人材育成

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リスキリングとは?定義から導入、推進方法までを徹底解説

生産性向上を目的とした既存事業の抜本的な改革、DX文脈を含む新規事業の開発・拡大などを目的として、「プロフェッショナル人材」の採用や既存社員の教育(リスキリング)に力を入れていこうとしている、あるいは既に力を入れている企業は増加の一途をたどっています。 一方でプロフェッショナル人材の確保は、採用コスト・採用機会の観点から容易ではなく、既存社員をリスキリングすることで、既存事業の改革やデジタルを活用した新規ビジネスの開発など、企業の新しい価値創出に向かっているケースも見られます。 しかし、リスキリングを推進していても成果につながりづらく失敗を繰り返していたり、リスキリングという言葉が社内で一人歩きしているだけで、具体的な推進方法が分からなかったりと、お悩みの方は多くいらっしゃるのではないでしょうか。この記事では、リスキリングの定義から、導入・推進方法まで分かりやすく解説していきます。リスキリングに課題を感じている方、導入をご検討中の方はぜひ参考にしてみてください。 リスキリングとは リスキリング(reskilling)とは、新しい職業につくために、あるいは今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを習得する・させることを指します。世界に目を向けると、生き残りをかけて多額の投資が行われており、企業戦略の一つとなりつつあります。日本では、政府の「骨太の方針2021(2021年6月)」や経団連の「新成長戦略(2020年11月)」においてデジタル人材の育成やリスキリングの必要性が言及されるなど、国内で関心が高まっている分野です。 リカレント教育・学び直しとの違い リスキリングはリカレント教育や学び直しと混同されることがありますが、その本質や目的はまったく異なります。職を離れる「リカレント教育」や単純な「学び直し」は、あくまで現在の役割をより良くこなすための個人のスキルアップにすぎません。一方、「リスキリング」は企業が新たな価値創出を目指すための事業戦略の一環なのです。 リスキリング リカレント教育 定義 新たな業務に必要なスキルや知識を習得すること 生涯にわたって教育と就労のサイクルを繰り返すこと 目的 既存社員を新たな役割におけるプロフェッショナル人材にすること 現在の役割をより良くこなすためのスキルアップ 学びの主体 企業 個人 リスキリングが注目される理由 リスキリングが注目される理由として、DXやGX(グリーントランスフォーメーション)の普及・推進が挙げられるでしょう。企業はこれらの影響により、戦略から製品・サービス、業務フローまで、企業経営の大幅な変革を迫られつつあります。その結果、消滅する職務だけでなく新たな職務や業務フローが生まれ、対応できる人材の確保が急務になってきているのです。 目次に戻る リスキリングが必要とされる背景 リスキリングが必要とされる背景を「市場動向」「経営戦略」「人材戦略」の3つのポイントから見ていきましょう。 市場動向 一つの大きな背景として、外部環境(市場)の急速な変化が挙げられます。主な要因を3つ挙げていきます。 デジタルを中心とした技術の発展(DX・GX) SDGs・ESG・LGBTQなど、企業の社会的な適任やソーシャルインパクトを重視する潮流 新型コロナウイルスのパンデミックなどによる半強制的な社会の移り変わり 経営戦略 市場動向の変化に伴い、企業の経営戦略は「既存の枠組みにとらわれない経営の志向」が必要となってきています。既存事業においては、デジタル活用による事業改革や業務効率化が、新規事業においてはDXを念頭に置いた開発・拡大がそれぞれ必要となるでしょう。 人材戦略 市場動向と経営戦略を踏まえると、新たな価値を創造できるプロフェッショナル人材の確保が必須になっていきます。しかし、以下2つの点から人材の採用・確保は困難と言わざるを得ない状況です。 圧倒的な売り手市場で、慢性的にプロフェッショナル人材が不足している 企業に潤沢な予算や採用におけるストロングポイントがない限り、プロフェッショナル人材の採用を人材戦略の主軸に据えられない つまり、新たな人材を採用するよりも、既存社員をプロフェッショナル人材へ育てるリスキリングが求められているのです。 目次に戻る リスキリングに取り組むメリットとは リスキリングが注目される理由や必要とされる背景を踏まえたうえで、実際に取り組むメリットを紹介していきます。 人材不足の解消 前節で触れた通り、新たな価値を創造できるプロフェッショナル人材の確保は困難になりつつあります。既存の社員にリスキリングを行い、事業に必要なスキルを持った人材を育成することで、社内での人材確保が可能となります。さらに、人材不足を解消しながら採用コストの削減も期待できるでしょう。ただし、人材採用と比較して、既存社員のリスキリングには時間と相応のコストがかかります。 業務効率化 リスキリングによってデジタル技術を習得できれば社内のDX化が進み、既存業務の自動化・効率化による時間短縮やコスト削減に加え、正確なデータ分析やデータの一元管理も可能となります。業務を効率化することで、より高度で新しい業務に取り組む余裕が生まれ、さらには残業時間の減少による人件費の削減、ワークライフバランスの向上なども見込めるでしょう。 新しいアイデアの創出 リスキリングで新たなスキルを獲得することによって、既存の枠組みを超えた新しいアイデアを創出できる可能性が高まります。新たなスキルやアイデアは新規事業の立ち上げ・成長につながるだけでなく、既存事業への貢献も期待でき、企業全体の成長にもつながっていきます。 企業を理解した既存社員による新規事業への取り組み 高度なプロフェッショナル人材を外部から採用した場合でも、経営理念やパーパスなど「企業そのもの」と合わなかったり、既存業務との連携や既存社員とのコミュニケーションが円滑に進まないリスクがあります。企業文化や業務に精通した既存社員をリスキリングすることで、リスクを減らして新規事業に取り組むことが可能となります。 目次に戻る リスキリングの進め方と押さえるべきポイント 以下に挙げた5つのステップに沿って進めることで、今、企業に求められているリスキリングを進めることができます。 STEP1:対象スコープ(範囲)設定 まず、経営戦略や事業戦略から、リスキリングの対象となる職種を定めます。対象職種を重要性×必要数で象限分けして、重要性が高く、かつ必要数が多い領域の職種を対象とすることをお勧めします。限られたリソースの中で、新たな価値創出に最もインパクトの大きい職種を優先させることが重要です。 STEP2:職務/能力要件定義 対象スコープを定めたら、対象職種の職務概要を明文化し、必要な能力要件(例:小・中規模のプロジェクトマネジメントスキル)を定義します。能力要件を定義したら、各能力を学習要素レベルに細分化しましょう。能力要件に含まれる学習要素を取り入れながら研修プログラムを開発することで、効果的なリスキリングプログラム構築に役立ちます。 STEP3:研修体系構築 次に、研修体系を構築します。研修体系の構築とは、到達させたいゴールに対して、必要な研修プログラムや学習プロセスを設計することを指します。リスキリング施策を通して到達させたいゴールはSTEP2で定まっているため、各研修のゴール、ゴールから逆算した研修プログラムの開発、学習定着を促す前後施策の検討、学習の前後関係や並行関係を加味した学習プロセスの構築など、リスキリングの研修体系をチェックしていきましょう。 STEP4:研修実施 研修体系が構築されたら、スケジュールにのっとり研修を実施します。研修実施においては、講師の選定と講義の準備が極めて重要です。講師には、学習要素に精通していること、学習者の受講意欲・理解度にかなった講義を実施でき、急なトラブルにも対応できる柔軟な運営力が求められます。抜かりない準備と柔軟な運営で、STEP3で描いた絵を実現させましょう。 STEP5:効果測定・フォロー/次施策の高度化 一連のOff-JTを終えたら、Off-JTの効果の最大化・測定と、OJTのフォローを推進します。リスキリング施策を通したゴール・各研修のゴールを達成しているか測定し、足りていない部分は別途ケアをします。Off-JTの追加実施・受講環境の整備を始め、OJTを推進する現場との連携、OJTのモニタリングが手段として有効です。また、当該施策で判明した改善点や継続的に採用する点は次のリスキリング施策の高度化に向けたインプットになります。 目次に戻る まとめ この記事では、リスキリングの定義から導入、具体的な推進方法まで解説しました。リスキリングを実施することで、既存事業の改革や人材不足の解消、DX文脈を含む新規事業の開発・拡大など、さまざまなメリットが生じます。 リスキリングの実施においては、研修体系の構築と研修実施が重要なポイントとなりますが、運用に適したツールの一つとして「learningBOX」をおすすめします。eラーニングシステムのlearningBOXは、研修教材の作成配布・成績管理・受講者管理の機能がひと通り揃っています。誰でも簡単にWeb学習環境を構築できるのがおすすめのポイントです。 さらに、多彩な研修コンテンツを追加できる「KaWaL eLearning」と組み合わせれば、より研修の幅がより広がるでしょう。リスキリングの施策では、ぜひ研修コンテンツ作成の内製化に便利なサービスをご利用ください。 learningBOXのフリープランなら10アカウントまで無料でご利用いただけます。まずはお気軽にお試しください。 ※この記事は、株式会社チェンジさまのお役立ち資料を基に執筆し、同社に監修いただいたものです。リスキリングを推進しプロフェッショナル人材を育てるサービス「リスモア」を提供されていますので、記事を通じて興味を持たれた方はぜひご確認ください。 目次に戻る

失敗しない!ナレッジマネジメントツールの選び方と活用ポイント

ナレッジマネジメントツールとは、組織や個人が持つ知識や技術・経験といった情報を効果的に収集・共有・活用する目的で導入されます。ナレッジマネジメントに適したツールがさまざまな企業からリリースされているため、どのような基準で選定するか迷われる方が多いのではないでしょうか。 この記事では、ナレッジマネジメントツールの選び方と、導入後の活用ポイントについて解説していきます。ナレッジマネジメントツール導入をご検討の際はぜひ参考にしてみてください。 ナレッジマネジメントとは ナレッジマネジメント(KM:Knowledge Management)とは、企業や組織において個人が持っている知識や経験、ノウハウを集約・共有し、組織力の向上に生かす一連のプロセスのことです。 企業・組織が保有しているナレッジには、個人が仕事を通して感覚的に得たもの(暗黙知)と、社内の誰が見ても理解できるよう言語化・文書化され、組織に共有されるようになった客観的な知識(形式知)の2つがあります。 ナレッジマネジメントにおいては暗黙知を形式知に変換し、共有・活用することが重要です。 ナレッジマネジメントの手法「SECIモデル」 SECI(セキ)モデルは、ナレッジマネジメントを実現するための代表的なフレームワークです。大きく分けて4つのステップに分けられます。 共同化(Socialization):共通体験を通して暗黙知を伝達させるプロセス 表出化(Externalization):個人の暗黙知を言語化し、メンバー間で共有するプロセス 連結化(Combination):表出された形式知を組み合わせて新たな知を創造するプロセス 内面化(Internalization):新たに得た形式知を暗黙知として体得するプロセス SECIモデルに取り組む際は、4つのステップを循環させるのが成果をあげるポイントです。 目次に戻る ナレッジマネジメントツール導入のメリット ナレッジマネジメントツールの導入で得られる主なメリットは、「運用の効率化」「属人化の防止」の2つです。組織内のコミュニケーションや知識共有が促進され、生産性の向上や持続的な成長の実現が期待できます。以下で2つのメリットについて確認していきましょう。 運用の効率化 ナレッジマネジメント運用の効率化という面では、以下のメリットを得ることができます。 検索性の向上:データベースにアクセスすることで必要な情報が取り出しやすくなり、作業時間の短縮につながります。 重複作業の回避:情報がすでに存在しているかどうかを確認することができるため、情報の登録や更新作業の重複を防止します。 チームワークの強化:情報の共有や協業が簡単に行えるようになります。複数のメンバーが同じプロジェクトに関わる場合、即時に情報を共有して意見やアイデアを交換することでチームワークが向上し、効率的な業務遂行が可能となります。 属人化の防止 ナレッジマネジメントツールの導入により、個人が保有する豊富な経験やスキルといった高度な情報を共有できるようになるため、属人化の防止という点でも以下のメリットを得ることができます。 ナレッジの消失防止:社員の異動や退職があってもノウハウが失われることなく、業務を遂行できるようになります。 業務の見える化:個人が感覚的に獲得した暗黙知が言語化され業務フローが明確になるため、ナレッジの共有が進みマネジメント体制の整備にもつながります。 組織全体のレベル底上げ:ベテラン社員や優秀な社員の働き方を他の社員が習得することにより、組織全体の知識やスキルを底上げすることも可能です。 属人化が排され業務の見える化が実現できれば、業務上のミスやトラブル防止にもつながるでしょう。 目次に戻る ナレッジマネジメントツールの種類 ナレッジマネジメントツールは組織・個人内の知識や技術・経験などの情報を集約し、体系化してデータベースを構築します。その機能や用途によって、主に以下の4種類に分類できます。 ヘルプデスク(FAQ)型 よくある質問と回答(FAQ)を体系的に分かりやすくまとめ、社内外からの問い合わせを自己解決するタイプのツールです。カスタマーサポートやヘルプデスクチームのユーザー対応など、組織における業務の作業手順や関連知識に素早くアクセスする目的で導入されます。 ドキュメント管理(ファイル共有)型 組織内で文書やファイルを共有、整理、検索するために使用されます。ドキュメントをアップロードし共有できるだけでなく、アクセス制限や更新情報などの管理機能も備えたツールを導入することで組織内の情報共有がより効率化されるでしょう。 マイニング・検索特化型 大量のデータやドキュメントから価値ある情報を抽出し、素早く検索できるタイプのツールです。テキスト管理や機械学習の技術を活用して、文書内のパターンを識別し、関連情報を見つけるのに役立ちます。社内向けの検索エンジンとして、情報収集などに利用されます。 知識共有(グループウェア)型 個人が持っている知識や情報を組織内で効果的に共有し、協業を促進するために使用するツールです。グループウェア機能(グループチャットや掲示板などのメッセージング、ファイル共有、タスク管理など)を組み合わせていることが一般的であり、チームの生産性を向上させるのに役立ちます。 目次に戻る ナレッジマネジメントツールを選ぶ際の基準 ナレッジマネジメントツールの種類について確認してきましたが、導入を検討する際はどのような点を重視すると良いのでしょうか。価格や機能面だけで選ぶのではなく、以下に挙げた7つのポイントも重要となります。 1.目的と要件の明確化 ツールを選ぶ前に、まずは利用目的と必要条件を明確化することが重要です。組織として解決したい課題は何か、どのような目的でツールを導入するのか、目的にかなった必要条件は何かを明確にすることで、最適なツールを選ぶ基準を確立させましょう。 2.ユーザーにとって使いやすいツールか ユーザーが使いやすいツールを選ぶことで、個人や組織の持つ知識や情報はより共有しやすくなります。直感的なインターフェースか、専門的な知識がなくても簡単に登録・更新・閲覧できるか、検索機能が使いやすいかどうかなどを確認しましょう。無料試用期間やデモンストレーションの活用、既存ユーザーのレビューを参考にすることも有効です。 3.カスタマイズと拡張性 中長期的な運用を考慮して、組織のニーズに合わせたカスタマイズが可能か、機能を付加できる拡張性があるかも大事な要素です。ツールが柔軟性を持ち、組織独自のプロセスやワークフローに適応できるかどうかを確認しましょう。 4.モバイル対応とオフライン環境でのアクセス 現代のビジネス環境では、パソコンだけでなく、スマートフォンやタブレット端末などモバイルデバイスが重要な役割を果たしています。移動先やリモートワーク中の自宅など、社外で情報確認や登録作業ができるよう、モバイルデバイス対応かどうかを確認しましょう。 モバイルアプリやレスポンシブデザインを備えたツールであれば、ユーザーはいつでもどこでもアクセスできます。また、オフライン環境でのアクセスも重要です。ネットワークに接続されていない状況でも情報にアクセスできるかどうかも併せて確認しましょう。 5.強固なセキュリティ ナレッジマネジメントツールで集約・共有される情報は機密情報などを含むこともあり、自社にとって重要な情報資産です。不正アクセスによる情報漏えいなど、脅威に対しては必ずリスクヘッジをとる必要があります。導入を検討しているツールのセキュリティについても必ず確認しましょう。 6.導入後の定着支援(カスタマーサクセス) ナレッジマネジメントツールを導入した後も、効果的に活用するための継続的な支援が重要です。ツールの提供元がカスタマーサクセス(CS)プログラムを提供しているかどうかは選定時の重要なポイントの一つです。CS担当者による導入支援や操作トレーニング、定期的なアップデートや技術サポートなど、導入企業がツールを最大限に活用できるようなサポートが提供されているか確認しましょう。これにより、組織内でのナレッジ共有と効果的なコミュニケーション・協業が促進されます。 7.利用コストと費用対効果の評価 ナレッジマネジメントツールを選ぶ際には、利用コストと費用対効果の測定も重要です。導入時の初期費用と利用料、カスタマイズやカスタマーサポートにかかる追加費用、メンテナンス費用など、導入・運用にかかるコストを把握すると良いでしょう。費用対効果の評価については以下のような指標を用い、導入前後の数値変化を測定・比較することをおすすめします。 情報共有や問題解決にかかる時間やリソースの変化 特定のタスクやプロセスの実行にかかる時間の変化 目次に戻る ナレッジマネジメントツール活用の際の注意点 次は、ナレッジマネジメントツール利用の際に注意しておきたいポイントについて詳しく見ていきます。以下の4つのポイントを参考に、ツールを有効に活用していきましょう。 1.ナレッジマネジメントツール活用の目的を設定する 4章の「ナレッジマネジメントツールを選ぶ際の基準」でも触れましたが、まずは活用目的の設定が必要です。社員間でどのような情報を共有し、どのようにツールを利用するのかを明確にするための重要なステップです。 ポイントはユーザーの目線で設定すること。「業務効率を向上させる」「新規プロジェクトの進行をスムーズにする」「新入社員の教育を効率化する」など、具体的な目的を設定することで、ツールの利用方法や必要な情報共有の内容が明確になります。 2.共有するナレッジを明確にする ツール活用の目的が設定できれば、共有すべきナレッジも明確になってくるでしょう。例えば技術的な知識、業務マニュアル、社内研修資料、市場動向など、共有したいナレッジを確定させます。共有すべきナレッジが決まったら、「どのような方法で共有するか」も活用のポイントです。具体的には以下の3つが挙げられます。 FAQ形式でまとめる 検索性を上げて、ナレッジを探しやすくする ツール内のチャットや掲示板を活用する 共有方法については、ナレッジの用途や利用する社員のレベルなどによって最適な方法は異なります。ユーザーの意見をくみ取りながら、ベストの共有方法を選択しましょう。 3.ナレッジマネジメントツールを業務に取り入れる仕組みをつくる ツールの有効活用には、日々の業務に組み込むための明確な仕組みが求められます。定期的な情報更新や修正のスケジュール設定、ツール利用のスキルアップを目的とした社内研修の実施、実際の業務に応じて段階的にツールを取り入れるなど、ナレッジ共有・活用のための仕組みづくりが必要です。 4.業務フローの改善と効率化 ツールを活用した業務フローの文書化やプロセスの見える化などにより、ボトルネックを特定し効率的な改善方法を見つけることが可能となります。ワークフロー管理やタスク管理機能を活用すれば、作業の進行状況を把握しながら必要な調整や優先順位付けを行うこともできるようになり、組織全体の生産性向上と競争力の強化につながるでしょう。 また、ツールの運用によってデータが蓄積されていきます。データを基に構築した仮説から改善案を作成し、実行後に改善できたこと・できなかったことを振り返りながら次の改善案を考える「PDCAサイクル」を実践しましょう。 目次に戻る ナレッジマネジメントツールを有効に活用しよう 本記事では、ナレッジマネジメントツールの選び方と活用方法について解説しました。組織の導入目的を明確にして、利用したい人が誰でも簡単に使えるか、導入後に定着するよう適切なサポートがあるかなど、ポイントを押さえてツールを選ぶのが理想的です。 ナレッジマネジメントに適したツールの一つとして、「learningBOX」をおすすめします。eラーニングシステムのlearningBOXは、教材の作成配布・成績管理・受講者管理の機能がひと通り揃っています。誰でも簡単にWeb学習環境を構築できるのがおすすめのポイントです。 さらに、多彩な研修コンテンツを追加できる「learningBOX ON」と組み合わせれば、オリジナル教材を設計し、ナレッジ共有の幅がより広がるでしょう。ナレッジマネジメントの施策では、ぜひ研修コンテンツ作成の内製化に便利なサービスをご利用ください。 learningBOXのフリープランなら10アカウントまで無料でご利用いただけます。まずはお気軽にお試しください。 ▼こちらもおすすめ!あわせて読みたい 目次に戻る
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社員研修の種類│形式・階層・職種・テーマ別の目的や特徴を比較

社員研修は、優秀な人材の育成には必要不可欠です。研修のタイミングは新入社員や中途社員の入社時、人事異動の際に実施する企業が多い傾向にあります。しかし、社員研修にもさまざまな種類があり、どのような研修を実施すべきか悩むケースも少なくありません。 そこで今回は、形式・階層・職種・テーマ別に研修の種類をご紹介します。新しく社員研修を実施する際や既存の研修を見直す際の参考にしてみてください。 社員研修の主な種類 企業では、人材育成やスキルアップを目的として随時研修が実施されています。ここでは、社員研修の種類を実施形式別にご紹介します。 研修形式の種類 OJT研修 OJT研修とは、職場で業務を実践しながら指導を行う教育研修のことです。OJTは「On the Job Training」の略称で、職場内研修とも呼ばれます。職場の新人や若手を対象にした教育手法として用いられることが多い傾向にあります。業務をこなしながら効率的にノウハウを学べるため、研修後は即戦力としての活躍を期待しやすく、多くの企業で採用されている研修方法です。 OJT研修の進め方は、まず先輩社員や上司が手本を見せ、次に本人に挑戦させて指導やフォローを行う流れが一般的です。実践的な内容を学べるため、モチベーションや満足度の向上につながりやすい一方、指導者側の負担が大きくなりやすいデメリットもあります。 Off-JT研修 Off-JT研修とは、実務の現場から離れて行われる教育研修のことです。「Off the Job Training」の略称で、職場外研修とも呼ばれます。 Off-JT研修は、オンライン研修と集合研修に大別できます。オンライン研修とは、Web会議システムなどを通じて受講する研修のことです。パソコンやスマートフォン、タブレット端末などを利用して研修を実施します。 オンライン研修は「eラーニング研修」とも呼ばれます。対面型の研修とは異なり、時間や場所に関係なく参加できるため、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い注目を集めている手法です。実施コストの削減や学習効率の改善、教育機会の均等化などの効果が期待できます。 一方、集合研修とは一つの会場に講師や受講者が集合して行う、セミナーなどのオフライン形式の研修を指します。集合研修は、座学形式と対話や体験の形式に分かれるのが特徴です。対話や体験の形式では、ロールプレイングやワークショップ、グループワークなどを実施します。    研修の内製化と外部委託 社員研修を外部に委託せずに社内で実施する研修を社内研修と呼びます。一方、研修を外部に委託する社員研修は社外研修といわれています。具体的には、研修カリキュラムや講師、進行役、場所などを委託するのが一般的です。 目次に戻る 階層別研修の種類 社員研修は、社員の役割や階層ごとに求められるスキルや経験が異なることから、一般社員や管理職などの階層別に研修内容を分けて行うケースがあります。続いては、階層別研修の種類をご紹介します。 新入社員向けの研修 新入社員向けの研修は、社会人としての意識改革や基本的なビジネスマナーの習得などを目的に実施されます。ビジネスマナー研修やコミュニケーション研修、ExcelやWordなどのOAスキル研修などが研修テーマの代表例です。 新入社員向けの研修では、OJT研修とOff-JT研修を組み合わせるのがおすすめです。基本的な知識のインプットをOff-JT研修で行い、習得した知識の理解度を確認する場としてOJT研修を用意すると良いでしょう。OJT研修とOff-JT研修を組み合わせた研修に向いている研修テーマには、名刺の受け渡しや電話対応、ビジネスメールの作成など挙げられます。 若手社員向けの研修 若手社員向けの研修は、一般的に2年目~3年目の社員向けに行う研修です。成長途中の若手に対して、仕事を全うする基礎力や目標達成のための応用力を身に付けさせる目的で実施します。 主な研修テーマとしては、セルフマネジメント研修やキャリアマネジメント研修、問題解決能力研修などが挙げられます。主体的な行動力やセルフマネジメント能力、ロジカルシンキングなどを磨き、組織の中心人物へと成長するための考え方やヒントを学ぶ段階です。 中堅社員向けの研修 中堅社員とは、勤続年数だけでなく組織におけるリーダーの補助や、部下との円滑な関係の構築に尽力する人材を指すケースが一般的です。そのため、中堅社員向けの研修ではフォロワーシップ研修やメンター研修を実施し、現場と管理職の橋渡し役となれる人材を育成します。そのほかには、顧客との良好な関係の構築や課題解決能力の向上を目的に、クレーム対応研修を開催している企業もあります。 ただし、中堅社員は組織で中心的な役割を担っており     多忙なケースも多いことから、研修を実施していない企業も少なくありません。次世代のリーダーを育てるためにも、人事部や運営者が中堅社員に求められる能力を明確にし、効率的に習得できる研修を提供する必要があるでしょう。 管理職向けの研修 管理職は、部長や次長など経営層に近い視点で現場をマネジメントし、成果に対する責任を持つ立場の人材です。管理職向けの研修テーマの例としては、リーダーシップ研修やコーチング研修、マネジメント研修、チームビルディング研修、労務管理研修などが挙げられます。 リーダー研修やコーチング研修では部下のケアや指導技術を学び、マネジメント研修やチームビルディング研修などでは人材を適切に管理する能力を養います。管理職の活躍は企業の経営戦略に直結するため、正しいタイミングで研修を実施することが大切です。 目次に戻る 職種別研修の種類 ビジネスパーソンに求められるスキルは職種ごとに異なるため、研修内容も職種に合わせて最適化するのが理想です。こちらでは、営業職・事務職・企画職別におすすめの研修をご紹介します。 営業職向けの研修 営業職向けの研修は、個人や会社全体の営業成績の向上、営業手法の改革などを目的に実施されます。主なテーマとしては、提案力向上や営業戦略の思考力向上、リモート営業のスキル、営業マインドの醸成などが代表的です。 営業研修は、新入社員や若手社員はもちろん、中堅の営業パーソンやベテランにも有効です。経験の浅い社員向けにはビジネスマナーや資料作成などの基礎的な内容も盛り込み、実績のある社員には今までの営業手法をアップデートできる研修にすると良いでしょう。営業職はオフィスを離れる機会が多いため、研修効果を高めるには、eラーニングを活用するなど時間や場所を問わず学習できるよう工夫するのがおすすめです。 事務職向けの研修 事務職向けの研修には、ビジネスマナー研修やセールスマインドの醸成研修、ビジネス文書研修などがあります。事務職の仕事にはルーティンが多く、成果が見えにくいことから、現状の変更に対する意識が希薄になりがちです。そのため、研修の実施によって事務職に求められているスキルを見直し、業務の効率化やミスの防止につなげる狙いがあります。 また、現代のビジネスシーンでは、事務職が顧客の初期対応を行うケースも少なくありません。そのような場合は、電話応対研修やCSマインド向上研修などを実施し、顧客目線を持ったスタッフへと育成する必要があります。 企画職向けの研修 企画職向けの研修は、企業が抱える課題の本質を見抜く能力や分析力、実現可能性のあるアイデアの発想力などを磨く目的で実施されます。主な研修テーマとしては、情報活用や企画力向上、マーケティング思考などが代表的です。 また、発想力が求められるのは企画職だけではありません。顧客と直接向き合う営業職や新たな感性を持った新入社員からアイデアが生まれ、新規事業につながるケースもあります。そのため、企画職向けの研修は、幅広い社員を対象に実施するのが望ましいでしょう。 目次に戻る テーマ別研修の種類 社員研修の効果を最大化するには、自社の課題を洗い出したうえで目的に沿ったテーマを選ぶことが重要です。そこで最後は、テーマ・目的別に研修の種類をご紹介します。 情報セキュリティ研修 情報セキュリティ研修は、情報漏えいやサイバー犯罪といったセキュリティリスクを未然に防ぐために行われる研修です。ビジネスパーソンはあらゆるシーンで機密情報に触れる機会があります。そのため、情報セキュリティ研修は、役職や職種にかかわらず全社員を対象にすることが望ましいといえるでしょう。 また、情報セキュリティ研修は、座学を中心としたOff-JTの形式に適しており、テレワークを導入する際にリテラシーを高める目的で実施されることが多い傾向にあります。情報セキュリティに関する最新の事例やリスクを迅速に共有するには、カリキュラムの追加や変更を柔軟に行えるeラーニングを導入するのがおすすめです。 コンプライアンス研修 コンプライアンス研修は、企業運営に必要な法令遵守の徹底や企業価値の向上を目的に実施されます。コンプライアンスの意味は近年拡大傾向にあり、法令だけでなくモラルや倫理観も含めて意識を強化することが重要です。例えば、研修のテーマにSNSの利用方法を盛り込み、プライベートでの言動が企業に損害を与えるリスクについて理解させるケースもあります。 コンプライアンス研修は、インプットを中心とした学習になりやすいため、Off-JTの形式やeラーニングに適しています。業界や業種ごとに問題となりやすいコンプライアンスの事例をピックアップし、教材に活用するのが良いでしょう。 ハラスメント研修 パワハラやセクハラなどの迷惑行為を未然に防ぐために役立つのが、ハラスメント研修です。上司や管理職向けの研修と捉えられがちですが、ハラスメントはあらゆる立場で生じる可能性があるため、対象者は限定しないほうが良いでしょう。また、全社員に向けて研修を実施することでハラスメントの基準が統一され、問題の早期発見につながるメリットもあります。 ハラスメントに対する認識は、世代や価値観によって変わってきます。そのため、ハラスメント研修は適宜内容をアップデートし、時代に沿ったプログラムを提供することが大切です。 ダイバーシティ研修 ダイバーシティ研修は、多様な人材や働き方を尊重し合いながら業務を行い、企業競争力を高める目的で実施される研修です。労働人口が減少し、人材の流動化が進む現代のビジネスシーンでは、ダイバーシティに関する理解が欠かせません。特に、女性の管理職登用の推進や、外国人・高齢者・障害者の雇用などを進めている企業は、積極的にダイバーシティ研修を実施しましょう。 ダイバーシティ研修は、座学による知識のインプットだけでなく、参加者によるディスカッションの場を設けるのがおすすめです。幅広い考え方や価値観に触れることができ、ダイバーシティへの理解が深まります。 目次に戻る 研修の種類を使い分けて企業が抱える問題を解決しよう 今回は、社員研修の基本的な種類についてお伝えしました。社員研修の効果を高めるには、企業が抱える課題や人材育成の方針に応じて、適切な種類の研修を実施することが重要です。ルーティンで毎年同じ研修を実施するのではなく、自社の課題やゴール、対象者を明確にした上で、新たな研修の構築や内容の修正に取り組みましょう。 研修の際に利用するマニュアル動画の作成や、ナレッジの動画化に活用できるサービスをお探しの方は、「learningBOX」をご検討ください。learningBOXは教材の作成や配布、採点、学習者の管理など研修に必要な機能が揃った学習管理システムです。 また「learningBOX ON」には、企業で必須となる研修コンテンツが複数用意されています。無料で使える情報セキュリティ研修やコンプライアンス研修などもあり、自社で内製したコンテンツと組み合わせることで、オリジナルの研修プログラムを簡単に設計することができます。 10アカウントまでなら無期限・無料でほぼすべての機能がご利用いただけるフリープランも用意していますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。    ▼こちらもおすすめ!あわせて読みたい 目次に戻る
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組織開発とは?人材開発との違いや実施手順、メリットや代表的な手法

組織を活性化して社員が個人やチームで成果を上げられる状態を作るには「組織開発」が効果的です。施策により現状の組織課題の解決につなげられる可能性があります。最大限にパフォーマンスを発揮できる組織を目指して、取り組みをご検討ください。 本記事では、組織開発の基礎知識や、実施するメリット・デメリット、手順やポイントなどを解説します。また、組織開発の主な手法やフレームワークもご紹介するため、人事担当の方はぜひ参考にしてみてください。 組織開発とは 初めに、組織開発の意味や目的、注目されている理由や背景などの基礎知識をお伝えします。なぜ組織開発に取り組むべきなのか、今後の実践へ向けて理解を深めることから始めましょう。 組織開発の意味と意義 組織開発とは、組織内の人と人との関係性や相互作用により、組織を活性化させる考え方や取り組みを意味する言葉です。英語の「Organization Development」を略して「OD」とも呼ばれています。組織開発の施策では、組織内の課題を表面化させ、社員一人ひとりが当事者として解決策を考える状態を目指します。 組織開発の主な目的 組織開発は、組織が常に変化する環境に適応しながらも、健全に機能し続けることを目的として行われます。組織の課題に対して、個人が自発的に働きかける企業風土を作るという重要な役割があります。集団にシナジーが生まれる仕組みやルールを整えることも、組織づくりにおける大切な取り組みの一つです。 組織開発が注目されている理由・背景 日本のビジネスシーンで組織開発が注目されているのは、個人の働き方の変化に伴い、組織にも変革が求められていることが理由です。その背景として、成果主義的な価値観の広まりや社員の雇用形態や国籍などの多様化、IT技術の普及に伴うコミュニケーション手法の複雑化が挙げられます。 こうした時代の変化に対応しきれず、自社の人材を十分に活用できていない企業も少なくありません。企業は組織を活性化させて、自社の強みを最大化する環境を整えていく必要があります。そこで、個人間やチーム間の関係性を重視し、コミュニケーションの質を高める組織開発が求められているのです。 目次に戻る 組織開発と人材開発の違い 組織開発と似た用語に「人材開発」があります。ここでは人材開発の意味や組織開発との違いについて、両者を比較しながら解説します。 組織開発と人材開発は、対象や手法に違いがあります。 人材開発とは、社員を対象に知識やスキルの習得を促し、個人のパフォーマンスを高める取り組みを意味します。「人材育成」と同様の意味で使われるケースも珍しくありません。現状の社員に不足している知識やスキルを身に付けさせることで、一人ひとりの能力を向上させるのが目的です。そこでは研修やワークショップなどの手法が用いられます。 一方で組織開発の対象となるのは、個人やチーム間の関係性や、それらの相互作用などです。また組織開発の手法では、組織内の環境や仕組みの構築などが行われます。 以下の表では、「新入社員の離職」と「若手社員の早期戦力化」という2つの課題を事例として挙げながら、組織開発と人材開発の違いを比較しました。 <組織開発と人材開発の要因抽出や施策の違い①> 組織開発 人材開発 課題 新入社員の離職 取り上げる要因 新入社員と上司の関係づくりが難しい環境 新入社員の上司のマネジメント力不足 施策の例 部下から上司へフィードバックする制度の導入 新入社員の上司を対象にした研修やワークショップの実施    <組織開発と人材開発の要因抽出や施策の違い②> 組織開発 人材開発 課題 若手社員の早期戦力化 取り上げる要因 若手社員の上司との関係性の問題、課題認識の相違 若手社員の知識やスキルの不足 施策の例 1on1ミーティングのルール改善 若手社員向けの研修実施    目次に戻る 組織開発のメリット・デメリット 組織開発へ取り組むにあたり、事前にメリットとデメリットを押さえておきましょう。組織内で生じる負担を考慮しながら、より良い効果をもたらす取り組み方ができると理想的です。 組織開発のメリット 組織のパフォーマンス最大化 企業が組織開発に取り組むことで、一人ひとりの社員はもちろん、組織全体にも良い影響が期待できます。個人やチームのパフォーマンスを高められる可能性があるのがメリットです。良いアイデアが創出されやすくなったり、意思決定のスピードが向上したりと、組織改善につながります。 組織開発の取り組みは個人に依存しにくく、組織の仕組み自体を変えるアプローチであるため、持続的な効果が期待できるでしょう。 ブランディング強化 組織開発の施策により、個人やチームが同じ目標や価値観を共有することで、自社のブランディング強化につながります。企業として目指すべき方向性を理解した上で個人やチームが行動できるようになるので、顧客へ提供するブランド価値やサービス品質を高められるでしょう。組織の内側から強固なブランドを構築することが可能です。 組織の一体感やモラルの向上 組織開発により組織内のコミュニケーションが活発になると、職場に良好な人間関係が築かれて、協力や対話がしやすい状態へと発展します。同じ組織に所属する一体感で、仕事のモチベーションが高まるのがメリットです。また、メンバー間の相互作用により、積極的に良い取り組みをする企業風土が醸成され、モラルの向上も期待できます。 組織開発のデメリット 業務の負担が増大するリスクもある 組織開発の施策内容によっては、現状の業務フローを変える必要が出てきます。業務で個人間やチーム間の連携方法が変わる場合には、一時的に現場の業務効率を下げる恐れがある点にご注意ください。 例えば、チーム間の連携用に新たな進捗管理シートを導入するケースでは、入力の負担が予想以上に大きいといった事態も想定されます。この場合、通常業務にかけられる時間が不足する可能性も考慮すべきでしょう。 社員の反発や無関心な態度を生む恐れがある 組織内には、組織開発による変革に批判的な意見を持つ社員もいるかもしれません。こうした社員と向き合わなければ、導入後に組織内で反発を招く恐れがあります。また、多くの社員が無関心なままで施策を続けると、形骸化して失敗に終わってしまうリスクが存在します。 組織開発に協力的でない社員もいることを踏まえて、あらかじめ導入方法や対処方法まで検討しておくと安心です。 目次に戻る 組織開発を実践する手順やポイント 組織開発を実践する流れを、4つのステップに分けて解説します。それぞれの段階で注意すべきポイントもご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。 Step1. 現状を把握して目的を明確にする 初めに自社の現状を踏まえた上で、組織開発の目的を明確化します。そこでは抽象的な問題ではなく、あくまでも事実に基づいた具体的な問題を洗い出すことがポイントとなります。社員へのヒアリングやアンケートなど通じた情報収集が有効です。 自社の課題が明らかになったら、目指すべき組織の状態と現状とのギャップを可視化しましょう。問題の分析結果や、自社の企業理念・ビジョンなどを踏まえて、組織開発の方向性を決めていきます。 Step2. 具体的なアクションプランを企画する 初めに策定した方向性を踏まえて、具体的な組織開発のアクションを決めていきます。施策を検討したら、現場へ協力を呼びかけることも大切です。その際は、組織のキーパーソンを巻き込んでサポートを得ると、リーダーシップが発揮され、施策を実行しやすくなります。 Step3. スモールスタートで施策の効果をテストする 施策を開始して、効果検証を行う段階です。最初は一部の部署やチームに限定しながら取り入れるなど、できるだけ小さな単位で進めていくことをおすすめします。まずは試験的に導入し起こり得る課題を把握した上で、次第により大きな範囲へと広げていきましょう。 Step4. 成功した施策を全社に導入する 効果検証を実施しスモールスタートで成功が認められたら、組織開発を全社に導入します。施策の結果を分析し、成功の理由が明らかになったら、次の施策へと反映させることが重要です。また全社に導入した後も引き続き効果検証を行い、改善を繰り返していきましょう。 目次に戻る 組織開発に活用できる手法・フレームワーク 最後に、多くの企業の組織開発で活用されている、代表的な手法やフレームワークをご紹介します。自社の組織開発の施策にも取り入れてみてはいかがでしょうか。 AI(アプリシエイティブ・インクワイアリー) 「AI(アプリシエイティブ・インクワイアリー)」は、質問によって個人や組織の可能性やなりたい姿を描き、アクションプランを考える手法です。英語のAppreciative Inquiryを略して「AI」とも呼ばれます。Appreciativeは「価値を見出す」、Inquiryは「質問をする」という意味です。 AIの手法では     チームごとに個人の良い部分や目指す姿、成功した要因などを見つけて、深掘りする質問を投げかけ合います。社員に取り組ませることで、ポジティブなイメージを共有する習慣がもたらされます。 ワールド・カフェ 「ワールド・カフェ」は、カフェのようにリラックスできる環境で自由な話し合いを行う対話型の手法です。基本的に少人数のグループで行い、事前に決められたテーマについて話し合いながら、互いに理解を深めていきます。グループのメンバーは時間制で交代し、最後に全体で気付きを共有していきます。 ワールド・カフェでは、 討論を行う必要はありません。立場の異なる社員同士がフラットに話す機会を提供し、組織の相互理解を促すことが目的です。 ソフトの4S 「ソフトの4S」は、組織運営で指標となる、相互に関係する4つの要素を示したものです。「企業理念(Shared value)」「社風(Style)」「人材(Staff)」「能力(Skill)」の頭文字を取って4Sと呼ばれます。自社の組織にかかわるソフト4Sを分析することで戦略立案にもつながります。 ソフトの4Sは、経営コンサルティングファームのマッキンゼー・アンド・カンパニーが提唱した「組織の7S」に登場する考え方です。組織の7Sは、「ソフトの4S」と「ハードの3S」から構成されています。ハードの3Sは「戦略(Strategy)」「組織構造(Structure)」「システム・制度(System)」を意味し、ソフトの4Sよりもコントロールしやすいと言われています。 タックマンモデル 「タックマンモデル」は、心理学者のタックマンが提唱したフレームワークで、組織の成長段階を5つのステージで示します。ステージは「形成期」「混乱期」「統一期」「機能期」「散会期」に分かれています。 タックマンモデルを参考にすると、それぞれのプロセスで生じやすい課題を踏まえて、組織づくりに役立てられます。チームビルディングでもよく用いられるモデルで、高いパフォーマンスを発揮できる組織を目指す場合に適しています。 目次に戻る 組織開発で自社を成長へ導きましょう ここまで組織開発について解説しました。組織開発では、組織内の関係性や相互作用により、組織を活性化させることができます。パフォーマンスを高める効果が期待できる一方で、現場の負担や社員の反発にもつながり得るため、導入時に注意したい部分もあります。ご紹介した手順とポイントを参考に、組織を成長へ導く施策をご検討ください。 組織開発の施策を成功させるには、現場のキーパーソンとの連携が欠かせません。組織開発へ向けて、管理職やリーダー層向けのマネジメント研修を実施する際は、eラーニングシステムの「learningBOX」をご活用ください。learningBOXは教材の作成や配布、採点、学習履歴の管理など、社内研修の実施に必要な機能がひと通り揃った学習管理システムです。 また「learningBOX ON」には、企業で必須となる研修コンテンツが複数用意されています。無料で使える情報セキュリティ研修やコンプライアンス研修などもあり、自社で内製したコンテンツと組み合わせることで、オリジナルの研修プログラムを簡単に設計することができます。 10アカウントまでなら無期限・無料でほぼすべての機能がご利用いただけるフリープランも用意していますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。    ▼こちらもおすすめ!あわせて読みたい 目次に戻る
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テレワーク環境の研修でよくある課題と対処法、運用効果を高めるコツ

ニューノーマル時代の働き方として、多くの企業がテレワークを実施しています。従来のオフィスへ出社する働き方とは仕事の進め方が変化しただけでなく、研修の形式も大きく変化しました。テレワークに併せて、研修もオンラインで実施する動きが広まりつつあります。 こうしたテレワーク中のオンライン研修には、集合研修とは異なるどのような特徴があるのでしょうか。 本記事では、オンライン研修でよくある課題と対処法、研修の運用効果を高めるポイントを解説していきます。 テレワークに対応できるオンライン研修とは テレワークでは時間や場所に縛られない働き方ができる反面、従来の研修のように社員を同じ会場に集めるのが難しくなります。そのような場合は、オンライン研修を導入すれば テレワークの環境でも研修を実施しやすくなるでしょう。 オンライン研修とは、Web会議システムなどを通じて受講する研修のことです。学習者は、パソコンやスマートフォン、タブレット端末などの機器を利用して学びます。こうしたオンライン研修は「eラーニング研修」とも呼ばれます。 オンライン研修を実施する際は、対面で行う従来の集合研修との違いを把握し、テレワークならではのデメリットをカバーすることが重要です。 目次に戻る テレワークに対応できるオンライン研修の種類 テレワークに対応可能なオンライン研修には、主に「ライブ配信型」と「オンデマンド配信型」の2種類があります。ここではそれぞれの研修方法の特徴を解説します。 ライブ配信型の研修 ライブ配信型の研修は、リアルタイムで研修を開催するのが特徴です。Web会議システムなどを利用して講義を行い、学習者は各自オンラインで参加します。リアルタイム開催のため、まるで集合研修のような臨場感があります。 指導者と受講生は相互にやり取りができるので、その場で分からないことがあれば質疑応答を行うことが可能です。また、指導者が学習者に指示して発言させるなど、対面と同様の講義もできます。オンデマンド配信型と比べると、指導者と学習者の間でコミュニケーションが取りやすいといえるでしょう。 ライブ配信型の研修では、学習者が理解できていない部分をその場でフォローしやすいのがメリットです。ただし、通信環境によるトラブルで映像や音声が乱れると、受講に支障をきたす恐れがあります。また、学習者は全員が同じ時間に参加する必要があるため、自分のペースで学ぶのには適していません。 オンデマンド配信型の研修 オンデマンド配信型の研修は、あらかじめ用意されたコンテンツを活用するのが特徴です。学習者はオンラインで共有した研修コンテンツを使って学びます。録画された講義の動画を視聴したり、配布された研修資料を閲覧したり、多様な学び方が可能です。 オンデマンド配信型の研修は、学習者が自分のペースで研修を受けられます。また、配信する研修コンテンツは事前に準備できるため、リアルタイムで開催するライブ配信型と比べて、運営側の準備の負担も抑えやすいでしょう。通信環境によるトラブルで大きな影響を受ける心配もありません。 運営の負担を抑えながらも、安定したクオリティの研修を提供できるのがメリットです。ただし、学習者のアウトプットを前提としていない研修設計の場合は、研修中に学習者の反応を把握しにくいのが難点です。受講後にフィードバックを実施するなど、研修の効果を高めるための工夫が求められます。 目次に戻る テレワーク中のオンライン研修でよくある課題と対処法 オンライン研修では、従来の集合研修とは異なる課題に直面する可能性があります。テレワーク中に開催する場合は、よくある課題を把握し、解決へ向けて対処法を押さえておきましょう。 学習者の主体性が生まれにくい オンライン研修は従来の集合研修に比べて、表情や身振り手振りといった非言語のコミュニケーションがとりにくい傾向があります。そのため従来の研修よりも質問や意見を出すハードルが上がり、学習者が不安を感じて受け身になってしまうことも珍しくありません。 こうした課題に備えて、テレワーク中の研修では、参加人数をある程度少なくすることも必要だといえます。また、研修プログラムに少人数のグループワークを組み込むなど、学習者の主体的な参加を促す工夫を行うと良いでしょう。 予期せぬトラブルが発生しやすい オンライン研修中は、インターネット環境のトラブルが起こる可能性があります。トラブルによっては速やかに原因を特定するのが難しく、解決できない場合もあるでしょう。よくあるトラブルとして、以下の例が挙げられます。 音声にノイズが入る 画面シェアされた資料が見えにくい 途中で回線が切れてしまう 予期せぬトラブルが発生した際に備えて、早期に対処できる体制を整えておくことが重要です。具体的には、進行とアシスタントの役割を分ける、トラブル対処法のマニュアルを用意しておくなどの対策を講じましょう。 学習者が集中力を維持しにくい テレワークでの研修中は、学習者が集中し続けるための適度な緊張感を持ちにくい傾向にあります。指導者から直接目の届く場所に学習者がいないためです。また、対面の研修と比べ、質疑応答やグループワークなどのアクションが限定的になることも理由の一つだといえます。 研修に適度な緊張感を持たせるには、集中して取り組む必要性を高めるためのルールや仕組みを設けると良いでしょう。例えば、研修内容を確認するチェックテストを実施して、学習者の理解度を評価する方法が挙げられます。 目次に戻る テレワーク中のオンライン研修の効果を高めるポイント オンライン研修を提供する企業側は、効果的に実施するために、以下の取り組みをご検討ください。最後に、研修の効果を高めるポイントを解説します。 インターネットの通信環境を整える テレワークでの研修をスムーズに進めるには、安定した通信環境が欠かせません。ただし、参加者全員が一切トラブルを起こさない完璧な環境を保つのは難しいでしょう。そのため、トラブルを最小限に抑えるための企業側の準備を徹底できると理想的です。 例えば、オンライン研修のトラブルの原因になりやすいパソコンやWeb会議システムの環境設定をチェックするリストを作成し、参加者に確認してもらうことなどの対策が挙げられます。また、エラーが起きにくい管理システムを構築・選定することも大切です。 一方通行ではないコミュニケーションを心掛ける オンライン研修では、指導者や学習者の交流を促し適度な緊張感を保つためにも、双方向でのコミュニケーションを取り入れることが重要です。学習者は基本的に映像付きで出席させて、顔が見える状態でやりとりを行います。互いに顔を見せ合うことで、対面のように自然なコミュニケーションがとりやすくなるでしょう。 また、指導者の問いかけに対して学習者に何らかのアクションを促すことも有効です。その際は、Web会議システムに搭載されたチャット機能やリアクション機能などを活用すると、各自の反応を確認できます。「理解できました!」「なるほど!」といった簡単なコメントが投稿されるだけでも、その場の盛り上がりを実感しやすくなります。 オンライン研修に適した学習管理システムを導入する オンライン研修に適した学習管理システムの導入も検討しましょう。専用の管理システムを活用すれば、研修コンテンツの作成から学習者の成績管理まで、人事担当者の業務がスムーズになります。 学習管理システムには、研修資料を配布する機能や、学習者ごとの進捗状況を確認する機能などが搭載されています。機能を利用してチェックテストを実施すれば、学習管理を強化する際にも役立つでしょう。学習者がモチベーションを維持しやすい環境を整えやすくなります。 目次に戻る テレワーク中も効果的なオンライン研修を実施しましょう 今回は、テレワークに対応可能なオンライン研修の特徴や、よくある課題と対処法、研修効果を高めるポイントまでお伝えしました。 オンライン研修では、学習者が主体性や緊張感を持ちにくい点が大きな課題だといえます。研修を実施する際は、双方向でのコミュニケーションを意識的に取り入れたり、学習管理を徹底したりすることで、モチベーションの維持につなげられます。 オンライン研修のための学習管理システムをお探しの方には「learningBOX」がおすすめです。learningBOXは教材の作成や配布、採点、学習履歴の管理など、オンライン研修の実施に必要な機能がひと通り揃った学習管理システムです。 また「learningBOX ON」には、企業で必須となる研修コンテンツが複数用意されています。無料で使える情報セキュリティ研修やコンプライアンス研修などもあり、自社で内製したコンテンツと組み合わせることで、オリジナルの研修プログラムを簡単に設計することができます。 10アカウントまでなら無期限・無料でほぼすべての機能がご利用いただけるフリープランも用意していますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。    ▼こちらもおすすめ!あわせて読みたい 目次に戻る
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ウェルビーイングとは?注目される理由と促進する効果、取り組み例

社員が健康で幸福に働くためには、企業側の取り組みが欠かせません。近年では新型コロナウイルス感染症の影響もあり、社員の働き方や企業のあり方が見直されています。そのような中で注目されている考え方が「ウェルビーイング」です。 今回はウェルビーイングとはどのような考えを意味し、なぜ企業に注目されているのかを解説するとともに、ウェルビーイングを促進する取り組みにも触れていきます。人事・総務部門のご担当者様はぜひお役立てください。 ウェルビーイングとは? 初めに、ウェルビーイングという言葉の意味や定義、似ている用語との違いを解説します。また、近年ウェルビーイングが社会で重視されている理由にも触れます。まずは基本から確認してみましょう。 ウェルビーイングの意味と定義 ウェルビーイングは、直訳で「幸福」や「健康」を意味します。厚生労働省によって「個人の権利や自己実現が保障され、身体的、精神的、社会的に良好な状態にあることを意味する概念」と定義されている言葉です。 【出典】 「雇用政策研究会報告書 概要(案)」(厚生労働省) また、世界保健機関(WHO)の設立の際に考案された以下の憲章で、はじめて言及されました。 「Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.」(健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいいます。) 【出典】 「世界保健機関(WHO)憲章とは」(公益社団法人 日本WHO協会) ウェルビーイングは、WHOをはじめとした世界の機関でも重視されており、日本のビジネスシーンに限らずグローバルに注目されている概念です。 ウェルビーイングと健康経営の意味の違い 「健康経営」は、経済産業省によって「従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践すること」と定義されています。 健康経営はウェルビーイングと混同して使われることも少なくありません。両者の違いは、概念であるか、具体的な手法であるかです。ウェルビーイングは概念であり、健康経営は実現するための手法である点が違いだといえます。 ウェルビーイングを追求する経営は「ウェルビーイング経営」と呼ばれます。ウェルビーイング経営と健康経営は、追及する健康の範囲に違いがあります。ウェルビーイング経営とは、社会的な健康を含めた広範囲の健康を追求する経営です。それに対して健康経営は、主に心身の健康を追求する経営とされています。 【出典】 「健康経営」(経済産業省) ウェルビーイングが社会で重要になっている理由 働き方改革の強化 働き方改革の実現には、ウェルビーイングに含まれる社会的な充足が欠かせません。その理由は、働き方改革の目標のひとつに「働く人、一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすること」があるためです。働き方改革に取り組む企業は、ウェルビーイングの考え方も理解しておくと良いでしょう。 SDGsの推進 SDGs(持続可能な開発目標)とは、2015年に国連サミットで採択された国際目標のことです。このSDGsの目標のひとつに「すべての人に健康と福祉を」という内容が含まれています。日本国内に留まらず、国際目標であるSDGsにおいてもウェルビーイングの向上が求められ、世界的に注目されています。 ダイバーシティの浸透 ダイバーシティには、性別や国籍、性格や価値観、障害の有無や働き方などの要素があります。近年は、多様な価値観やバックグラウンドを持った人が協働する機会が増えています。その理由として挙げられるのは、日本企業の海外進出や、国内の外国人労働者増加などです。多様性を尊重する経営方針や取り組みが重要となっています。 目次に戻る 企業がウェルビーイングに取り組むメリット・効果 企業がウェルビーイングに取り組むと、次のようなメリットや効果が期待できます。ぜひ積極的な取り組みをご検討ください。 社員の充足感が向上しやすくなる ウェルビーイングが向上すると、社員が自分の人生における意義を見出しやすくなります。幸福度が上がり、仕事に対するやりがいを感じられるようになれば、モチベーションを高める効果が期待できるでしょう。社員の主体性が高まり、生産性やパフォーマンスが向上することで、企業の業績に良い影響をもたらす可能性があります。 人材の定着につながる効果を期待できる ウェルビーイングにより社員の心身が安定すると、離職の要因を未然に防ぎやすくなります。ウェルネスな働き方が社内に広まれば、職場における人間関係が円滑になるといった持続的な効果が期待できます。従業員の離職にともなう採用コストや、新人の教育コストなどを抑えられるのは、企業にとってメリットといえるでしょう。 目次に戻る ウェルビーイングを促進するための取り組みの例 自社のウェルビーイングを促進するには、どういった施策に取り組むべきでしょうか。最後に、ウェルビーイングへの取り組み方や、実現へ向けた具体的な施策をご紹介します。 社員のコミュニケーションを促進する 社員同士のコミュニケーションが円滑になると、ウェルビーイングが向上しやすくなります。その理由は、人間関係や仕事の悩みが解消されやすくなるためです。 コミュニケーション促進の具体的な施策には「サンクスカード制度」などが挙げられます。サンクスカード制度とは、社員同士で感謝の言葉を紙やデジタル上のカードに書いて伝え合う制度のことです。個人で手紙を渡したり、代表者がまとめて掲示板に貼ったりする方法を用いることもあります。 研修によって必要な知識の習得を図る 社内にウェルビーイングを周知するには、網羅的な知識のインプットや、実践演習などが含まれる研修を実施するのが有効です。社員がウェルビーイングに関して学びを深める機会を提供できます。 研修内容としては、「ハラスメント研修」や「ダイバーシティ研修」などを実施すると効果が期待できるでしょう。特定のテーマについて学ぶ研修は、学習内容を深掘りしやすい点が長所です。社内でコンテンツを用意するコストを省くために、外部サービスを利用する方法もご検討ください。 労働条件や職場環境を改善する ウェルビーイングへの取り組みでは、社員が働きやすい環境を整えることも重要です。既存の制度を見直して改善したり、新たな制度を取り入れたりすると、柔軟な働き方ができる可能性があります。 例えば、福利厚生の充実化をはかると、満足度の向上が期待できます。食事補助や、託児所・保育所の設置、テレワーク補助金の支給などの取り組みも有効です。 目次に戻る ウェルビーイングで社員が幸せに働ける企業を目指して 世界的に注目される「ウェルビーイング」について解説しました。社員の幸福や健康を考えて、ウェルビーイングの促進に取り組むことで、企業側にもさまざまなメリットや効果がもたらされます。ウェルビーイングについて詳しく知らない社員が多い場合には、研修によって必要な知識の習得をサポートすると良いでしょう。 ウェルビーイングについて周知するならeラーニングシステムの「learningBOX」がおすすめです。learningBOXは、コンテンツの作成・配信や受講者の管理など社内教育に不可欠な機能が備わっているeラーニングシステムです。研修の内容に沿ったコースの設計、社員の習熟度を確認するテストも簡単に実施できます。シンプルな操作性とリーズナブルな価格が好評で、多くの企業の社内研修にも採用いただいています。 10アカウントまでなら無期限・無料でほぼすべての機能がご利用いただけるフリープランも用意していますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。    ▼こちらもおすすめ!あわせて読みたい 目次に戻る
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新入社員研修の4つの目的│効果を高める目的設定や計画のポイント

新入社員研修とは、働く上での心構えや知識、スキルの習得を促すための指導や教育を行う研修のことです。一般的に、新卒採用などで初めて会社に就職した新卒社員を対象に実施します。そのため、即戦力として採用される中途社員の研修とは、目的が大きく異なる点に留意しましょう。 本記事では、新入社員研修に携わる研修担当者様へ向けて、研修を実施する目的を解説します。また、研修効果を高めるために、目的設定や計画のポイントまでお伝えしますので、ぜひ参考にしてみてください。 新入社員研修(新人研修)を実施する4つの目的 新入社員研修の実施には、主に以下の4つの目的があります。なぜ新卒採用後に研修を受講させる必要があるのか、新入社員研修の役割を改めて確認してみましょう。 社会人としての意識改革 入社直後に実施する新入社員研修には、学生と社会人の違いを理解し、社会人である自覚や責任を持ってもらう意味合いがあります。 この段階の新入社員には、まだ社会人として仕事をした経験がないことから、学生気分が残っている場合も少なくありません。学生時代とは異なる環境に素早く適応し、着実に業務を遂行してもらうためにも、研修による意識改革が必要だといえます。 仕事では、単なる個人の好き嫌いにかかわらず、自分の業務や職場で関わる人たちと長く向き合い続ける自覚を持ってもらうことが大切です。 基本的なビジネスマナーやビジネススキルの習得 新入社員研修は、基本のあいさつ・言葉遣い・電話対応をはじめとした、業務遂行に欠かせないビジネスマナーを習得させる場です。また、報連相やプレゼンテーションの仕方など、基礎的なビジネススキルを身に付けさせる大切な機会でもあります。 職種によっては、専門的な知識や技術の獲得を目的に研修を実施する必要があるでしょう。例えば、開発職はネットワークやセキュリティの座学研修、営業職はテレアポや飛び込み営業のロールプレイング研修といった形で、職種により適した研修方法が異なります。 企業ルールや社風の理解促進 新入社員がスムーズに企業の一員としてなじむには、社内で設定された独自のルール、組織に特有の雰囲気や企業理念への理解を深めることが重要となります。入社前に把握しにくい企業ルールや社風は、新入社員研修を通して理解度を高められるのが理想です。 企業ルールを守ることは、勤務中の身だしなみから社内手続きの進め方に至るまで、組織の円滑な運営において欠かせません。また、自社の社風を知ることで、同じ組織で働いている意識が生まれ、社員同士の結びつきが強まります。 同期や上司とのコミュニケーション促進 新入社員同士が同じ研修の場で学ぶことでコミュニケーションが促され、同期間の連携が強まります。共に学ぶ仲間がいるとモチベーションが高まり、成長意欲が生じやすい点が大きなメリットです。このように研修期間に構築された人間関係は、研修後も長続きして、互いに仕事の相談やノウハウの共有ができる関係性へと発展する可能性もあるでしょう。 また、新入社員研修で管理職や先輩社員によるサポートの機会を設けると、職場での気軽な対話が促され、配属先でも仕事の悩みを早期にフォローしやすくなります。 目次に戻る 新入社員研修の目的を明確にすることが重要な理由 新入社員研修をより効果的に行うためには、まず実施する目的を社内で明確にすることが重要です。ここでは、準備段階で研修の目的を明確化するべき理由を解説します。 無駄のない適切な研修プログラムを組みやすくなる 新入社員研修を実施する際、具体的で明瞭な目的が設定されていれば、人事部門では過不足のない研修内容を用意しやすくなります。自社の目的に沿わない研修に無駄な時間や費用をかけるリスクを未然に防ぐ効果も期待できるでしょう。目的に応じて前年度の研修カリキュラムを見直し、改善により研修効果をさらに高めることも可能です。 受講する新入社員のモチベーション向上につながりやすい 企業側が新入社員研修の目的を事前に共有すると、なぜ研修に取り組む必要があるのか、新入社員が納得した上で参加できます。受講後にどのような成長を期待するか、目的に沿った目標設定を行うことで、モチベーションアップにもつながります。身に付けるべき知識や技術など、具体的な目標を明らかにして研修へ参加させましょう。 目次に戻る 新入社員研修の目的や計画を決める際のポイント 新入社員研修の目的や計画を決める際は、以下のポイントを押さえておきましょう。最後に、新入社員研修を内製化する企業に必要な考え方をご紹介します。 効果検証と改善を計画に組み込む 新入社員研修は、実施すること自体が目的ではありません。研修で学んだ内容を、新入社員が現場の業務で実践・応用できるようになることが重要です。 そのためにも、新入社員に研修の目標や成果を振り返る定期レポートを提出させたり、上司に成果のチェックを依頼したりする施策が有効です。これらの取り組みは、次回以降の研修内容をブラッシュアップする効果検証と改善のプロセスでも役立ちます。 過去の新入社員研修の成果や課題を分析する 現状の新入社員研修を改善するには、前年度に研修を受けた社員を対象にしたアンケートや、ヒアリングによる調査を実施するようおすすめします。 設問では「研修内容を生かして成果につながった行動の事例」「研修を受けて感じた不満や改善点」「研修内で役に立ったこと・役に立たなかったこと」などを質問すると良いでしょう。回答内容から前年度の成果や課題を分析し、次回に反映させやすくなります。 インプットだけでなくアウトプットの場を用意する 新入社員研修での学びを実務で生かすには、学習した内容をどのような場面で活用するのか、研修中に具体的にイメージさせるのがコツです。あらかじめ活用の場面を例示したり、実践的な場面を想定したグループワークやロールプレイングを取り入れたりすると良いでしょう。 また、座学では講師が指名して回答させると適度な緊張感が保たれ、一人ひとりが積極的な参加の姿勢を実感しやすくなります。 目次に戻る 新入社員研修の目的を押さえて成功へ導きましょう 新入社員研修(新人研修)の目的や重要性に加えて、目的や計画を決めるポイントまで解説しました。 新入社員研修には、社会人としての意識改革を行い、基本のマナーやスキルを身に付けさせる目的があります。また、自社への理解を深め、社内のコミュニケーションを促すことも、入社したばかりの時期には重要だといえます。研修を実施する目的を押さえて、新入社員の早期戦力化を目指し、人材育成を成功へと導きましょう。 新入社員研修には「KaWaL×learningBOX」のビジネススキルに特化した研修コンテンツがおすすめです。人材育成のプロである株式会社チェンジとコラボし、“楽しく学び、仕事で使える”研修動画コンテンツを豊富にご用意しております。 無料で使えるお試しコンテンツもご利用できますので、より効率的・高品質な新入社員研修をお探しの方は、まずはお気軽にお問い合わせください。     ▼こちらもおすすめ!あわせて読みたい    目次に戻る
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カッツモデルとは?3つの活用方法と注意点、研修テーマの具体例

企業の人材育成では、立場の変化に応じて適切なスキルを身に付けられるのが理想的です。特に管理職になると、自身の能力はもちろん、部下やチームメンバーを指導して成果を上げるスキルが求められます。そこで活用できるのが「カッツモデル」と呼ばれるフレームワークです。 今回は、カッツモデルの概要や活用方法、注意点を解説します。階層ごとに実施しやすい研修テーマの例にも触れますので、カッツモデルを活用した人材育成計画の立案にお役立てください。 カッツモデルの基礎知識 カッツモデルは、管理者層を中心とした人材の育成や人事評価に活用されるフレームワークです。ここでは、カッツモデルの意味や構成要素を解説します。 カッツモデルとは カッツモデルとは、マネジメント層に必要とされる能力を階層別・スキル別に分類し、明示した理論のことです。フレームワークでは、管理職を「ロワーマネジメント」「ミドルマネジメント」「トップマネジメント」の3階層に分けて考えます。また、必要なビジネススキルは「テクニカルスキル」「ヒューマンスキル」「コンセプチュアルスキル」の3つに分けられます。 1950年代にアメリカの経営学者、ロバート・L・カッツ氏によって提唱されたフレームワークで、人材育成や組織開発などの指針として活用され続けています。 カッツモデルを構成する3つの階層 トップマネジメント トップマネジメントには、最高経営責任者(CEO)・最高執行責任者(COO)・会長・社長・副社長などの経営陣が該当します。経営方針や戦略の決定に関わる立場のため、現場で具体的な指示をする機会が少ないのが特徴です。 ミドルマネジメント ミドルマネジメントには、部長・課長・エリアマネージャー・支店長などの役職が当てはまります。トップマネジメントの決定を理解した上でロワーマネジメントへ伝え、業務の遂行を促す役割が求められます。 ロワーマネジメント ロワーマネジメントには、係長・主任・チーフなど現場の監督者が該当します。ミドルマネジメントからの指示をもとにメンバーを指導し、現場で業務に携わる立場です。役職のない一般社員であっても、プロジェクトリーダーなどを任された場合は、ロワーマネジメントとして扱われます。 カッツモデルを構成する3つのスキル テクニカルスキル テクニカルスキルとは、特定の業務を遂行するための専門的な知識や技術のことです。業務遂行能力とも呼ばれ、PCの操作スキル・簿記や語学などの資格・商品知識やサービスの提案力などが該当します。他2つのスキルに比べて、現場に即したスキルを指すことが多い傾向にあります。 ヒューマンスキル ヒューマンスキルは、対人関係能力のことです。上司・部下など職場内での人間関係だけでなく、顧客や消費者など仕事で関わるあらゆる相手との良好な関係を築くための能力を表します。リーダーシップ・コミュニケーション力・プレゼン力・ヒアリング力などの要素で構成されます。 コンセプチュアルスキル コンセプチュアルスキルとは、概念化力とも表現され、物事の本質を理解して適切な判断を下すためのスキルです。組織運営で発生する問題や市場の変化など、対応すべきあらゆる事象について客観的に分析し、効果的なアプローチ方法を見つけ出す能力だといえます。コンセプチュアルスキルの高い人材は、以下のような能力を身に付けています。 ロジカルシンキング(論理的思考) ラテラルシンキング(水平思考) クリティカルシンキング(批判的思考) 多面的視野 知的好奇心 探究心 応用力 柔軟性 受容性 など 目次に戻る カッツモデルを活用した人材育成の方法 次は、カッツモデルを活用した人材育成のポイントをご紹介します。カッツモデルの考え方をスキル獲得や管理職向けの研修手法に反映させ、人材の成長を促進させましょう。 各階層に求める能力マップを作成する まずは、階層や役職ごとに求める能力マップを作成しましょう。社員が自分に不足している能力や、さらに向上させるべき能力を自覚しやすくなる点がメリットです。人事考課の目標設定や評価の際に活用できます。 3つのスキルを獲得できる研修を用意する <カッツモデルによる研修テーマの例> テクニカル ヒューマン コンセプチュアル トップマネジメント(経営者層) ・ 事業戦略構想 ・ 事業計画策定 ・ 財務管理 ・ リスクマネジメント ・ 高度なネゴシエーション ・ 組織開発 ミドルマネジメント(幹部層/管理職層) ・ 決算書などの数字分析 ・ 市場分析 ・リーダーシップ ・ ティーチング ・ コーチング ・ クリティカルシンキング ・ 課題発見力 ・ 企画力 ロワーマネジメント(リーダー/監督層) ・ パソコンスキル ・ ビジネスメール ・ コミュニケーション力 ・ 傾聴力 ・ フォロワーシップ ・ ハラスメント ・ ロジカルシンキング テクニカルスキルの獲得に適した研修 テクニカルスキルの習得には、現場の実務と並行して教育するOJT研修が向いている場合が多い傾向にあります。専門スキルは体系的に学ぶよりも、実践経験が重要になりやすいためです。経験豊富な社員のもとで直接指導を受けられる環境を整えましょう。 ヒューマンスキルの獲得に適した研修 ヒューマンスキルは、OJT研修と集合研修の両方で獲得しやすいのが特徴です。OJT研修の場合、営業職であれば営業経験の豊富なメンバーと同じ現場に立つことで、交渉力やプレゼン力など対人の折衝力を見て学ぶ機会になります。 また、集合研修ではロールプレイングを交えることで、実践イメージを醸成しやすくなります。外部の専門会社が提供する研修プログラムを活用するのもおすすめです。 コンセプチュアルスキルの獲得に適した研修 コンセプチュアルスキルは、集合研修で獲得しやすい能力といえます。ロジカルシンキングやクリティカルシンキングなどの抽象度の高いテーマは、順序立てながら丁寧に学ぶほうが理解しやすい場合が多いためです。集合研修であれば、グループワークを通じた実践練習も行いやすいでしょう。 3つの階層別に研修を企画する トップマネジメントに適した研修 トップマネジメント向けの研修では、経営力の向上が重視されます。具体的には、事業戦略構想や財務管理、リスクマネジメント、ネゴシエーション、組織開発などに関する研修が役立ちます。外部機関が実施する研修に参加することで、他社の経営層との人的ネットワークを構築できる点もメリットです。 ミドルマネジメントに適した研修 ミドルマネジメントには、リーダーシップ研修やコーチング研修、クリティカルシンキング研修を実施するのが良いでしょう。ミドルマネジメントは、上層部の意向を正しく把握し、部下へ伝えた上で指揮をとる必要があるためです。 また、業務を円滑に遂行するには、自社商品の理解を深めることはもちろん、市場分析能力や決算書などの数字分析スキルも求められます。 ロワーマネジメントに適した研修 ロワーマネジメント向けの研修の例としては、PCスキルやビジネス文書の作成能力、ロジカルシンキングなど、基礎的なビジネススキルを獲得する研修が挙げられます。他2つの階層と比較して、ロワーマネジメントは現場で仕事をする機会が多いためです。 また、チームの監督者としての立場を考慮すると、コンプライアンスやハラスメント研修、コミュニケーション研修なども受講するのが良いでしょう。 目次に戻る カッツモデルを活用する際の注意点 カッツモデルを活用する際は、各階層に求められるスキルを限定的に捉え過ぎないよう注意しましょう。カッツモデルに対して社員が誤った解釈をしているリスクを想定し、定期的に周知することが大切です。 すべてのスキルをOJT研修や集合型研修で身に付けるのが難しい場合は、eラーニングの活用をおすすめします。個人の能力に応じて必要な講座を受講できるため、業務が忙しくて集合型研修を開催する時間がない場合や、研修内容に適した指導役がいないケースに適しています。 目次に戻る カッツモデルの考え方を導入して組織力の底上げに生かそう 今回は、カッツモデルの基礎知識や人材育成への活用方法、注意点をお伝えしました。カッツモデルの考え方は、管理職だけでなく組織に属するあらゆる人材の育成に役立てることが可能です。立場や役職ごとに重視するべきスキルを明確にし、組織力の向上に生かしましょう。 カッツモデルを活用した研修をeラーニングで実施するなら「learningBOX」がおすすめです。learningBOXは、コンテンツの作成・配信や受講者の管理など社内教育に不可欠な機能が備わっているeラーニングシステムです。研修の内容に沿ったコースの設計、社員の習熟度を確認するテストも簡単に実施できます。シンプルな操作性とリーズナブルな価格が好評で、多くの企業の社内研修にも採用いただいています。 ほぼすべての機能がご利用いただけるフリープランも用意していますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。     ▼こちらもおすすめ!あわせて読みたい 目次に戻る
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OJT研修とは?トレンドやメリット・デメリット、効果的な実施方法

企業の人材教育で用いられる手法の中でも、特に実践に重点を置いたものが「OJT研修」です。OJT研修では、先輩社員が指導者となり、現場で指導を行います。新入社員を即戦力として育て上げるのに適した手法として有名です。 本記事ではOJT研修の基礎知識を解説した上で、知っておくべきメリット・デメリット、効果的に実施するポイントまでお伝えします。OJT研修の導入を検討される人事部門のご担当者様は、ぜひ参考にしてみてください。 OJT研修とは 初めに、OJT研修の基礎知識を解説します。OJT研修の意味や、よく似た教育手法との違い、近年のOJT研修の流れまでチェックしてみましょう。 OJT研修の意味 OJT研修とは、職場で業務を実践しながら指導を行う教育手法のことです。「On the Job Training」を略してOJTと呼ばれます。多くの職場において、主に新人や若手を対象にした教育手法として用いられるのが一般的です。 OJT研修とOff-JT研修の違い Off-JT研修とは、業務の場を離れて指導を行う教育手法のことです。「Off The Job Training」の頭文字を取って、Off-JTと呼ばれます。 OJT研修とOff-JT研修の違いは、業務と並行して研修を行うか否かにあります。OJT研修は、業務と並行して行われるのが特徴です。それに対して、Off-JT研修は業務から離れて、研修のための時間や場所を確保して行われます。 Off-JT研修を実施する方法には、複数の選択肢があります。人事部門の担当者が研修プログラムの作成から講師まで担うパターンや、専門会社が提供する研修サービスを利用するパターンが代表例です。コンテンツ作成の外注や外部講師への依頼により、研修内容の充実化が図れます。 OJT研修の目的・重要性 OJT研修の主な目的は、新入社員を即戦力化させることです。現場の業務を実践させるので、応用が難しいとされる座学研修の弱点をカバーできるというメリットがあります。Off-JT研修と適切に使い分けることが大切です。 OJT研修の成果は、その後の新入社員の業務効率や生産性に直結しやすいといえるでしょう。研修の段階で実践的な仕事の経験を積めることから、効率的かつ効果的な教育手法だとされています。 近年におけるOJT研修のトレンド リモートのOJT研修 従来のOJT研修は、現場で対面にて行われるのが一般的でした。近年では、Web会議システムやチャットツールなどを利用して、オンラインで研修を行うケースも多くなっています。リモートで実施する場合、研修中の指導から業務管理までオンラインで行われます。 リモートのOJT研修が注目される背景として挙げられるのは、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による、テレワークの普及です。業務環境の変化に合わせて、徐々にリモートでもOJT研修が実施されるようになりました。 OJD OJDとは、社員の能力開発を行う教育手法のことです。「On the Job Development」を略してOJDと呼ばれます。 OJDでは、社員が将来的に業務で必要となる能力を逆算して身に付けさせるのが特徴です。OJTでは現状の業務で必要な能力の取得を目指すのに対して、OJDではさらに長期的な視点で社員のスキルアップを狙います。近年では人材不足などを背景に、社員のキャリア支援を重視してOJDを導入する企業も少なくありません。 目次に戻る OJT研修のメリット・導入効果 OJT研修には、教わる側・教える側・企業側それぞれにメリットが期待できます。ここでは、OJT研修のメリットを役割別にお伝えした上で、導入効果についてもご紹介します。 教わる側のメリット・導入効果 業務の不安や疑問を早期解決しやすい OJT研修では、指導者との距離が近いため、仕事に関する質問や相談が気軽にしやすくなるのがメリットです。現状の不安や悩みに対してその場でアドバイスを得られるので、課題の早期解決にもつながるでしょう。業務の現場で指導を受けると、仕事の取り組み方や進め方について、具体的な改善を図りやすくなります。 自身の特性に合わせた内容に調整してもらいやすい 一般的にOJT研修は少人数で行われるので、一人ひとりの特性に合わせた適切な方法での個別指導が期待できます。一斉に教わる集団指導とは異なり、個人の理解度や能力に応じて指導方法を調整してもらいやすい点もメリットです。詳細なフィードバックや評価を受けられるので、学習のモチベーションアップにつながります。 教える側のメリット・導入効果 自身の業務の理解度向上が期待できる OJT研修の指導者には、指導内容を相手に誤解なく理解してもらうために、教え方や伝え方に創意工夫が欠かせません。分かりやすく説明するには「いつ」「何を」「どのように伝えるべきか」を常に考えることになるでしょう。試行錯誤を重ねる中で、自身の業務に対する考え方を見直したり、誤りを認識したりする機会にもなります。 マネジメントスキルを高める機会になる OJT研修では、入社から数年の先輩社員が指導者に任命されるケースも多く、マネジメントのトレーニングとしても有効です。管理職に求められる指導力を身に付けるために、一つのステップとしてOJT研修を経験させる場合もあります。教える側が指導のノウハウを積み重ねて、スキルアップや成長する機会になる点も大きなメリットです。 会社視点のメリット・導入効果 メンバー間のコミュニケーション活性化が期待できる OJT研修を実施すると、必然的に社内で交流する機会が増えて、コミュニケーションの活性化が期待できます。業務の指導やフィードバックを通じて自然と会話が発生し、新入社員と先輩社員の結びつきが強まるでしょう。良好な人間関係が醸成されたり、メンバー間に信頼関係が構築されたりする可能性があります。 Off-JT研修と比べて育成コストを抑えやすい OJT研修では自社の社員が講師を務めるので、外部講師の人件費が発生しません。また、Off-JT研修のように業務とは別にスケジュールを確保したり、研修会場をレンタルしたりするコストも不要となります。研修のために特別なコストをかけることなく実施できるのも、OJT研修の特徴といえるでしょう。 目次に戻る OJT研修のデメリット・注意点 OJT研修には、現場で指導することによるメリットもあれば、その反対にデメリットもあります。社内へ導入する際は、以下の注意点も併せて押さえておきましょう。 教わる側のデメリット・注意点 指導者によって効果の程度に差が出る OJT研修による学習の効果は、指導者の能力・スキルに依存しやすい傾向にあります。指導者のレベル次第で、教わる側が受ける指導の質に差が出やすいのが注意点です。また、教わる側と指導者との相性が悪いと、成果につながりにくいのも難点といえます。指導が不十分なまま研修を終えてしまうと、業務に支障をきたす恐れもあります。 体系的な学びを獲得しにくい OJT研修は実践的に学べる点が強みですが、その反面、現場では体系的に学ぶのが難しい傾向にあります。体系的に学習させる場合に適しているのは、座学形式で実施されるOff-JT研修や、eラーニングなどの教育手法です。学習内容によってはOJT研修のみに頼らず、別の手法との併用も検討すると良いでしょう。 教える側のデメリット・注意点 OJT研修の指導者には、通常業務に支障をきたすリスクがあります。指導者は自分の仕事を担当しながら、さらに講師の役割も担うことになります。限られた時間の中でOJT研修に注力し過ぎると、通常業務に費やす時間が少なくなるのが注意点です。リソース不足で業務遂行が困難になったり、アウトプットの質が下がったりする恐れがあります。 会社視点のデメリット・注意点 OJT研修では、新入社員が「指導者に放置されている」と感じてしまうケースがあります。こうした事態になれば、企画を担当した人事部門や経営陣の仕組みづくりに対して、懐疑的な見方をされる可能性もあるでしょう。 また、指導者側が「現場任せにされている」と感じてしまうケースにも注意が必要です。周りのメンバーからのフォローが少ないことや、OJT研修に関するルールが整備されていないことなどが要因になりやすいといえます。 OJT研修を導入する企業は、新入社員や指導者へのサポート対応を考慮する必要があります。新入社員や指導者への負担を放置すれば、組織に対する不信感にもつながりかねません。 目次に戻る OJT研修を効果的に実施するポイント OJT研修の注意点を押さえながらも、メリットを生かして運用するには、どのように取り組むべきでしょうか。最後に、OJT研修を効果的に実施して成功へ導くために、実現のポイントをお伝えします。 指導者だけでなく職場全体で進める 自社にOJT研修を導入する際は、指導者に新人教育を丸投げしないことが重要です。指導者の通常業務の負担を把握し、OJT研修により負担が過剰とならないよう、企業側が配慮しましょう。 また、指導者が一人で負担を抱え込まないよう、現場にいる上司や先輩のサポートが必要です。周囲の中堅社員は、コミュニケーションの取り方に関するアドバイスをしたり、研修計画のフィードバックを行ったりと、積極的に協力できると理想的です。 eラーニングと組み合わせる OJT研修をeラーニングと組み合わせて実施する方法もあります。eラーニングで体系的に習得した知識をOJT研修に生かすことで、学習効率を高める効果が期待できます。現場へ出る前にeラーニングで学習させることにより、OJT研修の教育時間を抑えやすくなるでしょう。指導者の負担が増え過ぎるリスクを避ける対策にもなります。 指導者向けのワークショップやケーススタディを実施する OJT研修の指導者へのサポートとして、ワークショップやケーススタディの機会を提供すると、指導者のケアや指導方法の改善などの効果が期待できます。 指導者の中には、自身が適切な方法で育成された経験がないため、育成のノウハウが不足したままOJT研修を担当しているケースも少なくありません。指導者向けに学ぶ場を用意することで、社内の指導力不足を改善できる可能性があります。 まだ社内にOJT研修の仕組みが整備されていない場合にもおすすめの対策です。OJT研修の指導者のほか、自社の人材育成を企画する人事部門の担当者が参加しても良いでしょう。 目次に戻る OJT研修のメリットを生かした研修設計をするために 本記事では、OJT研修の基礎知識から、導入のメリットや注意点、効果的に実施するポイントまで解説しました。 OJT研修は実践的な学びに適した教育手法で、新入社員を即戦力化できるのが強みです。企業側にとっては、育成コストを抑えられる点でもメリットがあります。ただし、新入社員や指導者へのサポートが不足すると、企業に対する不信感が生じかねないため、取り組み方に注意が必要です。 そんなOJT研修のデメリットをカバーするには、eラーニングと組み合わせる方法が有効だといえます。オンラインで体系的な学習を提供できるため、OJT研修の学習効率を高める効果が期待できます。指導者の負担軽減にもつながるので、eラーニングがおすすめです。 OJT研修をeラーニングで実施するなら「learningBOX」をご活用ください。learningBOXは、コンテンツの作成・配信や受講者の管理など社内教育に不可欠な機能が備わっているeラーニングシステムです。社内教育の内容に沿ったコースの設計、社員の習熟度を確認するテストも簡単に実施できます。シンプルな操作性とリーズナブルな価格が好評で、多くの企業のOJT研修にも採用いただいています。 ほぼすべての機能がご利用いただけるフリープランも用意していますので、ぜひお気軽にお試しください。    ▼こちらもおすすめ!あわせて読みたい 目次に戻る
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ナレッジマネジメントとは?手法やよくある失敗と対策案

組織を構成する一人ひとりの社員は、各自の仕事を通じて得た多様なナレッジを保有しています。これらの有益な情報を集約・共有し、企業が有効活用することで、組織力を高めることができると考えられています。そこで注目されているのが「ナレッジマネジメント」の手法です。 本記事では、ナレッジマネジメントの基礎知識や手法の特徴を解説していきます。また、よくある失敗やその対策にも触れるため、導入の際はぜひ参考にしてみてください。 ナレッジマネジメントとは? 初めに、ビジネスシーンで注目される「ナレッジマネジメント」に関する基礎知識を解説します。まずは用語の意味や、基本となる考え方、導入の効果やメリットについて押さえておきましょう。 ナレッジマネジメントの意味 ナレッジマネジメント(KM:Knowledge Management)とは、企業や組織において個人が持っている知識や経験、ノウハウを集約・共有し、組織力の向上に生かす一連のプロセスのことです。 ナレッジマネジメントの考え方は、経営学者の野中郁次郎氏が提唱した「知識経営」が基礎となっています。その著作では、1980年代のモノづくりに長けた日本の成功要因を紐解きながら、今後の日本企業の取り組むべき経営手法が解説されています。 ナレッジマネジメントに必要な考え方 ナレッジマネジメントの根幹にあるのは、組織内の「暗黙知」を「形式知」に変換する知識管理です。 暗黙知とは、個人が保有する言語化されていない知識・経験・技術・ノウハウなどを指します。言葉や文章で表現しないと共有が難しいものが暗黙知に該当します。例えば、自社のトップセールスが実践している営業トークは、暗黙知の一つです。 それに対して形式知とは、社内の誰が見ても理解できるように言語化された知識・経験・技術・ノウハウなどを指します。 個人の暗黙知は、言葉・文章・図などで表現して形式知化して、企業内で効果的に知識共有を行うことが大切です。 ナレッジマネジメントの効果・メリット 業務の効率化による生産性の向上 ナレッジマネジメントによって業務遂行に必要な知識がもれなく共有され、社員ごとに品質のばらつきが生じにくくなります。社員は不明点を自分自身で解決しやすいので、現場の業務が停滞しにくくなるのもポイントです。不要な業務の洗い出しや業務手順の改善も実施しやすくなるでしょう。 人材育成の効率化 業務に関するナレッジが可視化されると、社員教育に盛り込むべき知識やスキルが明確化され、効率的な育成につながります。ベテラン社員や優秀な社員の働き方から学び、全体の知識やスキルを底上げすることも可能です。業務の属人化を防ぎ、スムーズに引き継ぎがしやすくなるのもメリットといえます。 顧客マネジメントの向上 ナレッジマネジメントを強化すると、自社の顧客データを一元管理し、対応力を高める効果が期待できます。従来は特定の社員が保有していた顧客データを社内で共有することで、スピーディーな対応をかなえ 、サービス品質を向上できるのが魅力です。部署間の連携を充実させる上でも有効といえます。 目次に戻る ナレッジマネジメントの手法 ナレッジマネジメントを自社の経営へ取り入れる際、どのような手法が考えられるのでしょうか。ここでは、ナレッジマネジメントの導入方法として代表的なものをご紹介します。 SECIモデルを活用する SECI(セキ)モデルは、ナレッジマネジメントを実現するための代表的なフレームワークです。個人の知識や経験を組織全体で共有し、新たな発見や革新を生み出すための具体的な手順が示されています。 SECIモデルにおけるプロセスは「共同化(Socialization)」「表出化(Externalization)」「連結化(Combination)」「内面化(Internalization)」の4つのステップに分けられます。取り組みの際は、このサイクルを循環させるのが成果をあげるポイントです。 ナレッジマネジメントの専用ツールを導入する ナレッジマネジメントに対応した情報共有専用のツールを導入する方法です。こうした製品は「ナレッジ共有ツール」や「ナレッジベース」などと呼ばれます。既存のツールを採用すれば、自社専用のシステムを構築するよりも負担がかかりません。 専用ツールの中には、FAQやSNSの機能が搭載された製品もあります。ナレッジをデータベース化すれば、ユーザーは質問や回答、修正や更新といった業務プロセスをスムーズに行えます。業務効率アップや生産性向上が期待できるでしょう。 ただし、作成したファイル・ドキュメントが増えてカテゴリ分けが複雑化すると、必要な情報にたどり着くまでに時間がかかってしまう場合もあります。情報は適切に整理するとともに、検索機能の充実したツールを選択することが重要です。 目次に戻る ナレッジマネジメントのよくある失敗と対策 ナレッジマネジメントの施策には多くの成功事例が存在するものの、失敗するケースも少なくありません。成功のコツをつかむために、よくある失敗とその対策についてお伝えします。 社員の理解が得られず、活用する文化が醸成されない 社員がナレッジを蓄積しやすい環境づくりや、動機付けが不足してしまう失敗です。そもそも情報を共有するメリットがなかったり、通常業務に追われてITツールに入力するリソースがなかったりすれば、ナレッジが蓄積されません。また、社内のライバルに自分のノウハウを知られたくない思いから、組織的な協力が阻まれることも考えられます。 こうした課題に対しては、ナレッジの共有がポジティブな人事評価につながると周知するのが有効です。積極的にナレッジを共有する社員に対して、管理職・役員陣から感謝や称賛を届けましょう。ナレッジ共有の機会を定期的に設けて、ナレッジを提供し合える環境づくりにも着手するようおすすめします。 明確な運用ルールがなく、データが使いづらい状態になる 導入したナレッジ共有ツールに関して十分な説明がなされず、結果として利便性が損なわれてしまう失敗です。事前に運用ルールが示されないと、社員が無秩序にデータを蓄積してしまうこともあります。必要な情報が見つからなかったり、多くの不要なデータが登録されたりして、ツールが使いづらい状態になってしまいます。 こうした事態を防ぐためにも、ナレッジ共有ツールの導入時には自社の方針を明確に示すことが大切です。データの登録方法や管理方法を取り決めて、必要なナレッジへ簡単にアクセスしやすい状態に整えましょう。 ツールの操作性に問題があり、社員が使用したがらない ナレッジ共有ツールの使用感の問題から、利用者が減ってしまう失敗です。ツールの操作方法が分かりにくかったり、データの登録に手間がかかったりすると、社員に負担をかけてしまう恐れがあります。ツールを導入にしたにも関わらず、かえって業務効率が低下する事態にもつながりかねません。 ナレッジ共有ツールの導入時には、無料トライアルなどを活用してテスト運用を行い、操作性に問題がないかチェックしましょう。ツールの選定では、現場の担当者からのフィードバックを受けられると理想的です。製品資料のダウンロードと併せて、使用感まで確認することをおすすめします。 目次に戻る ナレッジマネジメントによる業務改善で組織力を向上! 本記事では、企業の組織力を高めるナレッジマネジメントについて解説しました。組織内には価値ある暗黙知が存在し、まだ共有されていない可能性があります。暗黙知を形式知に変換し、有益な専門知識やスキルをより広く有効活用できると理想的です。 ナレッジ共有ツールの導入やナレッジ共有の仕組みづくりの際は、業務のマニュアル化へ柔軟に対応できる「learningBOX」をおすすめします。eラーニングシステムのlearningBOXは、教材の作成配布・成績管理・受講者管理の機能がひと通りて揃っています。誰でも簡単にWeb学習環境を構築できるのがおすすめのポイントです。 さらに、多彩な研修コンテンツを追加できる「learningBOX ON」と組み合わせれば、オリジナル教材を設計し、ナレッジ共有の幅がより広がるでしょう。ナレッジマネジメントの施策では、ぜひ研修コンテンツ作成の内製化に便利なサービスをご利用ください。 learningBOXは10アカウントまで無料でご利用いただけます。まずはお気軽にお試しいただける無料プランをご体験ください。     ▼こちらもおすすめ!あわせて読みたい 目次に戻る
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