【前編】システム置換で窓口対応業務44%減、診断テスト作成も手軽に
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- サービス刷新を機に、使い勝手等に課題があったシステムの置き換えを検討
- 旧システムは操作方法に関する問い合わせが多く、設定作業等の工数もかかっていた
- 定番商品の一つとして、長年提供し続けていた診断テストを一新したかったが、顧客の期待に応える品質と開発スピード・コストの両立に課題があった
- 置き換え後は、シンプルなUIで使いやすく、コストパフォーマンスも良くなった
- 顧客からの問い合わせ件数の減少、運用工数の削減など業務効率化を実現
- 追加料金不要のlearningBOX内の「診断テスト」機能で、新たな診断テストを作成できた。今後も試みを続けて、さらに発展させたい
「東京海上ディーアール株式会社」は、東京海上グループのリスクコンサルティング会社として1996年に誕生しました。デジタル技術を駆使してリスクを的確に解決するエキスパート集団として、さまざまな社会課題に挑戦しています。同社の運輸・モビリティ本部では、法令対応支援から調査・分析に基づくコンサルティングまで、幅広く企業の自動車の安全運転管理体制の構築・強化をサポートしており、その一環として交通安全Web学習サービスを提供。このサービスのシステム基盤として、現在learningBOXを活用しています。今回は運輸・モビリティ本部の主席研究員にお話を伺いました。前編・後編の2部構成でお届けします。
導入の決め手、最大のポイントはlearningBOXのシンプルなUI
まずは、御社の事業内容とご担当者さまの業務内容をお伺いできますでしょうか?
弊社は、法人のお客さまを取り巻く、さまざまなリスク領域に応じたコンサルティングを展開しています。その中で運輸・モビリティ本部は、長年にわたって蓄積された自動車事故データや、年間約1,000件を超えるコンサルティング実績を元に、安全管理体制の構築や事故削減に向けたご支援を提案している部署です。他には、自動運転車両や近年多様化している新しいモビリティの安全管理・安全対策のご支援も増えてきています。
私自身は、learningBOXを活用したeラーニング事業「WebstadR(ウェブスタディーアール)」のオペレーションを担当しており、運輸・モビリティ本部のシステム開発・保守・運用の統括業務も担っています。
learningBOXを最初にお知りになったきっかけ、どのような点に興味を持たれたかについてお聞かせください。
お客さまへの価値提供の手段として、eラーニング基盤を活用し始めたのは15年以上も前です。その歴史の中で、基盤となるシステムを何度か変更しています。御社のlearningBOXは、各企業が自社で導入し、その内部での教育に使われるのが一般的ですが、弊社はeラーニング事業そのものがコンサルティングの一形態であり、多くはお客さまの従業員教育の一環として使っていただいています。
learningBOXを知ったきっかけはWeb検索でした。eラーニングシステムのベンダーはたくさんありますが、その中でも大手といわれるシステムを一通り見ていて、一方で新しいというか、これから伸びていくだろうという後発のベンダーも見比べながら、さまざまなシステムを検討しました。
learningBOXに注目したのは、シンプルなUIがとても良いと思ったからです。今でも一目見たときのUIがとても印象に残っています。
learningBOX導入(置き換え)への決め手となったポイントをお伺いできますか?
弊社のお客さまが利用されるシステムですので、社内というよりはお客さま目線が大切なポイントとなります。コストパフォーマンスはもちろんですが、使いやすいかどうか、システムとして安定しているかどうかが、直接顧客満足やサービス品質という部分に関わってきます。
残念ながら前に使っていたシステムは、使い勝手等に課題があり、特にお客さまからのご不満が強い面もありました。操作が複雑というか、パッと見てどこをクリックしたら良いのかが気付きにくく、使うのが難しかったんですね。そこで、learningBOXのシンプルなUIが最大の決め手となりました。
システムの移行は社内外での影響が大きく、大変な道のりだった
learningBOXへの移行にあたって、どのような点に苦労されましたか?
これは御社のサービスを使ったからということではないのですが、15年以上もeラーニング事業を続けていると、非常に長い間弊社サービスをご利用いただいているお客さまが一定数おられます。前のシステムに対して、使いにくい、マニュアルが分かりにくいなどのご不満がある一方で、やはり“慣れ”というものがあるんですよね。ですので、システムを変えるということについての拒否反応は常にあるといえます。
「せっかく慣れたのにまた変えるの?」というご不安の声に、どうお答えするかについてはとても苦労しました。やはり実際に使っていただいてご納得いただくというのが一番でした。そして移行のご案内など、お客さまに対してのコミュニケーションだけではなく、社内での動きも重要になってきます。
社内ではどのように働きかけられたのでしょうか?
オペレーション担当のメンバーを育成する必要があるのですが、初期段階では私や運用担当などのコアなメンバーがlearningBOXについて深く知るところからスタートします。
実際に移行設計をして、運用設計をしてから移行し始めますが、移行が進み、いよいよ運用が本格的に始まってくると、learningBOXという新しいシステムを深く知らない関係者を巻き込まないとなりません。
「前のシステムについてもそこまで詳しくなかったけれど、新しいシステムについてはもっと詳しくない」という多くの関係者を味方につけるのは本当に大変でした。特に前のシステムの評判もあり、皆が疑心暗鬼になっていたので「今回は大丈夫なの?!」というプレッシャーが大きかったです。
やはりどんなシステムでも、運用開始時にはこのような問題は出てくると思います。他社さまも苦労されているのではないでしょうか。関係者といってもその理解度や共感度の“濃度”はさまざまですよね。コアなメンバーはとても深く知っていて「これは使いやすい」と思っていても、詳しく知らないメンバーに共感してもらって、一緒に同じ方向を向いて進んでもらうというのは非常に難しいと感じています。
運用開始後の社内の反応はどうでしたか?
社内では最初は半信半疑の空気がありましたが、実際に運用が進むにつれて、そのような空気がちょっとずつ変わってきたんです。実際に使ってもらって、画面を見てもらって。すると「すごく分かりやすいよね」とか「シンプルで見やすいね」「マニュアルを見なくても、どのボタンを押すのかすぐ分かるよね」という声が聞こえてくるようになりました。
ヘルプデスクでも、実際にお客さまからのお問い合わせの数が激減しており、これらの事実を一つひとつ積み重ねることによって社内での信頼を得ていったというところですね。
今まで混在していたサービスも、置き換えを機に一本化して体制強化
交通安全Web学習サービス「WebstadR(ウェブスタディーアール)」を開始するに至った背景をお聞かせください。
この交通安全Web学習サービスですが、前のシステムを使っている際には別の名称で展開していました。15年以上eラーニング事業を展開していますので、さまざまな名称のサービスやシステムが混在していた状況でした。
今回、learningBOXにサービスに載せかえるタイミングで全て整理し、1つのサービス体系としてまとめる形で、名称も新たに考えることにしました。ウェブ(インターネット経由で)とスタディー(学ぶ)と弊社の社名を短縮したディーアールを融合させた「WebstadR(ウェブスタディーアール)」とし、商標登録もしました。サービス体系を整理して一本化し、名称を商標登録するということは私共にとって大きな意味を持ち、この「WebstadR(ウェブスタディーアール)」で新しい利用体験をお客さまにご提供していきたいと決意を新たにしました。
交通安全Web学習サービス「WebstadR(ウェブスタディーアール)」の概要を教えていただけますか?
「安全運転Web講座」という、業種を問わず、必要なコンテンツを選んでお使いいただけるタイプと、トラック・バス・タクシーの業種別「指導・監督指針対応パッケージ」の2つのラインアップをご用意しています。
「指導・監督指針対応パッケージ」というのは、いわゆるプロドライバー向けの内容になっています。運送業に従事するドライバーは、車両の特性に応じた運転のポイントや危険予測訓練など、年に一度は所定の教育を必ず受けなければならないというのが国土交通省の法令で定められており「貨物自動車運送事業者が事業用自動車の運転者に対して行う指導及び監督の指針」(※2)に対応したコンテンツを収録しています。
「安全運転Web講座」では150以上のコンテンツがあり、さらに毎月新しいコンテンツを追加しているので、実際の数はこれ以上に多くなっています。コンテンツはPDF、動画(動画アップロード、埋め込み動画)、クイズ・テスト、診断テストなどさまざまな形式で構成されています。
(※2)貨物運送事業者(トラック)の場合。旅客自動車運送事業(バス、タクシー)も同様に対応コンテンツを用意
「WebstadR(ウェブスタディーアール)」の各コンテンツの作成は何名で対応されていますか?また更新の頻度や今後の改善予定についてもお聞かせください。
弊社にとって、一つひとつのコンテンツがノウハウの塊であり、価値の源泉なので、eラーニング事業の担当者だけがコンテンツを作るということではなく、コンサルタント全員が制作に携わります。
コンテンツの更新に関しては、法改正のタイミングであったり、毎月新たなコンテンツをお届けしたりと、結構頻繁に更新をしているものもあります。長い年月のサービス提供を経て、現在のラインナップに成長したという状態です。モビリティを取り巻く技術革新や社会・法令の変化に伴って、どのようなテーマがお客さまに求められているのかを把握しながら、コンテンツの中身をいかにして充実させていくのかを議論しています。
また、コンテンツの中身だけでなく、コンテンツの形態(伝え方やお届けする手法)についても同様に議論しています。読みものが良いか/動画が良いか、イラスト・CGが良いか/実写映像が良いか、講師の顔を出すか/出さないか、ライブ研修はどうか、動画再生時間は長過ぎないか/短過ぎないか等々、コストとクオリティ、特に“教育効果”とのバランスを見ながら、コンサルティングの目的に照らして最適解を探す日々です。
(※1)
・ eラーニングシステムの操作に関連性が高い照会で最も多い内容(分類)である「ログイン不可(何らかの理由でログインができない)」を対象とした調査
・ ヘルプデスクの照会記録を元に件数を集計。新旧システムの対比が明確な2022年度(4月~9月)と2024年度(4月~9月)を比較対象とした数値
learningBOXの導入効果など、続きは後編の記事をご覧ください
インタビューにお応えいただき、
ありがとうございました!