アンケートの例(テンプレート)と作るときの注意点について
企業で働いていると、社内でアンケートの作成もしくは回答をする機会があるのではないでしょうか。アンケートにより職場の現状がわかれば、従業員満足度の向上や問題点の洗い出しが可能となります。さらにそれらが実現されることで、社員の離職率低下につながることもあるでしょう。
また、顧客満足度調査やサービス調査をする際にも役立ちます。社内外問わずアンケートは必要不可欠な存在ですが、作るときの注意点やポイントを知っておくことが大切です。
今回は社内でアンケート作成をするときの注意点について、詳しく紹介していきたいと思います。社内でアンケートを作っている人、これから作るという人はぜひ参考にしてみてください。
目次
- 01社内の現状把握ができるアンケートの作り方
- STEP1:アンケートの目的を設定する
- STEP2:質問する内容を設定する
- STEP3:質問タイプを設定する
- STEP4:順番を整える
- STEP5:質問文を作成する
- STEP6:選択肢を用意する
- STEP7:最終確認
社内の現状把握ができるアンケートの作り方
社内の現状を把握し、職場環境の改善につながるようなアンケートをつくることが大切です。具体的なアンケートの作り方を7つのステップでご紹介していきます。
STEP1:アンケートの目的を設定する
大前提として、なぜアンケートを実施するのか目的を設定しましょう。
- 経営方針が社員に浸透しているか?
- 現状の働き方に不満はないか?
- 上司、部下との人間関係は良好か?
アンケートを取れば、以上のように様々な情報が手に入ります。社内の現状把握と課題解決のためには目的の設定が何より重要です。
STEP2:質問する内容を設定する
設定した目標に基づき、質問する内容を考えましょう。
回答を選択式にするか記述式にするかなど、アンケートの大枠を作成した後に実際の設問を考えていくとよりスムーズです。質問はできるだけ少なめにし、5分程度で答えられるようにしておくと社員の負担にならず内容が頭に入りやすくなります。
集計後はデータ分析が必要なので、作成者側が分析しやすい質問内容にしておきましょう。
STEP3:質問タイプを設定する
どのような形で質問をするかタイプを設定しましょう。社内アンケートでは、主に下記のタイプが用いられます。
- ラジオボタン型
- チェックボックス型
- マトリックス型
- スケール型
- テキストボックス型
必要に応じ、タイプを組み合わせてアンケート作成をしましょう。
ラジオボタンタイプ
ラジオボタンは、アンケートの中では最もポピュラーなタイプです。中抜きの円形ボタンのことで、1つだけ答えてもらいたいときに使います。
【質問例】会社へはどのような通勤手段ですか?
〇 徒歩
〇 自転車
〇 電車
〇 バス
〇 その他
チェックボックスタイプ
チェックボックスは、複数回答をもらいたいときに使うタイプです。中抜きの四角ボタンを用いて「複数回答可」で使います。
【質問例】ストレスとなる要因を教えてください(複数回答可)。
□ 業務内容
□ 人間関係
□ 通勤時間
□ 残業
□ その他
スケールタイプ
スケールは段階で表記し、度合いを確認したいときに使うタイプです。社員の満足度や感想を知る目的で度々使われます。
【質問例】今の給与に満足していますか?【5段階】
〇 満足
〇 やや満足
〇 どちらともいえない
〇 やや不満
〇 不満
マトリックスタイプ
マトリックスは複数の項目に対し、同じ選択肢で答えてもらうときに使うタイプです。同じ質問をまとめて聞きたいときによく用いられます。
【質問例】あなたが仕事において重視することは何ですか?【5段階】
あてはまる | ややあてはまる | どちらともいえない | あまりあてはまらない | あてはまらない | |
---|---|---|---|---|---|
成果 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
人間関係 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
福利厚生 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
テキストボックスタイプ
テキストボックスは、自由記述式のタイプです。前の質問をさらに詳しく聞きたい場合や、自由に意見をもらうためアンケートの最後に設置することがあります。
【質問例】
問〇のように回答した理由を教えてください。
STEP4:順番を整える
社内アンケートは答えやすい順番に揃えましょう。じっくり考える、あるいは答えにくい質問が初めに来ると回答者は苦痛に感じてしまいます。そのため答えにくい質問は最後に持っていくのが基本です。
また順番を考えずに配置すると、前の質問が後の質問の回答に影響を及ぼす「キャリーオーバー効果」を引き起こし、分析の精度が下がってしまうこともあります。
回答者が答えやすいよう、作成者が分析しやすいように順番を考えることが大切です。
STEP5:質問文を作成する
質問タイプに応じて質問文を作成していきましょう。
回答者にとって馴染みのない言葉や回りくどい表現を避け、シンプルかつ中立的な表現で記載しなければいけません。質問文は1~2行程度で簡潔にわかりやすく記載するのがポイントです。
STEP6:選択肢を用意する
適切な選択肢を用意しましょう。
質問内容によっても異なりますが一般的には少なくて5問、多いときは15問用意すると良いと言われています。似ている選択肢は回答者が答えにくくなるため、できる限り1つにまとめるようにしましょう。
STEP7:最終確認
ステップ1から6まで完了したあとは、最終確認を怠らないようにしましょう。
誤字脱字はないか、わかりやすい文章になっているかなどをチェックしていきます。特に社内アンケートでは、質の悪いアンケート作成をしてしまうと社員の信頼度を損ねてしまう原因ともなるので注意が必要です。
アンケート例(テンプレート)
実際に企業ではどのようなアンケートをとっているのか、一部ですがテンプレート例を見ていきましょう。
この章では社内アンケートで利用することの多い「従業員満足度アンケート」「360度評価」「ストレスチェック」の3つのテンプレートを紹介します。
①従業員満足度アンケート
1. あなたの性別を教えてください。
2. あなたの年齢を教えてください。
3. あなたの所属部署を教えてください。
4. あなたは入社して何年目ですか?
5. あなたは現在の仕事に対して、どの程度やりがいを持っていますか?
6. あなたは現在の仕事に対して、どの程度人間関係に満足していますか?
7. あなたは現在の仕事に対して、どの程度満足していますか?
8. あなたは現在の職場を友人にどの程度おすすめできますか?
9. 以下の項目は、あなたの考えにどのくらいあてはまりますか?(「自由度や裁量」「成果や協調」など)
10. 今後も現在の職場で働き続けたいと思いますか?
11. 現在の職場に対して悩みや要望がございましたら、ご自由にお書きください。(自由記述)
従業員満足度アンケートは、仕事のやりがいや働きやすさについて知ることができます。分析することにより職場環境改善が見込め、定着率の低下を防ぐことが可能です。
②360度評価
1. あなたの性別を教えてください。
2. あなたの年齢を教えてください。
3. あなたの所属部署を教えてください。
4. あなたは入社して何年目ですか?
5. 〇〇さんは、あなたから見てどのような立場ですか?
6. 以下の項目は、〇〇さんにどのくらいあてはまりますか?(素直さ、責任感、発想力、協調性など)
7. 最後に〇〇さんについて、ご意見をご自由にお書きください。(自由記述)
360度評価とは仕事上で関係を持つ社員に対して行われるもので、特定の対象者を評価する方法です。立場の異なる人の視点から評価対象者を見てもらうことで、評価対象者の能力やスキルに関する情報が集められます。
客観性のある評価を下せる、社員自身が改善点に気づけるといったメリットもあるアンケートです。
③ストレスチェック
最も当てはまるものに〇を付けてください。【4段階】
A. あなたの仕事について伺います。
(あてはまる ややあてはまる ややあてはまらない あてはまらない)
1. 非常に多くの仕事がある
2. 常に集中しなければいけない
3. 自分のペースで仕事ができる
4. 業務内容は自分に合っている など
B. あなたの状態について伺います。
(いつもある しばしばあった ときどきあった ほとんどなかった)
1. 元気がある
2. イライラしている
3. 常に不安がある
4. 食欲がない など
C. あなたの人間関係について伺います。
(非常に かなり 多少 全くない)
1. 上司に仕事の相談をしたことがありますか?
2. 同僚に仕事の相談をしたことがありますか?
3. 友人に仕事の相談をしたことがありますか?
4. 家族に仕事の相談をしたことがありますか? など
D. あなたの満足度について伺います。
(満足 やや満足 やや不満 不満)
ストレスチェックとは、労働安全衛生法の改正により50人以上の社員がいる職場で義務付けられるようになったものです。定期的にアンケートを実施することで社員のメンタルヘルスの不調を知ることができ、安心・安全な職場環境づくりが目指せます。
目次に戻る社内アンケート作成時のポイント
社内アンケート作成時に見ておきたいポイントを5つ紹介します。
- 必ず基本情報に関する項目を設定する
- 選択肢には「その他」を設ける
- 選択肢は似たものは混合させない
- 社員の満足度に関するアンケートでは二要因理論を活用する
- 社員にアンケートの意味を説明する
必ず基本情報に関する項目を設定する
アンケートの前半で、必ず基本情報に関する項目を設定するようにしましょう。細かく属性を分類できるようになり、それぞれの傾向を分析できるようになるからです。社内アンケートでいえば性別や役職、所属する部署、勤続年数などがそれに当たります。
選択肢には「その他」を設ける
選択肢には「その他」の項目を設けましょう。「その他」がなければ、回答者がどの項目にも答えられないということが起こるからです。
ただし選択肢自体が少ないと、ほとんどの回答者が「その他」を選んでしまうので注意しましょう。適切な項目数を設定した上で「その他」を設けることがポイントです。
選択肢は似たものは混合させない
選択肢の中に、似た内容の回答を入れないようにしましょう。例えば人によって解釈が違うような「友人」「知人」などです。これらを一緒の選択肢に入れると、回答者の選択にばらつきが出てアンケートの精度が下がるおそれがあります。
もしどちらの回答もアンケートに入れたいときは、ラジオボタンタイプではなくチェックボックスタイプの設問にすることがポイントです。
社員の満足度に関するアンケートでは二要因理論を意識する
社内アンケートでは、臨床心理学者フレデリック・ハーズバーグが提唱した「動機付け要因」と「衛生要因」の二軸を意識して作成しましょう。
動機付け要因
動機付け要因とは、仕事における満足感をもたらすものです。達成や承認、昇進など仕事をするモチベーションが動機付け要因に該当します。
アンケートにこれらの要素を組み込むことで、社員のモチベーションを上げるための改善策が見つけられるようになるでしょう。
衛生要因
衛生要因とは、仕事における不満感をもたらすものです。給与や人間関係、職場環境などが衛生要因に該当します。
アンケートにこれらの要素を組み込むことで「社員はどこに不満を感じているのか」が明確になり、対策を取れば離職率の低下を未然に防ぐことができるでしょう。
社員にアンケートの意味を説明する
事前の社内アンケートで、実施する意味や目的について説明しましょう。企業の目的が見えると、社員はアンケートに協力しようという姿勢が生まれるからです。
本音を聞き出すためには、個人が特定されるのか、人事評価に影響するのかといった情報もきっちり伝えるようにしましょう。そうすることでアンケートの回答率を上げることができます。
目次に戻る【参考】社内アンケートの依頼文
社内アンケートを実施する前に、事前の依頼文が必要です。依頼文をきっちり作り込めば、アンケートの回答率を上げられるでしょう。この章では、メールによる社内アンケートの依頼文の例を紹介します。
例文1
件名:【2月12日(月)13時〆切】アンケートのお願い
関係者各位
お疲れ様です。人事部の〇〇です。
この度、人事部から全社員を対象としたストレスチェックアンケートを
お願いすることになりました。
アンケート書式は社内メール便でお送りしますので、
お忙しいところ恐縮ですが、2月12日(月)13時までに
メールにてご返信くださいますようお願いいたします。
なお回答は20分程度を想定しております。
皆様のご協力よろしくお願いいたします。
例文2
件名:社内アンケートのご依頼
〇〇様
新商品アンケート協力のお願い
現在企画部では、新商品〇〇の開発を行っています。
つきましては、〇〇における見た目のイメージや感想を伺います。
アンケートは添付ファイルにお送りしますので、
お忙しいところ恐縮ですが、12月10日(金)16時までに
社内メールでご返信くださいますようお願いいたします。
なおアンケートは匿名方式であり、回答いただいた内容が第三者へ公表されることはありません。
何卒、ご協力よろしくお願い申し上げます。
社内アンケートを送る際のポイントは、締切日を入れる、回答にかかる時間などを記載することです。
また、2つめの例文のように個人情報の取り扱いに関する記載があると、回答者に安心感が生まれ本音で答えてくれるようになります。忙しい時間の合間を使ってアンケートに協力してくれることなので、一通のメール文章で詳細が全て把握できるように努めましょう。
目次に戻る【参考】社内アンケートはWeb利用がおすすめ
社内アンケートは紙媒体(アンケート用紙)で行うよりもWebの方をおすすめします。集計がしやすくなることに加え、結果を分析して課題を発見するのはWebの方が適しているからです。
また、システムを利用することで回答進捗管理や結果集計が容易になります。他には次のようなメリットがあります。
- 誤字脱字が減る
- 回収率が上がる
- 結果的にコスト削減につながる
今ではWebを活用した無料のアンケートサービスも充実しているので、ぜひ活用してみましょう。
回収率が上がる
Webにすると回収率が上がります。アンケート用紙を印刷し手書きするという手間がなくなって、回答者の負担が少ないからです。Webであれば忙しい社員でもパソコンのほか、スマートフォンなどでも移動中や休憩中に回答できるため、回答率も上がります。
結果的にコスト削減につながる
Webアンケートにすれば大幅なコスト削減につながります。アンケート用紙を印刷するといった費用面のコストだけでなく、メールアドレスで一斉配信ができるため時間面のコストも省けます。Webアンケートは必要以上のコストがかからず、オンラインで全ての工程が完結するのです。
目次に戻るまとめ
社内アンケートの作り方について、テンプレートを紹介しながら注意点やポイントを紹介しました。
アンケートでは社内の現状把握だけでなく、今抱えている問題点や課題点の解決につながるような内容にするのがポイントです。作り方がわかれば社内のほか、顧客満足度調査など様々な場面でも活用できるでしょう。
社内アンケートは文書よりもWebの方がメリットが多く、現在では主流になりつつあります。弊社のeラーニングシステム「learningBOX」にもアンケート機能が実装されており、使いやすく低コストでご利用いただけますので、eラーニングを含めた社内アンケート作成をご検討中の方は無料利用からお気軽にお試しください。
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