「スポハラをゼロに」学びで変えるスポーツの未来|“明日なくなればいい団体”の使命
スポーツ界のハラスメント防止に取り組み、検定制度の運営や講演会・セミナー事業を通じてスポーツ界の構造変革を目指す「スポーツハラスメントZERO協会」。同協会は2024年よりlearningBOXを導入し、検定事業に活用しています。受講者に知識と気づきを届ける「スポーツハラスメント検定」は2024年11月に初級が始まり、今後は上級へと展開予定です。さらに「セーフガーディング検定」(※1)も2025年9月より開始しています。今回は理事の方々に、協会発足の経緯から導入の背景、システムの使用感、今後の展望に至るまで、余すことなく語っていただきました。
- 検定事業を展開するためにeラーニングシステムが必須だった。しかし、システム構築などは皆が専門外で、ノウハウもなかった
- 外部にシステム構築を依頼するのも、資金面やスケジュールの問題で難しかった
- サイト運営経験もなく、道筋が見えない、まさにゼロからの挑戦だった
- 短期間でlearningBOXを導入。コスパも高く、検定事業を迅速に開始できた
- 使いやすいUIで、専門知識がなくても問題なく使えている。サポート体制にも満足
- メール送信や合格通知もシステム内で完結。少人数の事務局でも効率的に運営できている。learningBOXを活用した新たな事業もスタート予定
- クラウド型ならではの、導入までのスピード感
- 低価格な利用料で、決済機能も利用分だけの請求であること
- オプション機能により、柔軟にデザインを変更できること
- 営業担当者の丁寧で迅速なサポート体制
※1 セーフガーディングとは、子どもや弱い立場にある人々をあらゆる危害や虐待から守り、安心・安全な環境をつくるための組織的な取り組みのこと
協会が展開する3つの事業、3つの活動指針
まずは、御協会の概要と、ご担当さまの業務内容について教えてください。
小亀様:「スポーツハラスメントZERO協会」の目的は、「ハラスメントのないスポーツ環境をつくること」です。
主な事業は3つあります。第1に「検定事業」、第2に、理事や専門家が各地で行う「講演・セミナー」があります。そして、第3は懲戒処分を受けた方を支援する「復帰支援プログラム」です。
私自身は、2024年4月まではサッカー「Jリーグ」にて、24年間勤務しておりました。その経験を生かして、理事・事務局長として全体統括や営業、他団体との調整を担っています。
多羅様:私は、理事として意思決定に関わりながら、検定テキストの編集やSNS運営を担当しています。スポーツジャーナリストとしての視点から、情報発信も行っています。
御協会発足の背景と、根幹となる考え方についてお聞かせいただけますでしょうか。
多羅様: 2013年の「暴力行為根絶宣言」(※2)後も、スポーツの現場からハラスメントは消えていません。2021年、法学者の谷口真由美が中心となって、スポーツハラスメントの根本解決に向けた活動を開始し、2024年3月に一般社団法人化しました。
谷口は、スポーツに造詣が深く、日本ラグビーフットボール協会理事を務めた経験もあり、人権やジェンダー法の専門家でもあります。
小亀様:コンセプトを 「明日なくなればいい団体」としています。ハラスメントがなくなれば協会の存在意義はなくなるため、スポーツハラスメントがなくなったと思える未来に、団体を解散することを宣言してスタートしました。
活動指針は「裁かない」「誰もが被害者にも加害者にもなり得る」「居場所になりたい」の3つです。人を断罪するのではなく、行為と構造に向き合い、学びの“居場所”をつくることを重視しています。
※2 参考:JSPO日本スポーツ協会「スポーツ界における暴力行為根絶宣言」
https://www.japan-sports.or.jp/spohara/declaration/
啓発活動に限界を感じ、体系的に学ぶ「検定」を開始
展開されている「検定事業」について詳しく教えてください。
小亀様: 「スポーツハラスメント検定」を中心に展開しています。人権理解やハラスメントについて体系的に学ぶことを目的に、2024年11月から初級をスタートしました。
なぜ「検定」という形を選ばれたのか、その理由をお聞かせください。
小亀様: 私どもは「人は学習によって言動を身に付ける」と考えています。体罰を容認する指導者も、そのような価値観についてどこかで経験して、学んできたのかもしれません。だからこそ、新しい学びで上書きする「学び直し」が必要だと考え、「スポーツハラスメント検定」という形にしました。
多羅様: これまでスポーツ界のハラスメント対策は、講演やポスター掲示が中心でしたが、それだけでは十分とは言えない現状がありました。検定にすることで学びを継続でき、資格を通じて責任感も育まれます。「上級」の修了者は、協会認定講師として活動できるような仕組みも検討しており、アスリートのセカンドキャリア支援にもつなげていきたいと考えています。
コンテンツを作成される上で、どのようなことを大切にされていますか?
多羅様:協会の3つの活動指針から逆算して構成された、提案型の内容にしています。「〜すべき」と断定するのではなく、「やってみませんか」と学びを促す姿勢で作っています。
「スポーツハラスメント検定」初級の全6章のうち、3章はケーススタディで、理事(カタカナ表記)が加害者として登場します。これは「誰もが加害者になりうる」という視点を反映しています。
インプットとアウトプットを交互に配置し、受講者が自分と向き合いながら学び続けられる構成にしています。

eラーニング導入は必然。しかし直面した、技術と資金の壁
eラーニングシステムの導入が必要になった背景と、その際に直面した課題について教えてください。
小亀様: 学習によってスポーツハラスメントの根本解決を図ろうとする私たちにとって、学びの場を広く提供できるeラーニングシステムは欠かせないものでした。
当初は、エンジニアの方にオリジナルの検定システムを構築してもらおうとしたのですが、現実的には難しいと分かりました。
そこで、すでに検定システムとして提供されているサービスを探し始めました。
どのようなプロセスでサービスを検討されましたか?
小亀様: 検討段階で6社ほどピックアップして、サービス内容を比較表にまとめました。それを理事会で議論し、最終的に3社に絞り込んでミーティングを行いました。
多羅様:御社の営業担当の方とやり取りを始めたのが、2024年の秋頃です。他では導入開始が翌年になるという話もあった中で、2カ月〜3カ月という短期間でlearningBOXの導入を完了できました。
コスパが高いからこそ、無理せず続けられる
数あるサービスの中から、最終的にlearningBOXを選んだ決め手は何だったのでしょうか?
小亀様: まずは費用面です。圧倒的にローコストでしたし、何より決済機能(有料オプション「EC」)において、検定受講者(システム利用者)の利用分だけに請求が発生するという形態をとっていたのはlearningBOXさんだけでした。
理事同士で「本当にありがたいね」「まさに神だね」と話しているくらいです(笑)。
多羅様:私たちは“想い”を原動力に活動しており、大企業などからの資金援助も一切ありません。これまでクラウドファンディングのお誘いも数多くありましたが、それは「本当に困窮している人のためにあるべき」と考え、お断りしてきました。
だからこそ、learningBOXさんの存在がなければ、この活動は続けてこられなかった、と心から感じています。
ありがとうございます。大変うれしく思います。コスト面のほかに、魅力を感じた点があれば教えてください。
小亀様:有料オプションの 「カスタマイズ」で、本検定の専用ページのようにデザインできる点も非常に魅力的でした。協会のビジョンや世界観を表現できるのは大きな満足ポイントです。
また、導入にあたって「何を大事にするか」を理事メンバーで相談し、長いお付き合いになるので“人柄”を重視しようということになりました。御社の営業担当の方が非常に丁寧で、真摯に対応してくださり、不安を和らげてくれました。「この方が担当なら安心してやっていけるのでは」という理事の総意もあって、導入を決めました。
初心者でも迷わない「分かりやすい操作」がポイント
現在はどのような形でlearningBOXを活用されているのでしょうか?
小亀様: 現在は、先述の検定事業のみで利用しています。2024年11月から「スポーツハラスメント検定」初級を運用しており、2026年には中級、2027年以降には上級の開始を予定しています。
さらに、2025年秋からは「セーフガーディング検定」もスタートしました。これは、子どもに関わる個人や組織が、スポーツ現場における子どもの「からだ」「こころ」「権利」を守り、人権の感度を高めることにより、子どもが安心・安全に活動できる環境を整えるための知識を習得することを目的としています。
「スポーツハラスメント検定」初級では、人権について学びますが、その初級合格者のみが、「セーフガーディング検定」の受講資格を得ることができます。

どのような方が検定を受けられていますか?
多羅様: 最も多いのは「スポーツ指導者」の方々です。そのほかにも「スポーツ団体関係者」「教育関係者」「元アスリート」が続きますね。
最近は「メディア関係者」や「保護者」の方にも広がってきています。キャリア形成にも大きく影響する事柄ですので、これから社会に出る学生さんたちにも、ぜひ受けてほしいです。
小亀様:今後は「団体受験」を増やしていきたいですね。広報活動に課題があり、もっと認知を拡大しないといけないと思っています。
learningBOXを実際に使ってみて、使いやすい点・便利だと思う点について教えてください。
多羅様: まずは「サイト運営初心者でも、検定をきちんと運営できている」ということ自体に驚いています。そのくらい使いやすくて、分かりやすいサイト設計に助けられています。
小亀様: 私は、検定を受けた後に、さらに学びを深めるためのコンテンツを見るなど「コース」として設計できる機能が、すごく魅力的だと思っています。運営の幅が広がりました。
learningBOXの営業やサポート対応についてはいかがでしょうか?
小亀様: 素晴らしいの一言です。営業担当の方はもちろん、その後のサポートの方もとても丁寧に対応してくださいました。メールでの説明も画像付きで分かりやすく、トラブルがあっても即日で解決できたこともありました。
少人数事務局でも、効率的な運営を実現できている
learningBOX導入後、どのような効果が得られましたか?
小亀様:コスト面では、導入を最後まで検討していた他システムと比較すると、learningBOXを選んだことで、2024年11月の検定開始から累計で、約40万円の削減につながったと試算しています。
多羅様:業務効率もだいぶ改善しましたね。以前はメールの一斉送信や合格通知を出すのに、別のメーリングサービスを契約していましたが、現在はlearningBOX内で完結できます(お知らせ管理)。これだけでも相当な時間短縮につながっていて、事務局の人数も少ないため、とても助かっています。
実際に検定を受講された方からは、どのような声が寄せられていますか?
小亀様: 「人権について学び直すことができた」「学びの機会をいただき感謝しています」といったお声をたくさんいただいています。
一般企業とのハラスメントとは違い、スポーツ界では組織の風土や空気感というものに大きく影響されます。一般企業では一発でアウトなことが、スポーツ界では許容されている現状があります。選手自身も強くなるためには耐えないと、と思ってしまっている部分もあるんですね。
このような意識を変えて、行動変容を伴うところまで持っていくことが必要です。
多羅様:受講者の方にアンケートをとっていますが、強い想いを持って受験されている方が多いですね。実際にスポーツハラスメントの被害に遭われた方もおられます。今後は、ジャーナリストとして、受講者の方々の背景や受講後の様子に迫るインタビューを実施したいと思っています。
learningBOXと共に学びを広げ“スポハラZERO”へ
今後の展望についてお聞かせください。
小亀様: 現在は「日本バドミントン協会」と業務提携を進めていますが、今後は他の競技団体にも広げていきたいと考えています。引き続きlearningBOXを活用しながら、より多くの方に学びの場を届けていきたいです。
最近、御社の営業担当の方に、新事業についてのご相談をしました。実際の指導現場の動画を提出してもらい、協会としてフィードバックをする取り組みをしたい、と動き初めています。
「ハラスメントをなくさないといけない、とは思っているけれど…」というところから、次の一歩を踏み出していただくために、私たちのやるべきことは、まだまだたくさんあります。
この展望を踏まえて、learningBOXに今後どのようなことを期待されていますか?
小亀様: 私たちのように潤沢な資金を持たない小規模団体でも、安心して学びの機会を提供できるのはlearningBOXさんの強みだと思っています。
社会的にも非常に意義のあるサービスだと感じていますし、より良い社会をつくるパートナーとして、これからも一緒に歩んでいけたらうれしいです。
インタビューにお応えいただき、ありがとうございました!


