運送業の法定研修をeラーニングで効果的に、需要増の外国人材雇用対応も

公開日:

  • コンテンツ販売(B to B)
  • 社員研修(研修管理)

公開日:

出口 皓士 様(写真左)出口 達也 様(写真右)

課題・導入理由
  • 外国人ドライバーを含めた社員教育を対面とeラーニングで効果的に実施したい
  • 運送業の法定12項目研修教材を販売するためeラーニング形式にする必要があった
  • お客さまの声を受けて研修内容を改良したいので自由度の高いシステムが希望だった
  • ITに詳しくないスタッフでも簡単に操作できる、分かりやすいUIが希望だった
arrow
解決策・効果
  • eラーニングで効率的に研修を進める分、対面教育の時間がしっかり確保できている
  • learningBOXを活用し、トラックドライバー研修専門eラーニングを開始した
  • learningBOXは機能も多く、今後のコンテンツ拡大にも柔軟に対応できる
  • 社内外でeラーニング研修を実施しており、円滑に管理や受講ができている

「日豊高速運輸株式会社」は、物流のプロフェッショナル集団として約50年間にわたって愛知県内の自動車部品輸送を担っています。従業員の安全意識を高めるために、50年間一貫して社内教育に力を入れ、安心安全な運送を心掛けている同社。独自のノウハウを詰め込んだ教材が話題となり、learningBOXを導入してトラックドライバー研修専門eラーニングのサービスを開始しました。インタビューでは、サービス開始の背景や、導入のポイント、得られた効果、さらに需要が高まる外国人材向けの多言語対応についても語っていただきました。

facebookでShare
XでPostする

自由度の高さ、分かりやすいUI、低コスト、要望が全てかなうシステム

まずは、御社の事業内容とご担当者さまの業務内容をお伺いできますでしょうか?

出口達也様:弊社の基幹事業は、自動車部品の輸送です。愛知県刈谷市に本社を置き、刈谷市と豊田市の2つの営業所で、自動車部品を運ぶ業務を行っています。自動車は約3万点の部品で形成されており、サプライヤーといわれる部品を製造する会社が愛知県内に点在しています。各サプライヤーから自動車組み立て工場に大型トラックでさまざまな部品を定期輸送をしています。

また、倉庫の運営も行っており、サプライヤーの製品を工場に納品する前の在庫として保管しています。現在は、130名の社員が在籍しており、協力会社や委託業者のスタッフも含めると、約200名で業務を行っています。

出口皓士様:私は、トラックドライバー研修専門eラーニング「eDriver(読み:イードライバー)」を運営するための関連会社「株式会社エヌ・ピー・ロジ」に所属しており、「eDriver」の開発、コンテンツ作成、営業、広報などを担当しています。

eラーニングシステムが必要となった背景についてお聞かせください。

出口皓士様:愛知県は東京都の次に在留外国人数が多い県です。その中でも国籍別に見ると、ブラジルが最も多くなっています(※1)。弊社でもスタッフ約200名のうち、35名が外国人ドライバーで、そのうちの30名がブラジル人スタッフです。

弊社では「安全研修センター」を設置し、専任の指導スタッフが日本人ドライバーや外国人ドライバーに対して、対面で指導を行っています。安全教育としての効果を高めるために、研修の質にこだわっているのですが、毎回新入スタッフに同じ内容を説明する部分もあるので、効率化できる部分では動画制作を開始し、AI音声を活用するなど、改良を重ねていました。

新入スタッフだけでなく、全ドライバーが必ず受けなければならない運送業の法定12項目(「貨物自動車運送事業者が事業用自動車の運転者に対して行う指導および監督の指針」<国土交通省告示第千三百六十六号>に記されている)(※2)についての研修もあります。指導スタッフが、これに関しても自社で動画教材を開発していたのですが、それが同業者間で話題となり「販売してほしい」という声をいただいていました。

以前から、法定12項目研修に関する苦労や課題については、他の事業者さまからも伺っていました。そこで、弊社では動画教材のデザインや構成を一新し、eラーニング研修として外販可能な形に整え、新たな事業として立ち上げることを決めました。

(※1)参考資料:
■ 出入国在留管理庁,「令和6年6月末現在における在留外国人数についてicon
■ 愛知県,「愛知県内の市町村における外国人住民数の状況icon

(※2)参考資料:
■ 国土交通省,「貨物自動車運送事業者が事業用自動車の運転者に対して行う指導及び監督の指針icon

learningBOXを最初にお知りになったきっかけ、導入の決め手について教えていただけますでしょうか?

出口皓士様:システムを一から開発するのはとても大変なので、eラーニングのプラットフォームを探していました。「eラーニング」や「プラットフォーム」などのキーワードで検索して、上位に表示されたのがlearningBOXでした。
 
問い合わせをして、導入前の段階から、御社の営業担当の方にいろいろと相談をさせていただいていました。コンテンツを外販するにあたって、お客さまの声をいただいて、どんどん研修内容の改良を重ねていくという想定があったため、システムとして自由度が高いものが必要であると考えていました。

いくつか見た中で、learningBOXが最も弊社のやりたいことが実現できそうだと思いました。業界的にもITに詳しい人が多くはないと感じていたため、見やすく操作しやすいUIも必須でした。さらに利用料金も想定していたよりも大幅に安かったという点も良かったです。

learningBOXの導入から運用開始までで苦労されたことはありますか?使いやすい点、改善してほしい点もあればお聞かせください。

出口皓士様:操作自体は簡単であると感じていましたが、learningBOXでどのようなことが実現可能であるかについては、かなり勉強しました。機能がとても充実しているので、たくさんの選択肢があり、どの機能をどう使って組み立てていくかなど、悩むことがありました。

使いやすい点としては、直感的に操作ができること、ノーコード(ソースコードを書かない開発)で作成できる点ですね。とても楽だなと感じました。

改善できたらと思うのは「成績管理icon」の画面で、弊社では活用しない機能を非表示にできれば、さらに見やすくなるかなと思います。

ありがとうございます。社内でも検討させていただきますね。導入検討段階から伴走させていただいている、learningBOXの営業・サポートの対応はいかがでしょうか?

出口皓士様:導入前から2度~3度くらいご相談していたのですが、良い意味で営業ならではの「売ろう」という押しの強さを感じなかったですね。寄り添った対応、ご提案をしてくださるので、とても相談しやすかったです。

コンテンツを外販するにあたって「EC」オプションの契約が必須だと思っていたのですが、手数料に対する懸念があり迷っていました。ご相談したところ、「EC」オプションは、決済機能を持たせるためのものなので、請求書等での手続きで販売可能であれば、必須ではないと教えていただきました。ここまで正直に教えていただいたというのが、私の中では驚きでした。お客さま目線に立って、どのように運用するのがベストかをご提案いただけるなど、非常に信頼できると感じています。

受講から履歴管理まで全てシステム上で完結、毎年の法定12項目研修を楽に

トラックドライバー研修専門eラーニング「eDriver」の概要についてお聞かせください。

出口達也様:「貨物自動車運送事業者が事業用自動車の運転者に対して行う指導および監督の指針」に記された、法定12項目に特化したプログラムになっています。現在、日本語とポルトガル語に対応しています。

また、法定12項目に関する教育を実施した記録について、3年間保存しなければならないと定められており、受講履歴の確認はもちろん、出力も可能となっています。(CSV出力icon

出口皓士様:パソコンだけではなく、タブレット端末やスマートフォンでも、いつでもどこでも受講が可能なのが、eラーニングの利点です。

サービス内容につきましては、開発段階において弊社ドライバーはもちろん、同業他社へのヒアリングも重ね、現場目線で本当に必要な内容を厳選して盛り込んでいます。“運送会社がユーザー目線で開発した”ということをセールスポイントの一つにしているので、今後も同業者の意見を積極的にサービスに取り入れたいと思っています。

出口達也様:法定12項目については、1年間かけて必ず全てを受講する必要があるため、スケジュール管理が非常に重要です。月に1項目ずつ進めたり、3カ月ごとにまとめて3項目進めたりするなど、受講のペースは自由ですが、受講率は必ず100%にする必要があります。

そのため未受講者がいる場合、管理者は繰り返し未受講者に声を掛け、確実に受講してもらう必要があります。これが現場では大きな負担なのですが、learningBOXの「メール通知機能icon」を使うことによって受講のリマインドが可能になって、大幅に手間を削減できます。口頭で伝えるよりも、メールで確実に届いて画面上で内容を確認できるので、ドライバーもスムーズに受講してくれますね。

「eDriver」の名前の由来についてお伺いできますでしょうか?

出口皓士様:コンセプトは「easyな研修を、eラーニングで、e(良い)ドライバーに!」なのですが、管理者・受講者の研修の負担を軽くして、研修をイージーに、eラーニングでいつでもどこでも受講できて、質の高い、良い(e)ドライバーに、という思いを込めて、「e」をキーワードに考えました。

また「eDriver」は、管理者とドライバー(受講者)の双方にとって「e(良い)」研修だと感じてもらい、双方が導入して良かったと思っていただけるサービスを目指しています。そのため、ロゴについては、2つの視点からの「e(良い)」を並べたデザインにしました。運送業界に明るい未来への道標を示し、業界が永続的に発展していくことを願い、「e」の真ん中の線を一本道に見立て、さらに「∞(無限)」の要素も取り入れています。

「eDriver」のコンテンツには、キャラクターが登場していて、一緒に学ぶ感覚でとても分かりやすいと感じました。

出口皓士様:実はキャラクターはこだわりポイントの一つなので、注目していただいてとてもうれしいです。「eDriver」では、楽しさと分かりやすさを重視しているので、イラストの量を増やし、難しい言葉は例え話等を用いて噛み砕くなど、工夫を凝らしました。ナレーション口調や文字量の多いコンテンツだと、受講側は退屈してしまいますし、それでは安全教育として効果が得られないからです。

コンテンツ内の動画も私が制作しているのですが、今後はもう少しアニメーションなども取り入れて、さらに楽しく学習効果を高められるようにバージョンアップしていきたいと考えています。

「eDriver」内の教材の一部

「eDriver」の販売経路についてお伺いできますでしょうか?

出口皓士様:リリースして最初の数カ月は、知名度を上げるための広報活動を積極的に行いました。SNSでの発信や業界新聞などのメディアへの露出によって、少しずつアクセス数やお問い合わせが増えてきました。最近は勉強会やセミナーに呼んでいただくことも多くなり、そこでPR活動を行っています。

出口達也様:ありがたいことに、販売パートナーとして協力いただいている企業さまも増えてきました。運送業界向けのITサービスは複数あるのですが、その提供先とも連携し、付加価値を付けることでお互いの商品力を高めたいとも考えています。開発に関する業務提携やコラボレーションなどの施策も多数動いている段階です。

「eDriver」の対応言語について、現在の日本語、ポルトガル語対応からさらに増やす予定と伺いました。

出口皓士様:そうですね。先ほども申したように、愛知県内のブラジル人が6万人以上と非常に多く(※1 参照)、弊社でもブラジル人スタッフが多いこともあり、日本語とポルトガル語対応だけなのですが、今は英語対応を自社で進めています。

さらに、外国人材の派遣会社や人材育成会社などとも連携して、インドネシア語、ミャンマー語、ネパール語への対応を進めています。翻訳に関しては、誤訳(特に専門用語の誤訳)を防ぐために、AI等に頼るのではなく業界経験のあるネイティブスピーカー(母語話者)の方と共同で作業を行っています。

2024年3月、特定技能対象分野に「自動車運送業分野(トラック・バス・タクシーを合わせた分野)」が追加されることが決定し、政府は、2024年度からの向こう5年間で2万4,500人の外国人ドライバーを受け入れることを想定しており(※3)、東南アジアの言語を中心に、その需要の高まりが見込まれます。

インドネシアでは、車道が日本と同じ左側通行、右ハンドルであるなどの点が挙げられます。さらに、2019年4月に特定技能制度が創設されて以降、特定技能外国人として働くインドネシア人、ミャンマー人、ネパール人が急増しており、今後も特定技能外国人として来日する人々は増えると見込まれています(※4)。

将来的には、人材の確保から入社後の教育までを「eDriver」で一環して行えるような仕組みを整えたいと思っています。

(※3)参考資料:
■ 出入国在留管理庁,「特定技能制度の受入れ見込数の再設定(令和6年3月29日閣議決定)icon

(※4)参考資料:
■ 出入国在留管理庁,「在留外国人統計(旧登録外国人統計)統計表icon
令和6年6月末現在における在留外国人数についてicon

ありがとうございます。learningBOX上での表示言語も18カ国語に対応しており、各ユーザーの方が選択できるようになっていますのでぜひご活用くださいね。
「eDriver」は、販売に先駆けて、社内でも法定12項目の研修に活用されているそうですが、社内の反応はいかがでしょうか?

出口達也様:当初からスムーズに研修が実施できたわけではありませんでした。というのも、操作は難しくはないのですが、スタートするにあたっての管理者から受講者への概要の説明や登録の手間など、管理者の負担は多少ありました。それらの業務が完了してからは、スムーズに研修運営が進むようになりました。ドライバーの受講も円滑にできています。

2024年4月から運送業では、年間残業時間上限960時間の規制が設けられています。土曜日や日曜日など、営業日以外の日に集合研修のためだけに出社してもらっていては残業時間が増えてしまいます。eラーニングを実施することにより、休日出勤が減ったので、会社にとっても、ドライバーにとってもメリットが生じていると思います。

eラーニングの導入で、研修のための休日出勤や管理工数も削減できた

learningBOX導入で、どのような効果が得られていますか?

出口達也様:いつでもどこでも受講できる、という点で多くのスタッフが便利だと感じているようです。法定研修ですので、必ず受講して、さらに受講履歴を残しておく必要があるため、効率の良い研修運営ができていると感じています。

「eDriver」は2024年の7月にスタートしたところですので、事故率減少などの効果は、まだ現段階では難しいところではありますが、今後追っていきたいです。先ほども申しましたが、研修受講のための休日出勤が少なくなったことで、コスト削減につながっています。休日出勤手当を支払うことを考えると、「eDriver」の開発費用がかかっていても、十分コストは抑えられています。

法定12項目以外の研修は、対面でしか実施できない研修もありますので、従来であれば、1年を通じて、月に1回・土曜日に半日(4時間)集合研修を実施していたのが、半分ほどに出勤が減りました。半分なので1年で6回×4時間分のドライバー・管理スタッフの休日出勤手当や、さらに管理にかかる工数も削減できていますね。

出口皓士様:お客さまの事例ですが、法定12項目研修のために、年に3回、1回1時間を休日出勤で対応されている運送業者さまでは、eラーニングの導入により休日出勤が全てなくなったそうです。休日出勤手当や研修管理の工数も削減できて、研修自体もスムーズに進んでいるとのことで喜ばれています。

learningBOX導入によって、時間やコストなどを削減できたことで、どのような影響がありますか?

出口達也様:研修の質が向上しました。運送会社の研修には、座学(法定12項目)だけでなく、運転技術に関する実技研修や、現場ルールに関する研修など、内容は多岐にわたります。しかしながら、研修に割ける時間は限られているため、短時間で現場での即戦力となるレベルまで育成する必要があります。

そこで、eラーニングで効率化できる部分は効率化を進め、実技研修の時間をしっかり確保することで、従来と同じ研修時間でも、より密度の濃い内容にすることができました。eラーニングは「効率化」や「時間短縮」などのキーワードが先走りがちですが、研修時間を適切な形に割り当て、学習効果を高めることができる点が、eラーニング導入の本質的なメリットであると思っています。

今後の展望についてお聞かせください。

出口皓士様:「eDriver」のコンテンツをさらに拡大したいと考えています。法定12項目の研修を多言語対応することにより、外国人材の教育も「eDriver」でしっかりと実施できるようにします。

さらに法定12項目に限らず、道路交通法などのお役立ちコンテンツや、実際のドライブレコーダー映像を使った安全啓発コンテンツなども充実させていく予定です。

また、リリース以降お客さまからの要望が多かったのが、フォークリフトに関する教育講座です。弊社としてもフォークリフトの教育に力を入れているので、教育用の機材を新たに購入し、社内の研修施設を活用しながら開発を進めています。

learningBOXの導入を検討中の方にメッセージをいただけますか?

出口皓士様:ITに詳しくなくても使いやすいというのが、learningBOXの大きなメリットだと思います。運送業界だけでなく、人手不足は他の業界でも深刻化していますよね。未経験者や外国人材を雇用するとなると、教育の重要性は非常に高まると思いますので、そのような際に、eラーニングシステムはとても役に立ちます。ご自身でeラーニング研修の仕組みや中身を作ることに自信がない人ほど、learningBOXを検討されると良いかもしれません。

インタビューにお応えいただき、
ありがとうございました!

facebookでShare
XでPostする
learningBOXをもっと知りたい方へ