コロナ対応ツールが「学びの基盤」に変わるまで―教員の自主研修が牽引する学校改革―
2020年、コロナ禍における休校対応と学習環境の確保を目的にlearningBOXを導入した同志社小学校。前回取材(2022年)から3年が経ち、同校ではその活用が“緊急対応”から“教育の質を高める基盤”へと進化しています。現在は、児童への宿題配布や保護者連絡に加え、授業動画を教員同士で共有して磨き合う研修サイクルが確立。さらに、避難訓練など安全教育への活用も進み、教育現場におけるデジタルの役割が新たな段階に入っています。今回の取材では、導入後の変化と成果、そして今後の展望について伺いました。
- 時間的制約により、職員研修が十分に実施できていなかった
- 保護者向けのお便りをペーパーレス化し、確実に届けたいと考えていた
- 数十分の動画をアップロードできるシステムが必要だった
- 教員研修で授業動画を活用した結果、研修の質が向上した。さらに、外部の教員が参加する研究会も開かれるようになり、研修の場が広がってきている
- 保護者の予定に関わる重要な情報等をlearningBOXで確実に届けられるようになった
- 安全教育(避難訓練)など全校で取り組む内容の動画を共有し、保護者も視聴可能に
- 児童もデジタルに不慣れな保護者も使いやすい
- プランに応じて、容量の大きな動画もアップロードできる
- シンプルで、直感的に誰でも使いこなせる操作性
(2022公開の記事より)
導入から5年、learningBOXが日々の学校生活に定着
現在の児童数と教職員数について伺えますか。タブレット端末の活用状況についても教えてください。
児童の人数は、一学年が約90名(約30名×3クラス)で、全校では540名ほどです。教員は約60名と、事務職員が4名在籍しています。
タブレット端末については、教職員は1人1台、4年生から6年生の児童も1人1台持っており、授業等で活用しています。1年生から3年生では、使用頻度が少ないことと、鉛筆やノートを使って書くことも大切にしたいので、3学年で120台を準備し、必要な時に使っています。
前回の取材から3年が経ちましたが、現在はどのような形でlearningBOXを活用されていますか?
導入当初は、コロナ禍における休校対応という“守り”の目的が中心でした。しかし3年経った今、活用方法を変えて、日々の学校生活に定着しています。
具体的には、児童への宿題プリントや小テストの配信、保護者への連絡、授業動画の共有、安全教育(避難訓練)の動画などで、幅広く活用しています。
learningBOXを日常的に活用しているのは教員が中心ですが、必要に応じて事務職員もアクセスし、保護者の方からの問い合わせ対応等に活用しています。

宿題プリントのデジタル化について、具体的にどのような教材をlearningBOXで配信しているのでしょうか。
算数の基礎計算や英語の絵カードなど、反復が重要な領域はデジタルと相性が良く、learningBOXを活用しています。手元で扱うと理解が深まりやすい教材では紙を選ぶこともあります。
デジタルか紙か、ではなく「学習効果を最大化できる方法を選ぶ」という考えが根本にあります。
前回取材から3年、大きく進化した教員研修の在り方
コロナ禍での導入時より、ICT活用に不安を持つ先生方も一定数おられるそうですが、苦手意識は時間とともに変化していますか?
導入からしばらくは、授業の中に定着させていくことが大変でしたね。それでも、徐々に浸透してきていると感じています。「実際に使ってみると意外と簡単だった」「一度やり方を覚えてしまえばできるようになった」などといった声も聞かれるようになりました。
learningBOXに動画をアップロードする手順の説明を聞くだけでは「難しそう」と思われてしまうのですが、実際に一度アップロードしてみると、それが意外と簡単だと理解していただけます。
そこからは、先生方の力が本当に素晴らしかったですね。皆さんがアイデアを持ち寄り、動画を作成したり、30分程度の授業動画を用意したりと、積極的に教材の自作に取り組まれています。
learningBOXが、シンプルで分かりやすい設計になっていることも、大きな助けになったのだと思います。
前回の取材からの3年間で、特に変化が顕著だった取り組みはありますか。
ここ3年で大きく進んだと感じているのは、教員研修の在り方です。各々が授業動画を撮影し、それをlearningBOXにアップロードします。その授業の動画を皆で見て、お互いにフィードバックをすることを、研修として実施しています。
フィードバックは対面で実施するようにしており、その後の詳細なやり取りは、メッセージアプリを介して行っています。
各教科で、月に5本〜6本の授業動画が上がっていることもあり、積極的に研修を実施しています。

「自主研修」が発展して、外部教員も参加する「研究会」が発足
learningBOXを導入して、どのような変化を感じていますか?
一番大きいのは、先述の職員研修での成果です。授業動画を皆で見合い、具体的な場面に立ち返って議論できるようになったことで、授業の質が明確に向上しました。
動画を見ながら「この場面、子どもたちはどう受け取っていた?」「◯分の問いかけの意図は?」「言葉選びや“間”は最適だったか?」といった対話が生まれるようになりました。教員間で授業を磨き合うことで授業内容にも変化が生まれています。
この取り組みは、特に若手の先生方に好評と伺いました。
そうですね。まだ経験が浅いうちは、緊張でぎこちなくなってしまうなど、授業や子どもたちとの向き合い方に関する悩みが多いです。先輩の授業を見る機会ができたことで、自分の授業との違いや、授業内での子どもへの声掛け等の対応を学ぶことができ、大変役に立っています。
学校内だけでなく外に向けても研修の機会が広がっていると伺いました。
本校独自の「自主研修」という制度ができたことが大きいです。勤務時間に制約があるなかで、自分のペースで学べる仕組みができたことで、learningBOXを活用した自主的な学びが活発になりました。
その結果、「自主研修」から、国語・社会・算数の3つの研究会が立ち上がり、京都府内だけでなく、兵庫県や和歌山県、高知県などの方々も教員研修にご参加いただいています。授業動画という素材を通じて、学びが広がっていることこそが、大きな成果だと感じています。
「責任あるICT活用」の定着と、家庭との連携強化
子どもたちには、どのような変化がありましたか?
タブレット端末を一斉配布した当初は、授業外にYouTubeを見てしまう等の課題があり、まずはアクセス制限など技術的な対策を行いました。
ただ、完全に管理しきれるものではなく、次第に「自由には責任が伴う」という学校の方針に立ち返りました。4年生でタブレット端末を持ち始める段階から、「学びの道具としてどう使うか」を子どもたちと話し合い、ICTユーザーズガイドにも考え方を示しました。
一方的に禁止するのではなく、自分で判断して、責任ある使い方ができる“姿勢”が育まれたことで、自然とトラブルが減っていったと感じています。

授業以外の面での効果もありますか?
本校では、ペーパーレス化に取り組んでおり、学校から保護者の方への配布物や、安全教育の動画共有など、家庭との連携がスムーズになりました。
子どもたちが渡し忘れたり、紛失したりといったことも起こらないので、保護者の方の予定に関わる重要な情報や、購入が必要な教材、安全に関する情報などは、learningBOXを通じて確実に共有できるようになっています。
学びの深まりがさらに広がっていく環境をめざして
今後、learningBOXに期待されることはありますか?
現在の運用として、児童の出欠、成績管理、保護者への連絡など、それぞれの役割によってツールを使い分けています。そのため、保護者や教員からも「ツールが多すぎる」「もう少しまとめてほしい」という声があります。
そこで、連絡や作業のツールをまとめることができないかとよく考えています。特に、子どもたちの日々の様子など、ちょっとした連絡や共有などを、learningBOX上で手軽に双方向でやりとりできるようになると、教員も保護者の方も負担が減り、より便利になると感じています。子どもたちとのコミュニケーションについても、同じ環境内で完結できれば理想的です。
また、教員研修では授業動画を活用していますが、動画を掲載しているページ上で、コメントを残したり、意見を交換したりできるような形になると、より効率的になり、学びもさらに深まると思います。現状は、先ほどお伝えしたように、メッセージアプリを活用しているため、一元化できると助かります。
learningBOXには大きな可能性を感じています。このような現場の声が反映され、今後さらに直感的でスムーズに使える環境へと進化することを期待しています。
インタビューにお応えいただき、ありがとうございました!
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