【公立高】勉強が苦手な生徒もスマホ学習で基礎学力と意欲向上|教員業務も負担軽減へ
「徳島県立つるぎ高等学校」は、工業科と商業科を持つ専門高校です。「勉強が苦手」「学習方法が分からない」といった課題を持つ生徒のために、スマートフォンで自主的に学習できるツールを探しlearningBOXの導入に至りました。山岳部での活用を皮切りに、現在は教科指導や小テストにも活用しています。learningBOXの選定から、部活動や授業での活用、校内での普及活動も行う先生に、現場の声を語っていただきました。インタビューでは収まりきらなかったトークをまとめた記事を、ページ下部に掲載しております。そちらも併せてご覧ください。
- 学習法が分からない、学習意欲が低い生徒の基礎学力を向上させたい
- 生徒に親しみのあるスマートフォンを使って学習できるツールを探していた
- 生徒に課題を出しても、提出日になるまで、実際に取り組んでいるかが分からない
- 教員の業務の負担が大きく、ツール導入のような追加作業にまで手を広げるのが困難
- 生徒は自ら弱点克服に取り組むようになり、学習意欲の向上に繋がっている
- 時間や場所を問わずにスマートフォンで学習でき、自宅学習でも役立っている
- 学習進捗を見て、進んでいない生徒への声かけや、正答率を学習指導に生かしている
- 小テストの効率化、成績処理の効率化等の実績を生かせるよう、普及に尽力している
- スマートフォンを使って課題や練習問題に取り組める
- インストール不要で、ログインページURLを送れば、すぐに開始できる手軽さ
- 問題を自作できること。フォーム、テキスト、Excelで作成可能
- 他にはない出題形式の豊富さに魅力を感じた
当初の利用目的は、山岳部でのペーパーテスト対策だった
まずは、御校の特色について教えてください。
本校は、2014年に地元の工業高校と商業高校が統合して開校した、工業科と商業科を併せ持つ専門高校です。
本校のスクールミッションは、「地域に根ざした工業教育・商業教育の連携のもと、『充実したICT教育環境』を生かして、確かな学力と専門的な知識・技術を習得し、地域社会の発展に貢献する『スペシャリスト』として必要となる力を育成する」ことです。
生成AIやVR(仮想現実)など、最先端技術を積極的に導入し、生徒たちが未来を生き抜くために必要な情報活用力や、創造的思考力を育むことを大切にしています。
先生の担当教科についてお聞かせいただけますでしょうか。

担当教科は理科、専門は物理です。現在は「科学と人間生活」、「物理基礎」、「生物基礎」の教科指導をしています。「科学と人間生活」は、あまり馴染みがない科目かもしれませんが、少し前に新しくできた科目で、理科全体を広く学ぶ科目です。
部活動では、山岳部の顧問をしています。
learningBOXをどのようにご活用いただいていますか?
実は、最初にlearningBOXを導入したのは、山岳部での利用が目的でした。山岳部では、インターハイ(全国高等学校総合体育大会)などの大会で、ペーパーテストがあるんです。
気象や救急、山の自然に関する知識などを問うテストです。専門的な内容で、テキストもあるのですが、それを読んでおいてと言うだけでは、生徒はなかなか勉強してくれません。
そこで、私がテキストから自分で問題を作成し、learningBOXに展開して生徒にやってもらうことにしました。
学習方法が分からない生徒たちにとっては、単にテキストを読むだけでなく、クイズ形式で学ぶことが効果的だと考えました。
同校の生徒に適していると確信できたため、教科指導にも活用を拡大
山岳部での活用はいかがでしたか?
ペーパーテストで、以前よりも問題をクリアできるようになったと実感しました。
きちんと知識が定着した状態で、大会に臨めるかが不安でしたが、learningBOXで学習の進捗が見える化できたので非常に助かりました。
learningBOXを導入していなかったら、生徒がどれだけ学習を進めているのかや、知識がどのくらい定着しているのかを把握するのは難しかったと思います。
そこから、教科指導でもご活用いただくようになったということですね?
はい、山岳部でlearningBOXを導入してみて、本校の生徒に適しているという確信が持てたため、活用の幅を広げました。
教科指導の中では、テスト前の自主学習として活用しています。私の担当している科目「科学と人間生活」「物理基礎」「生物基礎」で、すべての授業に取り入れています。
担当している生徒は、およそ150名です。本校は1クラスあたり約25名と、他校と比べて少人数なのが特徴です。
学習法が分からない、学習意欲が低い生徒の基礎学力を向上させたい
教科指導でlearningBOXを活用される前には、どのような課題がありましたか?
本校は、工業科と商業科を持つ専門高校です。進学校の生徒たちとは違って、勉強に対する苦手意識を持っている生徒が比較的多く在籍しています。
成績は上げたいけれど、学習方法が分からない、学習意欲が低い、といった生徒に対して、少しでも基礎学力を向上させたいと考えていました。
そこで、スマートフォンを利用して自主学習ができるツールを活用したいと思ったのです。
現在、貴校内ではlearningBOXをどのくらいの割合で活用されていますか?
learningBOXを利用している科目は、全体の約半数です。また、実際に利用している生徒の割合もほぼ同じです。現在、learningBOXを積極的に活用している先生は、全体の約2割にとどまっています。
現在の利用状況では、まだ十分な普及とはいえませんよね。今後は、より多くの先生に使っていただき、生徒の利益となるよう尽力していくつもりです。
作問の壁、小テスト実施等、教員の負担をいかに軽減できるか
他の先生方が、learningBOXを利用するにあたってのハードルは何だと思われますか?
一番は、問題の自作ですね。特に、デジタルに苦手意識がある先生方にとってはハードルが高く、問題作成に手を付ける先生が少ない印象です。
そして、国語の長文読解や数学の作図問題など、learningBOXでの展開が難しい分野もあると感じています。
ですが、learningBOXには豊富な出題形式があるので、スポット的に活用することは十分に可能で、知識の定着に役立つと考えています。
作問以外でも、何か課題に感じられていることはありますか?
やはり、さまざまな面で先生方に負担がかかっている状況が大きいと感じます。
本校では、生徒にテストの勉強をしなさいと言っても、やり方が分からず、なかなか勉強が進まないことが多いです。ですので、小まめに小テストを実施するのが大事だと思うのですが、それも教員の負担が大きく、すべての科目で頻繁には実施できません。
私の担当でも、1年生科目の「科学と人間生活」では、小テストを何度か行うなどして、基礎からしっかりと身に付けられるよう、手厚く取り組んでいます。
一方で、2年生科目の「物理基礎」「生物基礎」になると、高校での学習にある程度慣れてきているので、1年生のときほど頻繁な小テストや細かいサポートは実施していません。そのため、定期テスト前の対策がやや少なくなってしまうこともあります。
そのような中で最近、私は小テストもlearningBOXで実施するようにしました。learningBOXなら、紙の配布や回収、採点の手間もありませんし、2年生科目でもしっかりと小テストを展開できます。成績も一覧で確認できるので、非常に便利ですよね。
作問など、先生方の負担軽減のためにlearningBOXが何かご支援できることはありますか?
例えば、検定試験のテキストをlearningBOXにアップロードできる形式に変換してくれるようなサービスがあれば、利用する先生方も増えると思います。
著作権の問題もあるので、難しいかもしれませんが、learningBOXで生徒に演習として使わせることができると良いですよね。
私の担当科目だと、理科のワーク(教科書)を買うと、Wordのデータが付いてきます。これはテスト問題作成等に活用しても良いのですが、そこにlearningBOXにそのままアップロードできるようなテキストデータが付いてくると最高ですよね。
なるほど。教科書のデータということですね。やはり著作権の問題で難しい部分がありそうですね。弊社でも問題作成サービスをご用意しており、教材作成の支援や、先生方が作られた教材をlearningBOX仕様に変換するサービスもございます。詳細はまたご相談できればと思います。
アプリではない手軽さ、多くの出題形式で問題を自作できることがポイント
learningBOX選定の経緯について教えてください。
勉強が苦手だと感じている生徒たちでも、普段からスマートフォンには親しみがあります。そこで、スマートフォンを使って課題や練習問題に取り組む方法なら、きっと自然に受け入れてくれるだろうと考えました。いろいろなツールを検索している中で、learningBOXを見つけました。
私の要求に当てはまらないとすぐに判断でき、早々に除外したものも含めると、7個〜8個はアプリケーションを検討した記憶があります。
当時は、TeamsやGoogleフォームなど、手軽にクイズを作成できるツールがまだなかったので、とにかくクイズアプリをたくさん探した記憶があります。その中でも、ほぼlearningBOX一択という状態でした。

アプリケーションではないlearningBOXの、どのような点に魅力を感じましたか?導入の決め手も併せて教えてください。
クイズアプリをずっと探していたのですが、逆にアプリケーションではない点が良いと感じました。インストールの必要がなく、learningBOXのログインページURLを生徒にメッセージアプリで送れば、いつでもログインできるという手軽さが便利だと思いました。
先述のとおり、当初の目的は、山岳部の部員に登山の基礎知識を身に付けてもらうことでした。そのうえで、特に優れていると感じた点が2つあります。
1点目は、問題が自作できる点です。主要5教科と違い、山岳に関する問題が入っているアプリケーションは、現段階ではありません。ツール選定の上で、問題を自作できることが必須でした。2点目は、出題形式の豊富さです。当時、多くのツールが選択形式のみでしたが、learningBOXはさまざまな形式で問題が作成できるため、非常に興味を持ちました。
業務効率化と成績処理の合理化を実現。生徒の学習意欲も向上
learningBOXを導入したことで、どのような効果がありますか?
まずは、テキスト形式で大量の問題を効率的に作成できるので、作業効率が向上したことです。初年度は問題の作成が少し大変かもしれませんが、一度作ってしまえばそこから応用できるので、2年目以降はラクにできます。
さらに、今年から小テストもlearningBOXで実施するようにし、ワークでの課題提出も廃止しました。learningBOXの演習で評価を実施するようにしたので、非常にスムーズになりました。「CSV出力」で成績一覧のデータをダウンロードして集計するだけなので、年末の成績処理も、だいぶ気が楽になりましたよ。締め切りに余裕を持って対応できるようになったのが大きいです。
これまでワークを集めて課題をチェックするのに、2クラスで1時間ほどかかっていました。じっくり見られる先生は、さらに時間がかかっていると思います。それがなくなったのと、小テストの作成、印刷、配布、回収、採点をする手間、さらに終わった小テストを保管しておくスペースも節約できました。
また、生徒の自主性が育っていると感じます。これまで勉強の仕方が分からなかったというところから、learningBOXで間違えた問題を繰り返し解くことで、理解が深まっています。正答率が数値で表示されることも生徒のモチベーション維持に貢献しているようで、生徒は自ら弱点克服に取り組むようになり、学習意欲の向上に繋がっています。
それはとても良かったです。その他に、learningBOX導入による変化などはありますか?
現在では、観点別学習状況の評価について、「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3観点に整理されています(※1)。
その中で、私は「主体的に学習に取り組む態度」という観点に、learningBOXをどれだけ実施したかを加味しています。「主体的に学習に取り組む態度」を測るのは非常に難しく、頭を悩ませていたのですが、チャレンジした回数は問わず、達成率が100%になっていれば、「主体的に学習に取り組む態度」には加点しています。
生徒の自宅での学習状況は見えないですが、learningBOXだと取り組んでいるのが見えるので良いですよね。
(※1)参考資料:
■ 文部科学省,「新高等学校学習指導要領と学習評価の改善について」
学校横断のコミュニティで、負担軽減と学習の質向上を目指したい
では最後に、今後の展望についてお聞かせください。
先生同士が協力して、問題を作成できるようになると、負担を減らすことができます。1人で100%作るよりも、2人で50%ずつ作った方が楽ですよね。また5人で20%ずつでも。他の学校の先生方ともコンテンツを共有できるような仕組みがあれば、さらに便利になると思いますし、もっと面白いコンテンツをたくさん作れるようになると思います。このような先生同士のコミュニティを形成したいですね。
もし、私が他校に異動になっても、私の作ったコンテンツを後任の先生に活用してもらえますし、他校にもそのまま持っていけるなら、とても助かります。
learningBOXの機能は良くできていますし、生徒も取り組みやすい、そこに何の問題もありません。本当に、後は問題の自作だけが課題です。このハードルをどう乗り越えられるかにかかっています。
ぜひlearningBOXの皆さまにもお力を貸していただきながら、生徒のために、今後も努力していきたいと思います。
▼インタビューでは収まりきらなかったトークをまとめた記事はこちら
インタビューにお応えいただき、ありがとうございました!


