もはや他人事ではない!企業価値を左右するコンプライアンスとCSR
企業を取り巻く環境が目まぐるしく変化する中、企業が負うべき社会的責任も拡大し、企業におけるコンプライアンスの重要性が年々増しています。ここでのコンプライアンスには法令遵守の枠組みを超え、CSRを果たすという意味合いも含まれるでしょう。
「コンプライアンスやCSRなんて大企業だけの話」と思われるかもしれませんが、昨今の社会の企業を見る目は大変厳しくなっており、長期的に事業を継続していくためには、コンプライアンスやCSRを意識した経営は欠かせません。これは大企業も中小企業も同じです。
今一度、企業価値を左右するコンプライアンスとCSRについて確認しましょう。
目次
コンプライアンスとは
コンプライアンス(compliance)とは「法令遵守」を意味します。「法令遵守」という言葉に馴染みがなく、ピンと来ない場合もあるかもしれません。
例えば、「セクシュアルハラスメント(セクハラ)」や「パワーハラスメント(パワハラ)」、「モラルハラスメント(モラハラ)」などのハラスメント行為、サービス残業や過度の長時間労働、個人情報の漏えいなどはコンプライアンスに違反する行為です。思っていたよりも身近な問題ではありませんか?
近年のコンプライアンスは多様化しており、単に「法令を守る」だけではありません。「会社の規則や法令、社会的なルールを守り、適切な企業活動を行うこと」もコンプライアンスに含まれます。
SNSの発達により、数人の社員が起こした不祥事がネットで一気に拡散し、会社全体の社会的な信用が大きく損なわれるというようなことも見られるようになりました。
そのため、企業におけるコンプライアンスの強化は年々重要視されており、コンプライアンス研修などを行い、社を挙げてコンプライアンス推進活動を進める企業も少なくありません。
目次に戻るCSRとは
CSRとは「Corporate Social Responsibility」の略で、直訳すると「企業の社会的責任」です。企業活動を行うにあたって企業が担う社会的責任を意味します。
これは企業は利益の追求だけでなく、広く「ステークホルダー」に対して責任を負うべきであるという考え方です。ステークホルダーとは株主や経営者、従業員や顧客・取引先のほか、金融機関、行政機関、各種団体など、企業のさまざまな利害関係者のことです。
企業はその経済活動をステイクホルダーと深く関わりながら行っており、良好な信頼関係がなければ、経済的な成長が望めません。CSRとは企業としての利益を求めつつ、企業をとりまく人々とコミュニケーションをとりながら、快適な世の中を目指す取り組みのことです。
この考えに基づくとコンプライアンスはCSRという大きな取り組みの中の根幹を占める部分です。コンプライアンスが法令遵守であるなら、CSRはより広義な意味で社会の要請・要求に応えるための考え方といえるでしょう。
目次に戻るCSRが求められる背景
近年、企業のCSR活動が注目を集めるようになってきた背景には次のような理由があります。
企業の不祥事
食品の産地や賞味期限の偽装問題、粉飾決算など企業の不祥事が増え、ステークホルダーの企業に対する不信感が増したため。
環境問題などの深刻化
地球温暖化や気候変動、大気汚染など様々な問題が深刻化し、環境への配慮が企業としての社会的責任となったため。
企業のグローバル化
企業活動のグローバル化に伴い、ステークホルダーも国際化し、企業活動が与える影響が大きくなったため。
消費者の価値の多様化
商品の価格ではなく、企業理念やCSRへの取り組みなどを重視し、商品を選択する消費者が増えてきたため。
目次に戻る実際に企業が取り組むCSR活動とは
実際には、企業はそれぞれ自社の特性を生かしたCSR活動を行っています。中でも環境保護は多くの企業が取り組むCSR活動のひとつです。具体的にはハイブリッド車や電気自動車の導入によるCO2排出量の抑制や、再生可能エネルギーの導入などがあります。
またコンサートや文化財の保全などの文化支援や、子どもたちが体験できるイベントの実施などの次世代の人材育成などに取り組む会社もあります。
新型コロナウィルスが流行し始めた頃に、酒造会社がアルコール消毒液の代用品を製造して供給したことや、多くの企業が従業員に対し在宅勤務を大幅に緩和し、多様な働き方を認めたことなどもCSRと言えるでしょう。
トヨタ自動車株式会社はCSRに積極的に取り組む企業のひとつです。「トヨタ基本理念」をCSR方針として掲げ、トヨタグループ全体でCSR活動を行っています。
トヨタに関係のある愛知・三重・岐阜・鹿児島・インドネシアでの植林や緑化活動を通じ環境保全・環境啓発への貢献や、障害者や高齢者を対象とした移送サービス、小学生の工場見学の受け入れなど、その活動は多岐にわたります。
目次に戻るCSRのメリット
次にCSRに取り組むことで企業が得られるメリットを確認しましょう。
メリット① 企業イメージの向上
CSRに積極的に取り組んでいることは、企業イメージの向上につながります。企業イメージが向上すると、商品やサービス自体のイメージも向上し、企業としての信頼を勝ち取ることができます。
メリット② ビジネスの多角化
CSR活動をすることで、通常では得られない経験や人とのつながりを得ることができます。このことから、新たなビジネスが生まれる可能性が高まります。
メリット③ 企業の認知度の向上
CSR活動を積極的に行うと、既存の顧客以外にも企業としての存在を知ってもらうことができます。
メリット④ 企業利益の向上
CSRによる企業イメージと認知度の向上は、商品やサービスの購入につながり、利益の向上が見込めます。
メリット⑤ 従業員の満足度の向上
従業員は自分の仕事が社会貢献につながっていると考え、自信を持って仕事に取り組むようになり、仕事の満足度が向上します。
目次に戻るCSRに取り組む際に注意すべきデメリット
では、CSR活動を行うことによるデメリットはあるのでしょうか?主に次の2つが気を付けておきたいデメリットといえるでしょう。
デメリット① コストの増加
CSRにはコストが必要です。長期的に見ると企業の利益につながるCSRですが、本来の業務とは違う活動に時間と経費を費やすこととなるため、短期的には売り上げが下がってしまう可能性があります。
デメリット② 人手が必要
CSRに取り組むためには人手が必要です。慢性的な人手不足が問題になる中、CSRに取り組むための人員が用意できない、というような企業もあります。
目次に戻るCSRとコンプライアンスへの取り組みはこれからの事業継続の必須条件
CSRは慈善活動ではなく、企業が負わねばならない社会的な責任です。そのため、企業の理念や倫理観、透明性が求められます。企業の活動に対する社会の監視の目が厳しくなりつつある今、企業の発展にはCSRとその根幹であるコンプライアンスは欠かせません。
CSRとコンプライアンスへの取り組みがまだ十分ではないという方は、コンプライアンス研修から始めてみてはいかがでしょうか?コンプライアンス違反には大きなリスクがあるため、継続的に社員に啓発していくことが重要です。
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