広域通信制高校のLMSリプレイス、独自機能開発で8千名の管理も容易に

公開日:

  • 学校教育

公開日:

櫻井 崇 様

課題・導入理由
  • 学習指導要領改訂に伴う「3観点」の評価を実施するための仕組みが必要だった
  • 生徒それぞれのレベルに応じた問題の出し分けをしたかった
  • 過去の問題を引用して教材を作成した場合、変更点が生じると過去にさかのぼって、関連する全ての問題を修正しなければならなかった
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解決策・効果
  • 機能開発を依頼し、3観点それぞれの評価に対応できるようになった
  • 機能開発を依頼し、レベルに応じた問題を出題できるようになった
  • 機能開発を依頼し、引用元のコンテンツを編集すると、引用先にも自動で変更内容が適用されるようになった

ルネサンス高校グループは内閣府認定の教育特区において3校を設立。日本初の高等学校によるeスポーツコースや、海外留学・大学受験の勉強に特化したWスクールコースなど生徒の希望に合わせた多彩なコースを揃えています。同校では、広域通信制高校になくてはならないLMSを、スクラッチ開発(ゼロからオリジナルのシステムを開発すること)で構築していましたが、learningBOXにリプレイスしたことで、さまざまなメリットも生まれているといいます。リプレイスの経緯やそのメリットについて伺いました。

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learningBOXは機能が豊富だが、追加で必要な機能は開発を依頼

まず、御社の事業内容についてお伺いできますでしょうか?

インターネットとデジタル教材を活用した広域通信制・単位制のルネサンス高校グループの企画・運営です。内閣府認定の教育特区内に「ルネサンス高等学校」(茨城県大子町)、「ルネサンス豊田高等学校」(愛知県豊田市)、「ルネサンス大阪高等学校」(大阪府大阪市)の3校があります。人数規模としては3校合わせて8,000名以上の生徒が在籍しています。また、開校からこれまでに約2万名の生徒が卒業しています。

ご担当者さまの業務内容もお伺いできますでしょうか?

私はLMSや生徒の個人情報、成績などを管理する基幹システム、スクーリング(登校)の予約管理システムの運用管理を行っています。また保護者等からの資料請求に対応するシステム制作も担当しています。

learningBOX導入のきっかけについて教えてください。

当初は別会社で構築したLMSを使用していましたが、レポート課題を教員が添削するための機能が足りずに困っていました。またメディア学習(動画授業)において、ある動画を見ないと次のステップに進めない、という条件設定も追加する必要がありました。

この2つの機能を重点として独自で機能開発することになり、御社の代表である西村さんと以前からお付き合いがありましたので、新たにスクラッチ開発でLMSの構築を依頼することになりました。

2016年にlearningBOXがリリースされてからも、独自LMSの運営を続けていましたが、必要な機能が一通りlearningBOXにも備わり、追加で必要な機能が出てきた際は開発依頼ができるということもあって、2022年にlearningBOXに移行することにしました。

スクラッチ開発では機能追加や改修に時間も費用もかかってしまうという難点がありましたが、learningBOXでは年4回のメジャーバージョンアップがあり、機能追加や改修が定期的に実施されている点も魅力でした。

実際のメディア学習(動画授業)の画面(左)、learningBOXの学習画面(右)

API連携により、ユーザー登録作業にかかっていた年間192時間を節減!

learningBOXへの移行については、スムーズに進みましたでしょうか?

そうですね、learningBOXに移行するにあたっては、2022年に学習指導要領が変わるタイミングで使用するシステムを分けて運用することにしました。2022年の4月に入る生徒からはlearningBOXを使用し、それよりも上の学年ではスクラッチ開発した旧LMSを使い続けるようにすることで、データ移行の必要もなく、スムーズに進めることができたと思います。

また移行にあたっては、西村さんとも週1回のペースで認識のずれがないかを確認しながら進めていきましたので、特に問題は起こりませんでした。

ただ、旧LMSを使用していた学生が卒業するとそのシステム自体を使用しなくなりますが、いつ停止するのかを考えているところです。

学校教育法施行規則により、指導要録及びその写しのうち入学、卒業等の学籍に関する記録については保存期間が20年間と決まっています。本校ではAPI連携により生徒を管理する基幹システムに移行して保存しているため、その辺りは問題ありませんが、卒業までの期限を設定する必要性があるかもしれませんね。

learningBOXへの移行後、どのようなメリットが生まれていますか?

旧LMSでは問題作成システムを後で作ったため、問題作成後アップロードしてからLMSに反映するまでに時間がかかっていました。一旦アップロードしてみて、間違いがあったら修正して再度アップロードするという手間がありました。learningBOXではプレビューで確認できるため、その時点で間違いが分かって修正することができ、業務効率が上がりました。

また、ユーザー登録がAPI連携で自動化できるようになったことも大きなメリットです。今まではExcelでマクロを組んで行っていました。週2回、2時間程度かかっていた作業が必要なくなったため、単純に計算すると月に4週で16時間×12カ月で年間192時間の節減につながっています。さらに日曜・祝日でも自動で動いているため、これまでは休日に登録があっても平日に登録作業が完了するまでに待機時間が発生してしまっていましたが、その問題も解消できました。

API連携も含めて本当にできることが増えましたね。まだまだ使えていない機能もありますが。何よりも助かっているのは、機能開発をお願いできるという点です(※1)。

※1
learningBOXの特急開発とは
learningBOXでは、有料で希望する機能の開発を依頼できる仕組みのことを「特急開発」と呼称しています。ただし、特定の企業のための特別機能ではなく、標準化した機能として開発を行うため、共用環境を利用しているユーザーも活用できるように機能が解放される仕組みとなっています。詳細は弊社サポートまでお問い合わせください。


learningBOXでは年4回、共用環境でメジャーバージョンアップを行い、四半期ごとに新機能の搭載・既存機能の改善を行っています。お客様の声を製品開発・改善に反映させることを重視しており、日頃いただいた機能の改善要望については、要望件数に応じて検討を重ねており、全てのユーザーの利用体験を向上させることに努めています。

これまで、どのような機能開発要望を出されてきましたか?

大きなものでいうと、4つあります。1つは、2022年度からの学習指導要領改訂に伴う3観点(「知能・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」)の評価を実施するための仕組みづくりです。レポート(記述式)課題を採点する際に、100点満点の中にも、それぞれ3観点別で採点できるように要望を出しました。タグ付け機能を開発していただき、それが可能となりました。

2つ目は、生徒それぞれのレベルに応じた問題を出し分けたいという希望です。さまざまなレベルの生徒がいるので、同じ課題を一律に与えるということではなく、成績に応じた問題を解いてもらえるようにしたいという教員からの要望がありました。連動型コンテンツ設定により、ある問題に正解すると次のステップに進むけれど、間違うと別の問題が表示され、さらに間違うと難易度を下げた問題が表示される、といった段階に分けた対応ができるようになりました。

そして3つ目ですが、本校では年度途中での転入学者もいるため、前校で既に受講した内容との重複を避けなければなりません。その際に特定のコースやコンテンツにおいて、受講の必要がないユーザーの学習を免除することができる免除指定管理にも対応いただきました。

機能を充実させることで、個別最適な学びの実現にもつながりますよね。最後の機能は何でしょうか?

最後は、コース一括インポート機能(※2)・ショートカット機能です。例えば、問題作成の際に、2023年の国語の問題を前年の2022年の問題を引用して作成し、さらにその2022年の問題は2021年の問題を引用して作っているという場合が多いです。年度ごとに教材を複製して、名前を変更して管理を行っていたものが、コースを一括でインポートできるようになったことでその手間がかからなくなりました。

また2021年の問題に誤りが見つかった場合、これまでは2023年、2022年、2021年とそれぞれにさかのぼって修正する必要がありました。ショートカット機能を使うことで、引用元の2021年の問題を修正すれば引用先にも反映されるため、2022年以降の問題を修正する必要がなくなりました。数年問題を引用していて誤りが見つかったケースもありましたが、ショートカットで解決したので助かりました。

※2 「コース一括インポート機能」の詳細につきましては、弊社サポートまでお問い合わせください。

広域通信制高校で必要な機能が、一通り揃ったLMSになっている

学校運営にあたって、実際にlearningBOXをどのようにご活用いただいていますか?

本校では、単位を取得するためにはメディア学習(動画授業)を行い、Web上で確認テストを受け、Web上でレポートを提出する必要があります。その全てにlearningBOXを活用しており、教員によるレポートの添削やフィードバックも、もちろんlearningBOX上で行っています。

また定期試験もlearningBOX上で実施しています。本校は学期制という概念はないため、年度末に一度だけ試験を実施しています。各校によってスクーリング(登校)日やテスト日に試験を受けるという決まりがあります。その時は数百人が同時にアクセスしていますが、特に問題なく実施できています。テストでは択一問題、記述問題、穴埋め問題などさまざまなパターンを活用しています。

同校での単位取得のためのフロー

learningBOXを運用する中で、改善してほしいと感じた点などはありますでしょうか?

管理画面で、さまざまなコンテンツが一覧で表示されるため、探したいものにたどり着くのに時間がかかることがあります。本校の場合ですと、年度ごとや科目ごとに表示されるように変更したいですね。フォルダや階層を変更できたら分かりやすいと思います。ユーザー管理ではグループアーカイブの機能がありますが、コンテンツも非表示にできるようになれば助かります。

ありがとうございます。社内で検討させていただきますね。では最後に、通信学校の方に向けてLMS選びのアドバイスやメッセージなどがあればよろしくお願いいたします。

learningBOXに移行して良かったのは、、旧LMSで必要だったものが全て入っていて、さらに開発要望を出したことで、より使いやすいシステムにしていただいたところです。本当に本校のことをよく分かっていただいていますし、移行も大変スムーズでした。

高校卒業要件を満たすための運用という意味では、learningBOXは導入してすぐに活用できるようになっていると思います。本校のシステムは西村さんと共に歩み、一緒に作り育ててきました。learningBOXは広域通信制高校だけではなく、通信学校で欲しい機能が一通り揃ったLMSになっていると思います。リプレイス等ご検討の方はぜひ候補に加えられてはいかがでしょうか。

インタビューにお応えいただき、
ありがとうございました!

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