう。
個人情報の取扱いについて明記していない
個人情報の取り扱いについて明記していないと、アンケートそのものに対する不安や不信感を回答者に与えてしまう可能性があります。特に現在は個人情報の開示に抵抗を感じる人が増えており、セールスで自宅に訪問されたり他の業者へ情報が渡ったりすることを疑う人もいるでしょう。
アンケートに回答することへの抵抗感を払拭するため、個人情報の取扱いについて明記することが必要です。
短時間で本格的なアンケートを作成できるツール5選
アンケートを作成するには、一定の時間と労力を費やすことが必要です。通常の業務と並行して作業する場合や、人手が足りないときは、ツールを利用するのがおすすめです。以下では、短時間で本格的なアンケートを作れるツールを5つ紹介します。
Googleフォーム
無料で利用できるGoogleフォームは、手軽にアンケートを行うのに便利なツールです。Googleアカウントがあれば利用できるので、導入のハードルが低く、すでに多くの企業でアンケートツールとして利用されています。
自由にアンケートを作成できるだけでなく、受講者、顧客といったアンケート対象者ごとに適したフォーマットが用意されているので、作成効率も高められるでしょう。
設問に画像や動画を挿入する機能も付いており、文字だけでは伝わりにくい情報まで正確に伝えやすいのが魅力です。また、質問数の制限がない点もメリットといえるでしょう。一方で、同じ端末による回答を除外できないため、同一人物が複数回アンケートに回答してしまい、アンケート結果が偏ってしまう可能性もある点はデメリットです。
formrun(フォームラン)
formrunは、多様なアンケートフォームが作成できるツールです。質問文を入力するだけで、手軽にアンケートを作成できるテンプレートも用意されています。
作成したアンケートは、iframeやHTML、CSSを用いてホームページなどへ自由に埋め込むことが可能です。
また、メールだけでなく、ChatworkやSlackなどのチャットサービスへアンケートを通知し、共有できる便利な機能も用意されています。
プランは無料と有料の2種類あり、無料プランだと、スプレッドシートとの連携やCSVエクスポートが利用できず、作成できるフォームの数は1つだけですが、質問数の制限はありません。簡単なアンケートを作成したり、お試しで導入したりするのにおすすめです。
SuguForm(スグフォーム)
SuguFormは無料プランでありながら、作成できるフォーム数と質問数が制限なしに利用可能であるアンケート作成ツールです。
アンケートの作成画面はシンプルなため、初めてアンケートを作る人でも扱いやすい仕様です。質問登録するだけでアンケートが作成でき、項目の並び替えや色の変更など、デザインを整えることも可能です。
無料プランでは広告が表示される仕様ですが、有料プランに契約すると非表示にできるので、回答率の向上が期待できます。
NTTコム リサーチ
NTTコム リサーチは、初期費用と月額料金の両方が必要なサービスです。アンケートを作成できるだけでなく、専門スタッフによる充実したサポートを受けられることがメリットです。特に、収集したい情報を集めるための項目設定の代行サービスを行っているので、アンケートで成果を挙げやすいでしょう。
アンケートフォームと設問は、無制限で作成することが可能です。SMSやアプリによる配信もできるため、より多くの人に回答してもらえます。
アンケートの集計機能を備えていたり、アンケートURLによって個人の特定が可能な半匿名アンケートを作成できたりと、実用性も高いといえるでしょう。
learningBOX(ラーニングボックス)
弊社のlearningBOXは、社内研修や教育を行えるサービスです。受講者へのアンケート機能も備えており、eラーニングの導入を検討している企業や団体に向いています。eラーニングコンテンツごとに受講したメンバーへのアンケートが簡単にとれるため、理解度を確認したり今後のコンテンツ作成の参考にしたりできます。
無料のフリープランでは10アカウントまでご利用いただくことができ、1教材30MBまでのコンテンツを作成することが可能です。10アカウントを超える場合は、有料プランの利用をおすすめします。100アカウントまでは初期費用が掛からず年間33,000円から使えるため、比較的規模の大きい企業も導入しやすいサービスです。
アンケートはツールで効率よく作成しよう
アンケートを作成する上で最も重要なポイントは、目的を明確にすることです。目的がはっきりしていないと、必要な情報を引き出すために必要な設問が抜けてしまう可能性があるためです。
アンケートで正しい情報を得るための注意点は、先入観を与えるような情報の記述を避けることです。無意識のうちにイメージが定着すると、回答が偏ってしまい、正確なデータを収集できません。
アンケートを回収した後は、きちんと集計・分析をして今後に活かせるデータへ昇華することが重要です。アンケートの作成から集計、分析を自力で行うには多くの労力と時間が必要となるので、アンケート作成ツールを積極的に活用しましょう。
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