コラム

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パワハラ上司への対処法は?問題解決の方法から会社がとるべき対応まで

職場におけるパワーハラスメント(パワハラ)の典型例といえるのが、上司から部下へのパワハラです。立場が上であることを利用し、部下に対して高圧的、侮辱的な言動をとる上司は「パワハラ上司」と呼ばれています。 上司によるハラスメント行為は、職場のセクシュアルハラスメント(セクハラ)・モラルハラスメント(モラハラ)・マタニティハラスメント(マタハラ)などと同様に、重要な労働問題として取り扱わなければなりません。 この記事では、さまざまな労働トラブルを引き起こし得るパワハラ上司への対応方法について徹底解説します。 目次 01職場で「パワハラ上司」と見なされる管理職の特徴 職場で自己中心的に振る舞う 仕事を部下に押し付ける 不適切な言葉遣いで話す 根性論を強要する 02上司によるパワハラ行為を止めさせるには? 上長や人事部門へ相談する 社外の窓口へ相談する 裁判を起こす 03パワハラ上司に対して会社がとるべき対応 速やかに調査を実施してパワハラの実態を把握する パワハラの再発防止へ積極的に取り組む 04パワハラ上司には慎重な調査のうえ、必要に応じて処分を 職場で「パワハラ上司」と見なされる管理職の特徴 上司によるパワハラでは、社内での地位を利用し、部下へ身体的・精神的な苦痛を与える言動が行われます。以下では、多くのパワハラ上司に見られる代表的な特徴を解説します。 職場で自己中心的に振る舞う 職場における自己中心的な振る舞いは、パワハラ上司に見られる代表的な特徴です。こうした上司は、自分の思い通りにならない場合に部下を過度に叱責したり、不機嫌になったりする傾向にあります。 自分が正しいと思い込み、部下の多様性がある意見や価値観を認めることができません。部下から考え方を否定されたり、理解が得られなかったりすると感情的になり、暴言や暴力につながるケースもあります。 仕事を部下に押し付ける 部下に膨大な量の仕事を押し付けたり、難しい仕事を丸投げしたりするパワハラ上司もいます。 業務上のミスや失敗はすべて部下に責任があると考え、理不尽な指導を行うこともあります。部下の能力を否定するような言動をしつように繰り返すケースも少なくありません。 不適切な言葉遣いで話す 日常的に暴言を吐き、発言で周囲に威圧感を与えているタイプのパワハラ上司もいます。部下のことを「てめえ」と呼んで侮辱する上司などが代表例です。常にストレスを溜め込みイライラしていたり、相手に高圧的な態度で接したりする上司にも注意が必要です。 根性論を強要する 部下が困難に陥った場合に「努力をすれば解決できる」と指導するタイプの上司もいます。成果をあげられないと、努力不足が原因であると見なされ、人格否定の暴言や暴力に発展する可能性があります。努力を偏重しており、その考えを部下に押し付ける点が特徴です。部下が出す結果のみを評価し、努力を評価しないケースも少なくありません。 目次に戻る 上司によるパワハラ行為を止めさせるには? 上司によるパワハラ行為を止めるには、どういった方法があるのでしょうか。以下では、パワハラを止めさせるための代表的な対応についてご紹介します。 上長や人事部門へ相談する パワハラを行っている上司のさらに上長にあたる管理職や、人事部門の担当者、ハラスメント相談窓口に相談し、対策を検討します。相談の際に重要なのは、パワハラの被害者に配慮することです。秘密厳守で悩み相談を受け、被害者のプライバシーに配慮しながら上長や担当部署に状況を伝える必要があります。 その際、被害者と加害者が当事者のみで話し合うのはNGです。状況が悪化したり、立場の弱い被害者が仕返しを受けたりするリスクがあります。 社外の窓口へ相談する 社外の相談窓口を利用するのも一つの選択肢です。代表的な外部の窓口として、厚生労働省の労働局が設置している「総合労働相談コーナー」が挙げられます。総合労働相談コーナーは、不当な解雇や賃金の引き下げ、各種ハラスメントといった労働問題の解決をサポートする相談窓口です。 総合労働相談コーナーに問い合わせると、必要に応じて自社のパワハラ問題に関する調査が行われます。その後、自社への指導や、適切な専門機関の斡旋(あっせん)が行われます。予約不要かつ無料で利用できるため、パワハラ上司への対応にも役立つでしょう。 裁判を起こす 労働局からの指導でもパワハラの問題が改善しない場合は、被害者が労働審判を起こすことができます。労働審判とは、労働審判委員会がパワハラをはじめとする労働問題を調停する手続きです。労働審判官や労働審判委員が間に入ることで、話し合いによる解決を目指します。 労働審判でもパワハラの問題が解決しない場合は、訴訟に発展するケースがあります。弁護士に依頼して手続きを進めるのが一般的です。 目次に戻る パワハラ上司に対して会社がとるべき対応 パワハラが発覚した時点で、会社は何らかの対応をとらなければなりません。当該上司への処分の必要性や、その内容について検討しましょう。また、再発防止に向けた取り組みも重要です。以下では、パワハラ上司に対して会社がとるべき対応を解説します。 速やかに調査を実施してパワハラの実態を把握する 被害者からパワハラの相談を受けた場合、企業は速やかに事実関係の調査を行う義務があります。 まずは被害者・加害者・関係者へのヒアリングを行い、パワハラの証拠を集めてください。調査の結果、悪質なパワハラの事実が認められたら、加害者への懲戒処分を検討しましょう。処分はパワハラの実態によって判断が異なり、減給・出勤停止・降格・懲戒解雇などが代表例です。 場合によっては、重い懲戒処分によって自社のパワハラ防止に対する姿勢を示すのが望ましいでしょう。パワハラ上司に対して厳正に処分する姿勢を知らせることで、社内のパワハラを抑止することにつながります。 パワハラの再発防止へ積極的に取り組む 加害者への懲戒処分を行うのみでは十分ではありません。職場内で同様の問題が発生する可能性があるため、再発防止に取り組む必要があります。社員にハラスメント防止の重要性についての理解を促し、職場環境を改善することが再発防止のポイントです。 有効な再発防止策の例として、ハラスメント研修の実施のほか、社内で発生した問題の周知や、コミュニケーションや働き方の見直しなどが挙げられます。社内の人間関係や過酷な労働環境がパワハラの要因となる場合もあるためです。事例を周知する際は、当事者の情報を伏せてプライバシーに配慮しましょう。 ハラスメント研修はオンラインで実施する方法もあります。eラーニングシステムを利用すれば、研修プログラムの作成や社員の受講状況の管理などが可能となります。 目次に戻る パワハラ上司には慎重な調査のうえ、必要に応じて処分を 職務上の関係性の問題から、上司から部下に対するパワハラが懸念されています。ところが、パワハラ上司は指導や注意の一環として認識しているケースも多く、解決は簡単ではありません。 被害者からパワハラの訴えがあった場合、ハラスメントに該当する事実があったことや、ハラスメントの具体的な内容など、速やかに事実調査を行ってください。続いて、直属の上長や社内の専門部署にて対応します。改善しない場合は、労働局への相談や労働審判も検討する必要があるでしょう。 上司によるパワハラの問題が起こってしまったら、再発防止に向けて取り組むことも大切です。ハラスメント研修を行うなら「learningBOX ON」のハラスメント研修コンテンツをご活用ください。 「learningBOX ON」は、eラーニング作成・管理システムであるlearningBOXに、企業で必須となる研修コンテンツを簡単に追加することができるサービスです。自社で内製したコンテンツと組み合わせて、オリジナルの学習コースを簡単に設計することができます。 ハラスメント研修やコンプライアンス研修のコンテンツなどを無料で利用できますので、ぜひ社内研修にご活用ください。 ▼こちらもおすすめ!あわせて読みたい 目次に戻る
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逆セクハラとは?問題点や職場での事例、企業の予防策を解説

セクシュアルハラスメント(セクハラ)は一般的に「男性から女性」に対する加害と思われがちですが、「女性から男性」に対する加害でも成立します。このように男性が被害者となるケースは「逆セクハラ」と呼ばれます。特に企業では、女性の上司に男性の部下という立場の違いから生まれるケースも多く、逆セクハラへの対応が急務です。 今回は、逆セクハラの基礎知識や該当する言動の例、企業ができる予防策を解説します。男女問わず働きやすい職場環境を整備するためにも、 人事担当の方はぜひ参考にしてみてください。 目次 01逆セクハラとは? 逆セクハラの意味 逆セクハラの問題点 02逆セクハラの具体的な事例 プライベートに対する発言 露出度の高い服装 過度なボディタッチ 男性らしさを過度に求める発言 体型や外見に対するからかい 03逆セクハラ対策で企業ができること 逆セクハラへの方針を明確にする 相談窓口を設置する ハラスメント防止研修を定期的に実施する 04逆セクハラ対策を講じて男女ともに快適に働ける職場にしよう 逆セクハラとは? セクシュアルハラスメント(セクハラ)という言葉は耳にする機会が多いものの、逆セクハラはあまり馴染みがない方も多いでしょう。そこでまずは、逆セクハラの意味や問題点を解説します。 逆セクハラの意味 逆セクハラとは、女性から男性に対するセクハラを指します。職場では女性の上司が加害者、男性の部下が被害者となるケースが多い傾向にあります。セクハラは性的な嫌がらせの言動の総称で、性別を理由とした差別行為であり人権問題として捉えられています。 本来セクハラは女性・男性を問わず成立するものですが、依然として「セクハラは男性が女性に対して行うもの」という意識が根強いことから、逆セクハラという言葉が生まれました。 逆セクハラの問題点 逆セクハラの問題点として「セクハラの被害者は女性である」というステレオタイプな考え方が浸透しており、被害に遭った男性が言い出しにくい環境になっている点が挙げられます。女性が自覚なく逆セクハラをしている事例も少なくありません。 また、逆セクハラは男女雇用機会均等法に抵触する可能性がある点にも注意が必要です。企業や事業主は、防止措置を怠ると厚生労働大臣から助言や指導、勧告を受ける恐れがあります。勧告に従わないと過料が科されるだけでなく、企業名が公表され、イメージダウンにつながる恐れもあります。 【参考】 e-Gov「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」 目次に戻る 逆セクハラの具体的な事例 社内での逆セクハラ被害を防止するには、企業が「どのような言動が逆セクハラに該当するか」を積極的に発信することが大切です。ここでは、逆セクハラに該当する具体的な行為を解説します。 プライベートに対する発言 プライベートに対する発言は、逆セクハラの典型例です。たとえば「彼女はいるの?」「結婚する予定は?」「休日は何をしているの?」などの発言には気をつける必要があります。 親しい間柄でないにもかかわらず、業務と無関係なプライベートに踏み込んだ発言をすると逆セクハラに該当する可能性があります。 露出度の高い服装 下着が透けて見えるトップスや胸元の開いたブラウス、丈の短いスカートなどの露出度が高い服装は、男性が目のやり場に困ると感じた場合に逆セクハラとなる可能性があります。 就業規則で男性はスーツと定められている企業でも、女性の服装は幅広く規定されているケースが多いため注意が必要です。 過度なボディタッチ 親しくない相手に体を触られると不快な気持ちになるのは男女共通です。女性から男性への過度なボディタッチは、逆セクハラと捉えられる恐れがあります。 性的な目的の有無や触る部位などは関係ありません。指導をする際は適切な距離感を保つよう注意喚起しましょう。 男性らしさを過度に求める発言 ジェンダーバイアスのかかった発言も、不快に感じる方が多い傾向にあります。ジェンダーバイアスとは、性別に対する固定的な考えのことで「女性らしさ」や「男性らしさ」を求める言動です。たとえば、「男なのに体力がない」「男らしい態度を見せなさい」などの発言は、逆セクハラに該当します。 体型や外見に対するからかい 男性の体型や外見をからかう行為は相手を不快な気持ちにさせるだけでなく、逆セクハラと評価される恐れがあります。「最近太った?」「白髪が増えた?」などの発言が代表例です。 目次に戻る 逆セクハラ対策で企業ができること 最後に、企業にできる逆セクハラの対処法をご紹介します。逆セクハラをはじめとしたハラスメントが常態化すると、従業員のモチベーションが低下し、業績の悪化や人材流出などにつながる恐れがあります。こうした事態を防ぐためにも、企業は事前にハラスメント対策を講じ、従業員に周知しましょう。 逆セクハラへの方針を明確にする まずは、企業のトップが逆セクハラに該当する行為を許さない旨をメッセージとして発信し、対応方針を明確にすることが重要です。男性の中には逆セクハラの被害に遭っていることを言い出しにくいと感じている方もいるため、企業が方針を示すことで安心して相談しやすくなります。 メールや社内報で発信するだけでなく、就業規則や労働協約で対応を明文化するのが効果的です。実際に逆セクハラの事案が発生した場合は、ルールの中で厳しく対処しましょう。許されない行為をした場合にどのような処分を受けるのかが明確になり、逆セクハラの周知と抑止につながります。 相談窓口を設置する 逆セクハラが疑われる事例が発生した場合に、従業員が気軽に相談できる窓口を設置して利用を促すと良いでしょう。相談できる場所がないと、逆セクハラに該当するかどうかを従業員が自己判断してしまい、企業が認知する頃には被害が大きくなっている可能性があります。産業医などの専門家を常駐させるのが理想的です。 また、相談窓口を設置する際は、相談者や加害者のプライバシーを保護する措置を講じ、その旨を周知しましょう。相談をした事実やその内容が社内に漏れてしまう心配があると、従業員が窓口を利用しにくくなります。 自社で対応するのが難しい場合は、外部のハラスメント相談窓口を利用するのも一つの方法です。外部の相談窓口は公的な機関のほか、社会保険労務士・行政書士・弁護士などが在籍する法律事務所が提供しています。人によっては社内の相談窓口よりも相談しやすいと感じることがあるため、トラブルの発生を未然に防ぐ上で有効です。 ハラスメント防止研修を定期的に実施する ハラスメント防止研修とは、ハラスメントに関する正しい知識の習得と、職場でのハラスメント防止を目的として実施される研修プログラムです。定期的に実施することで組織全体のハラスメント意識が高まり、職場環境の改善が期待できます。 ハラスメント研修のプログラム策定には、eラーニングシステムの活用がおすすめです。eラーニングシステムとは、教材の作成・配信や受講者の管理、データの蓄積・分析などを一括で行うシステムを指します。外部委託する場合と比較して研修内容を自社に最適化しやすく、より高い効果が見込めます。 目次に戻る 逆セクハラ対策を講じて男女ともに快適に働ける職場にしよう セクハラは「男性から女性」に対する加害と捉えられやすいものの、「女性から男性」に対する逆セクハラも存在します。一般的なセクハラと比較すると認知が進んでいないため、言い出しにくい従業員がいるかもしれません。 社内でハラスメントに関する周知をする際は、「learningBOX ON」のハラスメント研修コンテンツをご活用ください。 「learningBOX ON」は、eラーニング作成・管理システムであるlearningBOXに、企業で必須となる研修コンテンツを簡単に追加することができるサービスです。自社で内製したコンテンツと組み合わせて、オリジナルの学習コースを簡単に設計することができます。 ハラスメント研修やコンプライアンス研修のコンテンツなどを無料で利用できますので、ぜひ社内研修にご活用ください。逆セクハラ防止に向けて積極的に対策を講じ、男女問わず働きやすい職場環境を整えましょう。 ▼こちらもおすすめ!あわせて読みたい 目次に戻る

職場で起こるモラハラとは?被害を放置するリスクや具体例、解決方法を紹介

モラルハラスメント(モラハラ)は、各種ハラスメントの中でも定義が難しく、目に見えにくいとされます。そのため、自覚なく加害者や被害者になっているケースも多く、休職や退職をきっかけに発覚するケースも少なくありません。 そのような事態を防ぐには、企業側が積極的に対策を講じ、従業員の労働環境を守ることが必要です。そこで本記事では、職場で起こるモラハラの特徴や具体例、モラハラ防止に向けた対策について解説します。 目次 01職場で発生するモラハラの特徴 職場で起こるモラハラとは? 職場のモラハラを放置するリスク 02職場におけるモラハラの具体的な事例と対処法 職場で起こるモラハラの具体例 職場のモラハラが疑われる場合の対処法 03職場のモラハラ問題の解決方法 職場のモラハラ対策 04職場のモラハラ対策を行い従業員の労働環境を守ろう 職場で発生するモラハラの特徴 モラハラは職場内や家庭内、学校などさまざまな場所で発生し、社会問題となっています。まずは、職場で発生するモラハラの特徴や被害を放置するリスクを確認しましょう。 職場で起こるモラハラとは? モラハラとは、倫理観を意味する「モラル」と嫌がらせやいじめを意味する「ハラスメント」を組み合わせた言葉です。 職場で発生するモラハラとは、職場での態度や言葉によって相手に精神的な苦痛を与え、その人が仕事を辞めるように仕向ける行為、または就業環境を悪化させる行為を指します。 モラハラに上下関係の有無は関係なく、誰でも被害者・加害者になり得るのが特徴です。自覚なくモラハラの加害者になっているケースも少なくありません。 職場のモラハラを放置するリスク モラハラが発生しているにもかかわらず防止措置を怠ると、被害者の心理的なストレスが増大し、精神疾患を抱えてしまう可能性があります。具体的には、うつ病・心身症・適応障害・心的外傷後ストレス障害(PTSD)などを発症し、休職や退職に至るケースも存在します。 モラハラを放置した企業や事業主は職場環境配慮義務違反となり、損害賠償請求などの責任を問われるおそれがあります。企業イメージのダウンによる売上の低下、離職者の増加、人材難などに発展するリスクもあるでしょう。モラハラの行為者が、侮辱罪や名誉毀損罪など罪に問われた事例もあります。 目次に戻る 職場におけるモラハラの具体的な事例と対処法 職場でのモラハラが常態化すると、生産性やモチベーションの低下、人材流出などにつながります。疑わしい事例が報告されたら、速やかに原因を把握し、対策を講じましょう。 職場で起こるモラハラの具体例 精神的苦痛を与える攻撃は、職場で起こるモラハラの代表例です。具体的には、容姿や人間性の否定、家族への悪口、長時間の叱責、私的な雑用の押し付け、不当な人事評価、降格やリストラの示唆などが該当します。 他には、人間関係からの切り離しや特定の従業員を孤立させる行為もモラハラに該当します。例えば、理由の説明がない仕事外しや不利益なうわさの流布、無視、社内イベントからの排除などが典型的です。 プライベートへの過剰な干渉もモラハラと見なされます。具体的には、休日や休暇中の従業員に対するしつような連絡、嫌がる相手へのプライベートの詮索、プライベートな事柄の周囲への言いふらしといった行為です。 職場のモラハラが疑われる場合の対処法 職場でモラハラが疑われる事案が発生した場合は、プライバシーを確保できる相談窓口で、産業医などの専門家を中心に対応するのが基本です。 モラハラは、パワーハラスメントやセクシュアルハラスメントと異なり明確な定義がなく、判断が難しいとされます。被害者だけでなく加害者や第三者へのヒアリングも行い、事実確認をする必要があります。その際は、ハラスメント行為を記録した証拠が残っていると事実確認がしやすくなります。メールやチャットの文面、ICレコーダーの録音、同僚の証言などが残っていると効果的です。 社内での解決が難しい場合は外部機関への相談を検討するのがおすすめです。顧問先の法律事務所などがあれば、速やかに連絡を取り対応してもらいましょう。 目次に戻る 職場のモラハラ問題の解決方法 最後に、職場で起きたモラハラ問題の相談先や対策について解説します。大企業では2020年6月1日、中小企業では2022年4月1日からパワーハラスメント対策が義務化されました。 モラハラからパワーハラスメントに至るケースもあるため、懲戒制度の策定や社内体制の整備などを通して、労働者が安心して働ける職場環境を整えましょう。 職場のモラハラ対策 会社方針の明確化 職場のモラハラを未然に防ぐには、企業がモラハラを許さない旨を明確にすることが重要です。具体的には、モラハラに対する方針を就業規則や労働協約に明記し、従業員への周知・啓蒙(けいもう)活動に取り組みましょう。 モラハラは階級や性別に関係なく発生しうるため、対象を管理職やリーダーに限定せず、全従業員へ周知する必要があります。また、加害者に対する懲戒規定も整備しておくと良いでしょう。 相談窓口の設置 ハラスメント防止措置として相談窓口を設置し、労働者に周知するのも有効な方法です。悩みを抱えた従業員が早い段階で相談できるよう、利用案内のポスターを作成したり労働組合と協力したりしましょう。 また積極的な利用を推進するには、相談者のプライバシーを保護し、相談した事実を理由に不当な取り扱いをしない旨を周知することも求められます。 社内の調査体制の整備 ハラスメント対策には問題が生じた場合に備えて、社内の調査体制を整備することも含まれます。相談が寄せられた際に速やかに事実確認を行い、行為者の処分や再発防止策を講じると、従業員が安心して働けるようになります。 ハラスメント研修の実施 職場のモラハラ対策にはハラスメント研修を実施するのも有効です。ハラスメントに対する企業のスタンスを社内に浸透でき、繰り返し実施することでハラスメントの正しい知識の習得や問題の早期発見につながります。 ハラスメント研修の実施方法は、主に内製化と外部委託の2種類があります。eラーニングシステムを活用すれば研修内容を自社に最適化でき、外部委託と比較してコストを抑えられるためおすすめです。 目次に戻る 職場のモラハラ対策を行い従業員の労働環境を守ろう モラハラをはじめとしたハラスメント対策の重要性は理解しているものの、対応が後手に回ってしまっている企業も少なくありません。これを機に対策に取り組み、従業員の安心・安全な労働環境を守りましょう。 ハラスメントに関する社内研修を実施する際は、「learningBOX ON」のハラスメント研修コンテンツをご活用ください。 「learningBOX ON」は、eラーニング作成・管理システムであるlearningBOXに、企業で必須となる研修コンテンツを簡単に追加することができるサービスです。自社で内製したコンテンツと組み合わせて、オリジナルの学習コースを簡単に設計することができます。 ハラスメント研修やコンプライアンス研修のコンテンツなどを無料で利用できますので、ぜひ社内研修にご活用ください。 ▼こちらもおすすめ!あわせて読みたい 目次に戻る
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パワハラにあたる言葉一覧|話し方の注意点やハラスメント研修で周知する方法

多くの企業でパワーハラスメント(パワハラ)が問題になっています。企業にとっては、パワハラ防止のために何らかの対策を講じることが急務です。 しかし、パワハラの認識は人によって異なるため、各々の判断でパワハラ防止を呼びかけるだけでは明確な効果は期待できません。企業側でNGな言葉や言動のリストを提示することが大切です。 この記事では、具体的なパワハラにあたる言葉の一覧や、ハラスメント研修で社内へ周知していく方法について解説します。 目次 01パワハラに該当する話し方 威圧的な態度で発言する しつように嫌がらせをする 他の人の前で叱る 攻撃的な電話やメールをする 02【ジャンル別】注意したいパワハラにあたる言葉一覧 相手を脅迫する言葉 相手を侮辱する言葉 ひどい暴言 03パワハラにあたる言葉一覧を社内で周知するには? ハラスメント研修の特徴 ハラスメント研修を内製化するメリット 04パワハラにあたる言葉一覧を周知することでパワハラの被害を予防しよう パワハラに該当する話し方 パワハラを是正するために、まずはどんな言動がパワハラに該当するのかを把握しておく必要があります。以下では、通常業務で起こり得るパワハラに該当する話し方について解説します。 威圧的な態度で発言する 威圧的な態度での発言は、パワハラに該当します。具体的にNGな言動の例は「声を荒らげる」「相手をにらむ」「話しながら物を叩く」などです。 部下への指導のため少し強めの言葉や態度を用いている場合は見直してみましょう。これらの行動は業務上で必要な指導の範囲を超えていると見なされます。部下が恐怖を感じて萎縮してしまうこともあるでしょう。いかなる理由があったとしても、こうした態度で部下に接するのは好ましくありません。 しつように嫌がらせをする 悪意をもって嫌がらせを繰り返すことも好ましくありません。攻撃的な言動を何度も繰り返し行うのはNGです。部下の過去のミスなどをしつように話題にするのも避けたほうが良いでしょう。 度重なる嫌がらせの苦痛により、部下が追い詰められる恐れがあります。こうしたパワハラが原因で部下がメンタルヘルスを害するケースや、退職してしまうケースが相次いでいます。 他の人の前で叱る 他の人の前で叱ることもパワハラに該当します。例として、同僚の前で叱ったり、侮辱したりするのはNGです。人前で長時間にわたり立たせたままにするといった行為もNGだと考えられています。 指導の一環として叱ることはあるものの、部下にストレスや恐怖心を植え付けてしまうのは逆効果です。その様子を見ているほかの部下にも良い印象を与えずに、職場の雰囲気の悪化につながるデメリットもあります。 攻撃的な電話やメールをする 電話やメールなど、非対面のコミュニケーションにおける言葉遣いでも、パワハラが起こる可能性があります。 電話で暴言を吐く、攻撃的なメールをしつように送るといった行為がNG例です。複数名に宛てたメールで叱責し、見せしめにするケースにも注意しましょう。 目次に戻る 【ジャンル別】注意したいパワハラにあたる言葉一覧 意図せずしてパワハラの加害者とならないように、具体的なパワハラにあたる言葉を覚えておくことが大切です。また、社内のパワハラを是正するためにも、パワハラにあたる言葉の具体例を周知しておくことが求められます。 以下では、注意が必要なパワハラにあたる言葉をジャンル別に紹介します。 相手を脅迫する言葉 危害を加えることをほのめかし、相手を怖がらせる言葉はパワハラに該当します。以下のような言葉が代表例です。 クビにするぞ プロジェクトから外されてもいいのか? この成績で正社員にはさせないからな 次の契約更新はないと思え 仕事を辞めたければ◯万円を払え 有給は使わせないぞ こうした言葉を投げかけると、被害者が社内での立場や身の危険を感じてしまいます。権力を振りかざして部下を脅迫するようなことがあれば、良好な信頼関係の構築は期待できません。脅迫を受けたとして、部下から損害賠償請求される可能性もあります。 相手を侮辱する言葉 相手の人格否定をする言葉は、例外なくパワハラに該当します。以下はNGな言葉の例です。 給料泥棒 役立たず 新入社員以下の働きぶりだ もっと優秀な人を採用するべきだった お前のせいでみんなに迷惑がかかっている こんなに仕事ができない奴は見たことがない お前にはどうせ無理だ 部下を指導する目的であったとしても、これらの言葉を選ぶことには明らかに正当性がありません。名誉毀損や侮辱にあたるケースもあります。 また、相手の性的指向や性自認、国籍などを差別する言葉はパワハラに該当します。例として「日本語が分からないのか?」のような言葉は使うべきではありません。 近年は特にこうした中傷への感度が世界的に高まっています。発言者にとってはささいな冗談のつもりでも、大きな問題に発展するケースがあるため注意が必要です。 ひどい暴言 職場に不適切な悪口や乱暴な言葉などはパワハラに該当します。同様に、身体的な特徴を中傷するような言葉もNGです。以下のような表現は、基本的に使うべきではありません。 バカ アホ ボケ デブ ブサイク ジジイ ババア ゆとり 無能 気持ち悪い 加害者側は冗談のつもりでも、被害者側が精神的な苦痛や不快感を覚えたらパワハラと認定される可能性があります。 目次に戻る パワハラにあたる言葉一覧を社内で周知するには? 自社のパワハラ対策にはハラスメント研修を実施するのがおすすめです。使ってはいけないパワハラにあたる言葉一覧を周知することもできます。以下では、ハラスメント研修の特徴や、ハラスメント研修の内製化について解説します。 ハラスメント研修の特徴 ハラスメント研修とは、パワハラ、セクシュアルハラスメント(セクハラ)、モラルハラスメント(モラハラ)など社内のハラスメント防止を目的に実施される研修プログラムのことです。ハラスメントの基礎知識、相談窓口での対処法、予防へ向けた職場環境づくりなどを学習します。 ハラスメントはあらゆる階層で起こり得ます。そのため、管理職層に限らず、幅広い階層の社員へハラスメント研修を受講させるのがポイントです。社内全体でハラスメント研修を受講することで、ハラスメントが発生しにくい風土を組織的に作りやすくなるでしょう。 ハラスメント研修を内製化するメリット ハラスメント研修を実施するには外部のサービスを利用するほか、内製化する方法もあります。 自社の業務に適した独自の研修コンテンツを作成できる点は、ハラスメント研修を内製化する代表的なメリットです。パワハラにあたる言葉一覧を提示し、社内で周知することもできます。研修コンテンツの見直しやブラッシュアップがしやすい点もメリットとして挙げられます。 ハラスメント研修の内製化にはさまざまな方法があり、eラーニングシステムを利用するのが代表的な方法です。システム上で簡単に問題作成や管理ができるため、自社に合わせたコンテンツの作成や、社員の学習進捗確認が容易になります。eラーニングは場所を選ばず学習できるので、リモートワークにも最適です。 目次に戻る パワハラにあたる言葉一覧を周知することでパワハラの被害を予防しよう パワハラの事例では、加害者側が「業務上必要な指導を行った」「ちょっとした冗談を言った」と認識しているケースもあります。しかし、これらが重大なパワハラ事件に発展してしまうことも少なくありません。 パワハラを防止するためには、社員それぞれの判断に委ねず、企業側がNGリストを提供することが重要です。話し方やジャンル別のパワハラにあたる言葉を社内で定義しておきましょう。その際、周知が必要なのは管理職層だけではありません。あらゆる階層に広め、全社的にパワハラ防止へ取り組みましょう。 社内でハラスメントに関する周知をする際は、「learningBOX ON」のハラスメント研修コンテンツをご活用ください。 「learningBOX ON」は、eラーニング作成・管理システムであるlearningBOXに、企業で必須となる研修コンテンツを簡単に追加することができるサービスです。自社で内製したコンテンツと組み合わせて、オリジナルの学習コースを簡単に設計することができます。 ハラスメント研修やコンプライアンス研修のコンテンツなどを無料で利用できますので、ぜひ社内研修にご活用ください。 ▼こちらもおすすめ!あわせて読みたい 目次に戻る

仕事を与えないのはパワハラにあたる?パワハラを放置するリスクも紹介

現代は職場内でのハラスメントが社会的な問題となっており、「パワハラ(パワーハラスメント)」は代表的なハラスメント行為です。 パワハラにもいくつかの種類があり「仕事を与えない」こともパワハラといわれることがありますが、本当にパワハラにあたるのか気になる方もいるのではないでしょうか。社員に仕事を与えないことがパワハラにあたるのかしっかりと理解したい方は、パワハラの種類や定義などをチェックしておきましょう。 今回の記事では、パワハラの定義・分類に加えて、パワハラを放置することのリスクなどを徹底解説します。 目次 01パワハラとは?定義と分類 精神的な攻撃 個の侵害 過大な要求 過小な要求(仕事を与えない) 02「仕事を与えない」を含めたパワハラの放置によるリスク 生産性が低下する 人材流出につながる 企業の評判が悪くなる 03パワハラを起こさないために企業ができること 日頃から円滑なコミュニケーションを心掛ける 相談窓口を設置する パワハラに対する意識を従業員に根付かせる 04まとめ パワハラとは?定義と分類 パワハラの定義は、厚生労働省では職場において行われる下記の3つ全てを満たすものと示されています。 ①優越的な関係を背景とした言動 ②業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの ③労働者の就業環境が害されるもの 【引用】 厚生労働省 あかるい職場応援団|「ハラスメント基本情報」パワーハラスメントの定義 一口にパワハラと言っても、パワハラにはいろいろな種類があります。パワハラへの理解を深めるために、ここではパワハラの種類をいくつか紹介します。 精神的な攻撃 身体的な攻撃ではなく、無視をするなどの精神的な攻撃で被害者にダメージを与えるパワハラです。例えば、大勢の他の従業員がいる前で特定の従業員を罵倒したり、ミスをした従業員を侮辱したりする行為が挙げられます。 部下にとって有益な指導であれば、パワハラと受け取られることはないでしょう。しかし、被害者が精神的なストレスを訴えるほどの攻撃はパワハラに該当します。 個の侵害 従業員のプライバシーを侵害することも、パワハラに該当します。自由参加であるにもかかわらず、社内イベントの参加を強制することや、プライベートな情報を聞き出すことなどが個の侵害の例です。また、有給の取得理由をしつように聞くことも個の侵害にあたります。 過大な要求 能力が足りていないにもかかわらず、明らかに不可能と思える要求をすることもパワハラの一種です。入社して間もない新入社員に対して、2〜3年の経験がなければできない仕事を与えることは、過大要求の例です。 また、暗に休日出勤をするように促すこと、業務内容に直接的な関係がないことをさせるのも過大な要求に当てはまります。 過小な要求(仕事を与えない) 過大な要求とは反対に、仕事を与えないといった過小な要求もパワハラです。エンジニアとして採用された従業員が、一日中雑用するといった行為は過小要求に当てはまります。とにかく長時間、単純労働をさせる行為が見られます。 また単純労働の仕事すら与えないことも、まれに見られるケースです。 目次に戻る 「仕事を与えない」を含めたパワハラの放置によるリスク 「仕事を与えない」といったパワハラ行為を放置することは、企業にたくさんのリスクがあります。どのようなリスクが想定されるのか、3つの内容を確認しておきましょう。 生産性が低下する 社内でパワハラが放置されていると、仕事の生産性を下げる危険性があります。部下に対して高圧的・威圧的な態度をとる上司がいれば、部下は上司の顔色を伺って仕事をしなければならず、仕事に集中できない可能性があるのです。 パワハラの加害者が1人いるだけでも、被害者は数人に増えてしまうことは珍しくありません。人間関係の悪さが原因で複数人が仕事に集中できなければ、生産性も下がってしまうでしょう。 人材流出につながる パワハラの放置によって、人材流出を招くリスクもあります。企業側が十分な対策をしていなければ、パワハラの被害者は身体面・精神面の両方で疲弊してしまい、退職を選ぶ可能性が高まります。従業員の人材流出が続くと、企業は再び人材を採用しなければならず、仕事量が増えることにもつながってしまうのです。 企業の評判が悪くなる 現在はインターネットで企業の口コミが閲覧できる時代です。パワハラが原因で退職した従業員の中には、口コミサイトで企業に対する悪い評価を投稿する人もいるでしょう。 悪い評価の口コミを閲覧した人のほとんどは、企業に対してマイナスイメージを持つので、企業の評判も自然と悪くなり企業経営に影響が出ます。 目次に戻る パワハラを起こさないために企業ができること パワハラを放置するとさまざまなリスクを招き、企業にとって多くの悪影響が出てしまいます。パワハラによる被害を防ぐためには、企業側が体制を整えることが大切です。企業ができる対策を3つ解説します。 日頃から円滑なコミュニケーションを心掛ける パワハラを防ぐための最重要ポイントは、従業員と日頃から円滑なコミュニケーションをとることです。 従業員同士のコミュニケーションが薄い職場環境では、お互いの信頼関係が築けていないことがあります。その結果、思わぬ発言がパワハラの火種になるケースも考えられるでしょう。 労務・人事担当者は相手への配慮をしっかりと持ちつつ従業員と面談をするなど、積極的にコミュニケーションを取ってください。 相談窓口を設置する パワハラが発生しても、被害者が誰にも相談できないといったケースは珍しくありません。被害者が泣き寝入りすることがないよう、自社内または外部に相談窓口を設置することがおすすめです。 「悩みを誰かに相談できる」という環境があるだけで、従業員は大きな安心感を抱きます。相談内容に関する守秘義務の徹底などを明示し、いつでも気軽に相談できる環境を整えることが、パワハラの抑止にもつながります。 パワハラに対する意識を従業員に根付かせる パワハラへの定義を根付かせて、パワハラはNGであることを伝えるのも効果的な方法です。特に規模が大きい企業の場合、従業員それぞれがパワハラについて認識を持つことは簡単ではありません。そのため、定期的な注意喚起などで対応しましょう。 たとえば、部署ごとのミーティング等で、実際に発生したパワハラの事例を確認するのも1つの方法です。「パワハラをしてはいけない」と言葉で言われても、中には実感が湧かない人もいるものです。パワハラをするとどうなるのか、よりイメージできるように注意喚起をしましょう。 目次に戻る まとめ 会社内でのパワハラを放置してしまうと、企業にとって深刻なリスクが発生します。仕事を与えないなどを筆頭に、パワハラはいつ発生するか分かりにくいこともあるので、企業として対策をすることが大事です。日頃から密なコミュニケーションをとるようにしつつ、相談窓口の設置といった具体的な対策にも乗り出しましょう。 社内でハラスメントに関する周知をする際は、「learningBOX ON」のハラスメント研修コンテンツをご活用ください。 「learningBOX ON」は、eラーニング作成・管理システムであるlearningBOXに、企業で必須となる研修コンテンツを簡単に追加することができるサービスです。自社で内製したコンテンツと組み合わせて、オリジナルの学習コースを簡単に設計することができます。 ハラスメント研修やコンプライアンス研修のコンテンツなどを無料で利用できますので、ぜひ社内研修にご活用ください。 ▼こちらもおすすめ!あわせて読みたい 目次に戻る
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法令遵守だけではない!企業倫理とコンプライアンスについて

経営活動においてコンプライアンスが重要視されている今、課題の一つとしてコンプライアンス対策を推進する企業は数多くあります。しかし「法令遵守こそがコンプライアンスだ」という認識を持つ企業が多く、その本質について理解している企業は少ないかもしれません。 今回はコンプライアンスを理解する上で知っておきたい企業倫理について触れながら、企業のコンプライアンスについて詳しく解説していきます。 企業で人事を担当している方は、ぜひ参考にしてみてください。 目次 01企業における「コンプライアンス」とは? 02コンプライアンス違反の事例 労働時間管理の不備 パワハラ・セクハラ 情報セキュリティの不備 不正会計 不正受給 商品・サービスの不当表示 衛生管理の不徹底 03企業のコンプライアンスに必要な倫理 第1階層:法令遵守 第2階層:社内規則の遵守 第3階層:倫理的な行動 04企業にコンプライアンスが必要な理由 社会的責任を果たすため 行政処分を受けるリスクがあるため 企業イメージがダウンするため 05コンプライアンス違反を防止する方法 コンプライアンス対策チームを構築する コンプライアンスプログラムを実施する 内部通報者に対するケア 06まとめ 企業における「コンプライアンス」とは? 企業におけるコンプライアンス(compliance)とは、社会から信頼を得て企業価値を維持することを目的としています。 もちろん国が定めた法律を守るという捉え方でも間違いはありませんが、実はそれだけではありません。社会的な良識を持ち企業倫理に沿った行動を取ることも、企業のコンプライアンスに含まれているのです。 目次に戻る コンプライアンス違反の事例 コンプライアンスが国内で注目されてきたのは1990年代以降です。当時多かった企業不祥事が引き金となり、コンプライアンスという言葉が浸透してきました。 具体的にコンプライアンス違反とはどのようなことを指すのか、順に詳しく見ていきましょう。 労働時間管理の不備 コンプライアンス違反として厳しく取り締まられるのが、時間外労働や残業代の未払いなどによる労働時間管理の不備(労働契約法違反)です。これらに違反すると、労働基準監督署による調査で是正勧告を受けることになってしまいます。 36(サブロク)協定を締結していない企業は、従業員に1日8時間、週40時間を超える労働を強いると法令違反と見なされるので注意しましょう。 パワハラ・セクハラ 「パワーハラスメント(パワハラ)」や「セクシュアルハラスメント(セクハラ)」のような各種ハラスメントも、コンプライアンス違反になり得ます。ハラスメントは個人の問題ではなく会社の責任として、安全配慮義務違反を追求されることがあるので注意が必要です。 また今ではハラスメントの種類は多岐にわたり、「モラルハラスメント(モラハラ)」や「マタニティハラスメント(マタハラ)」といった言葉も出てきています。 働く全ての人がハラスメントに関する理解を深め、問題が起こらないように業務の中で配慮しなくてはなりません。 情報セキュリティの不備 情報セキュリティの不備によるコンプライアンス違反もあります。代表的なもので言えば、従業員の不正な持ち出しやハッキング被害による個人情報の流出です。 昨今はリモートワークの普及により、個人の情報の取り扱いに対する認識が薄れていると危惧されています。企業は情報漏えいを未然に防止するため、情報セキュリティ対策を徹底しなければなりません。 不正会計 過去のコンプライアンス違反の事例として多いのが、売上や経費の架空計上、会計書類の改ざんといった不正会計です。 営業目標を達成させるために資金流用を隠ぺいしたり、脱税目的で経費を水増しして利益を少なく報告したりするなど、コンプライアンス違反に至る経緯は企業によって異なります。 いずれも企業の信頼を損なう違反行為であり、有価証券報告書虚偽記載罪や詐欺罪として厳しく罰せられる可能性があるのです。 不正受給 不正受給は、国からの助成金や補助金を不正に受け取る行為です。 助成金や補助金を受け取るには制度ごとに定められた条件を満たす必要がありますが、虚偽の内容を申告して不正に受給するケースがみられます。この不正が明るみになれば支給額の返還請求に加え、追徴金を課せられるケースもあります。 商品・サービスの不当表示 商品・サービスの不当表示(景品表示法違反)は、サービスや商品に関して誇大な広告を打ったり紛らわしい表現で消費者に誤った情報を伝えることです。 具体的には、根拠のないデータで商品を売り込む、限定数量とうたいながら実際にはそれ以上の数を販売しているなどがあります。 また、根拠なしに「必ず痩せる」「免疫を高める」といった効果を伝えると、薬機法に抵触する可能性もあるでしょう。 衛生管理の不徹底 衛生管理の不徹底は、特に飲食店で問題となっているコンプライアンス違反です。衛生上食品に実施すべき処置を行わず利益率や回転率を優先させた企業が、集団食中毒を引き起こした事例は過去に何度もあります。 また、産地や消費期限を偽装した場合も厳しく処分を受けることになるので注意しなければいけません。 目次に戻る 企業のコンプライアンスに必要な倫理 企業のコンプライアンスは法令遵守だけでなく、事業活動の中で守るべき企業倫理が3段階あります。 第1階層:法令遵守 倫理の第1階層は、法令を遵守した行動を取るという考え方です。今回紹介したような労働契約法違反や不正会計などは、まさに第1階層に反する行為と言えるでしょう。 多くの企業が「コンプライアンスを守る=倫理の第1階層を守る」と認識しているのが現状です。 第2階層:社内規則の遵守 倫理の第2階層は、法令以外の社内規則を守るという考え方です。企業によって規則は異なりますが「備品の目的外使用の禁止」や「個人情報を持ち返らない」などがあるでしょう。 違反しても法で裁かれることはありませんが、企業に勤める人であれば必ず守るべきものだとされています。 第3階層:倫理的な行動 第3階層は法令でも法令でもなく倫理的な行動をしようとする考え方です。人として正しい行動をとるということであり、企業に勤めている人間としてどう正しく行動すべきかということでもあります。企業が果たすべきコンプライアンスは、この第3階層までの範囲を指し示した言葉です。 自社がどの階層まで社員に浸透できているかどうかを今一度確認することが非常に大切と言えます。 目次に戻る 企業にコンプライアンスが必要な理由 ではなぜ企業はコンプライアンスを守る必要があるのでしょうか。その理由について順番に見ていきましょう。 社会的責任を果たすため 企業が経営をするにはCSR(Corporate Social Responsibility)、いわゆる社会的責任を果たす必要があります。 CSRは社会の要請に応えるものであり、コンプライアンスよりも広義的に使われることが多い言葉です。つまりCSRを進めるプロセスの中にコンプライアンスは含まれています。 自社の利益だけを優先させず、CSRで社会とより良い関係を築いていけるような企業であることが重要です。そうすることで、「コンプライアンス体制が徹底されている企業」という評価をしてもらえるようになるのです。 行政処分を受けるリスクがあるため コンプライアンスに違反すると、企業は業務停止処分や業務改善命令を受ける可能性があります。 違反の程度によっては逮捕される可能性もあり、罰金刑や懲役刑を受けるケースがないとも言い切れません。行政処分や刑罰を受けることになれば、業務が行えなくなるだけでなく企業の信頼を大きく損ねてしまうことになるでしょう。 そのために日頃から、従業員一人ひとりがコンプライアンスに対する意識を高めておく必要があります。 企業イメージがダウンするため コンプライアンス違反で新聞やニュースで報道されると、企業イメージが大きく損なわれます。今まで良好な関係を築いていた取引先も離れていき、消費者に対しては不買や買い控えに結びつく可能性もあるでしょう。 そしてコンプライアンス違反が起こった後の対応を適切に行わなければ、事業縮小や倒産に追い込まれるケースも数多くあります。 目次に戻る コンプライアンス違反を防止する方法 コンプライアンス違反にならないよう、企業は防止対策を徹底しなければなりません。次に具体的な防止方法について見ていきましょう。 コンプライアンス対策チームを構築する 社内にコンプライアンス対策チームを設置しましょう。チームをつくる上で大切なのが「単に法律を守る」という認識をチームに持たせるのではなく、企業倫理の深い部分まで周知させることです。 そして最も大事なことは、社会的な行動規範を守るために必要な行動や姿勢であり、まさしく今回ご紹介した倫理の第3階層までの理解を指します。 また対策チームに加え、社内のコンプライアンス違反について社員が気軽に相談できるような相談窓口を設置することも大切です。 コンプライアンスプログラムを実施する コンプライアンスプログラムの実施も防止策として有効です。コンプライアンスプログラムとは、法令を遵守して倫理にのっとった企業活動をするために企業がつくる枠組みや計画のことを指します。具体的にはコンプライアンス委員会の設置、計画や事案の審議などを実施するなどがあるでしょう。 そしてプログラムを実施したあとは、社内で情報共有できるようにして周知を徹底させる必要があります。 内部通報者に対するケア コンプライアンスを安全かつ未然に防ぐためには、内部通報者を保護しなければなりません。内部通報者は企業にとっては邪魔な存在ではなく、より良い方向へと導いてくれる人材です。 通報により個人が特定され、不利益を被るような体制の職場では、何か問題が起こったときに誰も関心を示さなくなります。内部通報をした社員が不利益にならないように生まれた法律が「公益通報者保護法」です。 企業は公益通報者保護法について社内全体でしっかりと共有し、通報者に対する尊重とケアをする意識を持ちましょう。 目次に戻る まとめ 今回は企業倫理とコンプライアンスについて解説しました。コンプライアンスは法令遵守という言葉に置き換えて使われることが多いですが、法だけでなく倫理やモラルを守るという意味まで含まれています。 社会に携わるべき人間としてどのような行動や姿勢が望ましいのか、一度社内でコンプライアンスについて正しい理解を深める時間をつくりましょう。 社内でコンプライアンスに関する周知をする際は、「learningBOX ON」のコンプライアンス研修コンテンツをご活用ください。 「learningBOX ON」は、eラーニング作成・管理システムであるlearningBOXに、企業で必須となる研修コンテンツを簡単に追加することができるサービスです。自社で内製したコンテンツと組み合わせて、オリジナルの学習コースを簡単に設計することができます。 コンプライアンス研修やハラスメント研修のコンテンツなどを無料で利用できますので、ぜひ社内研修にご活用ください。 ▼こちらもおすすめ!あわせて読みたい 目次に戻る

コンプライアンス経営とは?実施の方法から成功させるポイントまで

企業が長く経営を続けていくためには、コンプライアンスへの配慮が欠かせません。とはいえ、コンプライアンスとはそもそも何を意味するのか、疑問に感じる方も多いのではないでしょうか。コンプライアンス違反が社内で起こることのないよう、コンプライアンスについてしっかり把握しましょう。 今回は、コンプライアンス経営の詳細について、重要視される背景や違反例を紹介します。コンプライアンス経営を実施する方法や、実施時のポイントなども紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。 目次 01コンプライアンス経営とは?重要視される背景 コンプライアンスを強化するメリット 02コンプライアンス違反の例 労働基準法違反 個人情報の漏えい ハラスメント 03コンプライアンス経営を実施する方法 業務プロセスに潜むリスクを洗い出す コンプライアンス研修を実施する 社内風土の見直しを実施する 文書などを適切に管理する コンプライアンス相談窓口を設置する 04コンプライアンス経営を実施するときのポイント 経営者がリーダーシップを発揮する コンプライアンスの専任者を育てる 05まとめ コンプライアンス経営とは?重要視される背景 コンプライアンス(compliance)は「法令遵守」を意味する言葉であり、コンプライアンス経営とは法令を遵守した上で、企業倫理を大切にしながら実践する経営を指します。 企業が経営を続けるためには、社会から信用されることが重要です。しかし、粉飾決算など企業の不祥事が相次いだ背景もあり、コンプライアンスという言葉がよく聞かれるようになりました。 企業による不祥事が多発する現在、1つの不祥事が企業に大きな損害を与える可能性もあります。一方、不正に対するリスク管理ができている企業は、社会から信用されて企業価値も高まります。企業経営において、コンプライアンスを意識することはとても重要です。 コンプライアンスを強化するメリット コンプライアンスを強化できれば、企業にとってうれしいメリットがたくさんあります。具体的なメリットを紹介します。 1つ目のメリットは、長期的な利益を考えられることです。コンプライアンスを意識しない経営では、目先の利益だけを追求してしまうケースがよく見られます。しかし、コンプライアンスを意識することで誠実な価値観で物事を判断でき、長期的な視野に立って利益を生み出すことができます。 2つ目のメリットは、投資家からの評価が高まることです。投資家の中には「企業の社会的責任(CSR)」を重視する人もいます。企業に対する監視の目が厳しい現在、コンプライアンス経営を重視している企業は投資家から評価され、資金調達などの場面で有利に働きます。 目次に戻る コンプライアンス違反の例 企業によるコンプライアンス違反にはいろいろな例がありますが、その中でも今回は3つの違反例を紹介します。 労働基準法違反 現在は働き方改革が推進されているものの、長時間労働や残業代の未払いを筆頭に、労働基準法に違反する経営を行う企業は少なからず見られます。コンプライアンス違反の中でも、よく見られる例と言えるでしょう。 個人情報の漏えい 個人情報保護法の改正により、個人情報の扱いに対する世間の視線は非常に厳しくなっています。セキュリティ対策に力を入れていても、不正アクセスによって個人情報が漏えいするケースは珍しくありません。 ハラスメント 「セクシュアルハラスメント(セクハラ)」や「パワーハラスメント(パワハラ)」など、ハラスメントの種類は非常に多くなっています。行動・言動がハラスメントに当たるかどうかは、受け取り手の感覚によって決定されます。 以前であればハラスメントに当たらないと考えられていた行動・言動が、現在はハラスメントに当たることもあるので、行動・言動には十分な注意が必要です。 目次に戻る コンプライアンス経営を実施する方法 コンプライアンス経営を実施する方法はいろいろあるので、どの方法が合っているのか検討して実施しましょう。ここでは5つの方法を紹介します。 業務プロセスに潜むリスクを洗い出す コンプライアンス違反は、日常的な業務から発生する可能性があります。ですから、日頃の業務プロセスに隠れたリスクが潜んでいないかどうか、洗い出すことから始めましょう。 具体的な方法として、社員にヒアリングを実施する方法があります。労働時間が長くなりすぎていないか、マニュアルは適正かどうかなど、組織に対する不満の有無を確認することがポイントです。 コンプライアンス研修を実施する 全従業員を対象にしたコンプライアンス研修の実施は、従業員の倫理観やモラルの育成に効果的です。社内で守るべきルールや、世間的に常識とされていることなどを共有しましょう。 また、法令に関する知識の教育も欠かせません。法令に関する知識がない状態では、従業員はコンプライアンス違反をしていることに気付かない場合があります。 社内風土の見直しを実施する 研修でコンプライアンスの大切さを訴えても、業務の場面で実践するためには、従業員の意識を変える必要があります。成果を優先するあまりコンプライアンスに対する意識が薄れている状態なら、まずは社内風土を見直しましょう。 不正が発覚した場合の対応などを経営陣が発信し、従業員にコンプライアンス経営の重要性を伝えることがおすすめです。 文書などを適切に管理する 日々多くの文書を取り扱う場合、文書を適切に管理することが求められます。機密性の高い文書が誰でも手に触れられるような状態になっていたり、ファイリングがされていなかったりする場合は、管理方法を再考しましょう。 紙での管理に限界を感じているなら、ペーパーレス化を進める方法がおすすめです。簡単に共有できたり、印刷代などのコストをカットできたりするなど、たくさんのメリットがあります。 コンプライアンス相談窓口を設置する 会社内で不正が横行することを防ぐためには、コンプライアンスに関する相談窓口を設置しましょう。内部から不正を明るみにできる環境があれば、何か問題が起こったときも迅速な対応ができます。 なお、内部通報者に対して不利益な扱いをしないなど、通報者の意思を尊重することが大切です。 目次に戻る コンプライアンス経営を実施するときのポイント コンプライアンス経営を実施するには、ポイントを押さえておくことが重要です。以下の2つを意識してコンプライアンス経営を実施しましょう。 経営者がリーダーシップを発揮する 経営者が「コンプライアンス経営を実施する」という強い姿勢を発揮しなければ、従業員はコンプライアンスの重要性を認識できないでしょう。不正は絶対に起こさないことを徹底し、経営者が本気でリーダーシップを発揮することで、従業員のコンプライアンスに対する意識が高まります。 コンプライアンスの専任者を育てる 長期にわたってコンプライアンス経営を実施するには、自社でコンプライアンスの専任者を育てましょう。第三者によるチェック機関を利用する方法もありますが、あらかじめ社内で担当者を育てておけば、外部人材に頼る必要がなくなります。 外部の勉強会に参加させるなどして、可能であれば部署ごとに専任者が配置できるよう努めましょう。 目次に戻る まとめ 今回はコンプライアンス経営の概要について、コンプライアンス違反の例などを踏まえつつ解説しました。 企業活動を継続する上では、会社はコンプライアンス強化に取り組むことが大切です。経営者がコンプライアンスの重要性を認識しつつ、リスクマネジメントにも取り組みましょう。 社内でコンプライアンスに関する周知をする際は、「learningBOX ON」のコンプライアンス研修コンテンツをご活用ください。 「learningBOX ON」は、eラーニング作成・管理システムであるlearningBOXに、企業で必須となる研修コンテンツを簡単に追加することができるサービスです。自社で内製したコンテンツと組み合わせて、オリジナルの学習コースを簡単に設計することができます。 コンプライアンス研修やハラスメント研修のコンテンツなどを無料で利用できますので、ぜひ社内研修にご活用ください。 ▼こちらもおすすめ!あわせて読みたい 目次に戻る
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ケアハラスメントとは?関連する法制度と企業ができる予防策

近年「ケアハラスメント」が社会問題となりつつあります。ケアハラスメントは、仕事と介護を両立する際に事業者や上司から嫌がらせを受けたり、不当な扱いをされたりするハラスメントの一種です。 「セクシャルハラスメント(セクハラ)」や「パワーハラスメント(パワハラ)」などに比べるとまだ認知度は低いものの、その被害に遭っている人は数えきれません。企業一丸となり、ケアハラスメントの防止に取り組む必要があります。 今回は、ケアハラスメントの特徴や具体例、企業が行うべき取り組みをご紹介します。 目次 01ケアハラスメントの基礎知識 ケアハラスメントの定義 ケアハラスメントの具体例 ケアハラスメントの主な原因 02ケアハラスメントに関連する法制度 介護休業 介護休業給付金 介護休暇 所定外労働の制限(残業免除) 所定労働時間の短縮措置 深夜業の制限 03ケアハラスメントを防止するために企業ができること ハラスメント問題に対する会社の方針を明確にする 社内研修を実施する 相談窓口と社内体制を整備する 実態を把握するためのアンケートやヒアリングを実施する 04ケアハラスメントはeラーニングで理解度を高めよう ケアハラスメントの基礎知識 介護と仕事を両立するには、職場を含めた周囲の理解が必要です。ここでは、ケアハラスメントの定義や具体例を解説するとともに、近年注目されるようになった背景をご紹介します。 ケアハラスメントの定義 ケアハラスメントとは、働きながら介護をする人に向けたハラスメント行為のことです。ハラスメントは他者に対する嫌がらせや不快な発言・行為で、代表例として「セクシュアルハラスメント(セクハラ)」「パワーハラスメント(パワハラ)」「モラルハラスメント(モラハラ)」などが知られています。ケアハラスメントも同様に「ケアハラ」と略されることの多い言葉です。 ケアハラスメントは、勤務先の上司や同僚から受ける場合が多く、仕事と介護の両立を阻む深刻な問題と考えられています。介護従事者や施設利用者、あるいはその家族に向けたハラスメント行為も確認されています。要介護認定者が増えている昨今において、ケアハラスメントの解消が日本社会全体の課題といえるでしょう。 ケアハラスメントの具体例 ケアハラスメントのパターンは多岐にわたります。例えば、人事評価を不当に取り扱うケースです。介護休業を申し出た従業員を解雇・雇い止めしたり、役職を降格させたりするケースは、上司などが職務上の優位性を用いて行うケアハラスメントの典型です。 行動ではなく、言動によるケアハラスメントも少なくありません。具体的には、介護休業利用者に対して「残業をしなくて済むからうらやましい」「介護なんて奥さんに代わってもらえばいい」「介護給付金の請求をやめてはどうか?」と制度利用を妨げたり、不当な言動をしたりする人もいます。 介護休業を取った従業員に仕事を与えないというような事例も起きている状況です。こうしたケアハラスメントの被害により、仕事と介護を両立できず離職する人もいます。 ケアハラスメントの主な原因 他のハラスメントと比較して認知が進んでいない ケアハラスメントが横行する1つの要因に、認知度の低さがあります。代表的なハラスメント行為には「セクシュアルハラスメント」「パワーハラスメント」「モラルハラスメント」「マタニティハラスメント」などがあり、これらは社内研修を通じてやってはいけないことという共通認識が広がっています。 ケアハラスメントの知名度が高まったのは近年のことなので、上記のハラスメント行為と比べるとそれほど広くは認知されていません。そもそも耳にしたことがない人も多く、無意識の言動がケアハラスメントにつながるケースもあります。 介護に対する固定概念が残っている 日本社会には今なお「介護は女性が行うもの」という固定概念が根付いています。 近年、女性の社会進出が加速し、夫婦共働きの世帯も増加しました。政府としても、男女平等社会の実現に向けてさまざまな取り組みを行っています。 しかし「女性は○○をすべき」「男性は○○をすべき」といった男女の役割における社会通念・慣習は、なかなか変化が見られません。そのため、男性が介護休業を取ることに違和感を覚えたり、介護を女性に押しつけようとしたりする人もいます。 介護はいつ始まりいつ終わるのかが明確ではない 介護の始まりと終わりは、当事者ですら分からないものです。子どもの成長にともない復帰する育児休業とは異なり、明確な期間が決められていません。 こうした介護の性質から、経営者や上司が「介護に追われている人材に重要な仕事は任せられない」「復帰時期が分からない社員は辞めて欲しい」と考えることも珍しくないようです。 目次に戻る ケアハラスメントに関連する法制度 ケアハラスメントを知る上で、介護関連の法的制度への理解が欠かせません。ここでは、介護休業や介護休業給付金、介護休暇などの特徴や利用条件をご説明します。 【参考】 介護休業制度|厚生労働省 介護休業 介護休業とは、労働者が要介護状態の家族の世話をするために取得できる支援制度です。「育児・介護休業法」にて定められた制度で、厚生労働省が整備促進に取り組み、労働者の仕事と介護の両立を支援しています。 介護休業の利用者は、休業開始日の2週間前までに、事業者に申し出が必要です。対象家族1人につき通算93日まで取得でき、利用条件を満たす労働者からの請求を会社側は拒否できません。公的制度であるため、社内制度の有無も関係なく利用可能です。 介護休業給付金 介護休業給付金は、介護休業を取得した特定の労働者に支給される給付金です。雇用保険にもとづく給付金制度であり、利用の際は事業主がハローワークに申請します。 月々の給付金額は「休業開始時賃金日額×支給日数(30日)×67%」で計算されますが、休業中に別途手当や給与をもらっている場合は減額される可能性があります。 介護休暇 介護休暇は、労働者が要介護状態の家族の世話をするために、短期間の休みを取得できる制度です。介護休業と同じく、育児・介護休業法で定められています。 要介護者が1人の場合は5日間/1年、2人以上の場合は10日間/年まで取得できるのが特徴です。社内制度の有無は関係なく、利用の際に会社側は拒否できません。 所定外労働の制限(残業免除) 所定外労働の制限とは、労働者が要介護状態の家族を世話するために申請した場合、所定外労働を免除しなければならない制度です。いわゆる「残業免除」で、対象家族を介護する労働者(性別不問)であれば、基本的に申請できます。 なお、日々雇用の労働者、労使協定を締結している企業で働く「入社1年未満の労働者」および「1週間の所定労働日数が2日以下の労働者」は利用できません。 所定労働時間の短縮措置 育児・介護休業法にもとづく制度です。労働者が本制度を申請したら、事業主は所定外労働時間を短縮する短時間勤務を認めなければなりません。実施する場合、1日あたりの所定外時間は原則、6時間となります。 深夜業の制限 労働者が要介護認定者の世話をする場合、22時から翌5時の「深夜帯」に働かせてはならない制度です。この時間帯における労働を深夜業といいます。対象家族を介護する男女の労働者が対象ですが、所定労働時間のすべてが深夜帯となる人は、本制度を利用できません。 目次に戻る ケアハラスメントを防止するために企業ができること 労働者をケアハラスメントから守るには、企業・事業主が積極的な防止策を講じることが大切です。ここでは、企業が実践すべきケアハラスメント対策をご紹介します。 ハラスメント問題に対する会社の方針を明確にする 経営層およびマネジメント層がケアハラスメントを許さないという意思表示を行います。ハラスメント問題に対する自社の方針を明確することが強い抑止力となるでしょう。 これにより、社内に介護休業・介護休暇を取得しやすい雰囲気が醸成されます。職場環境の改善に役立つほか、従業員のモチベーションアップや離職防止も期待できると考えられます。ハラスメント対策を就業規則などの社内規定に盛り込み、万が一発生した場合は、厳格に対処することが大切です。 社内研修を実施する ハラスメントに対する自社の方針は、社内研修を通じて浸透させるのが効果的です。繰り返し実践することで、従業員がハラスメントの正しい知識を身に付けていきます。これによって問題の早期発見・解決が期待でき、ケアハラスメントを未然に防ぎやすくなるでしょう。 一般従業員向け研修、管理職向け研修など、役職ごとに内容を変更するのも効果的です。外部業者に研修実施を委託することも可能ですが、eラーニングシステムを活用すると自社に最適な社内研修を行えます。 相談窓口と社内体制を整備する ハラスメントの被害者が気軽に利用できる相談窓口を設置します。社内に専用の部屋を用意し、相談者のプライバシーを守りつつ相談対応を行います。 その際は、ハラスメント問題に精通する人材を担当者に選任します。男女混合かつ複数人の担当者を設置し、相談者が安心して話しやすい環境を用意します。ハラスメント対策において、相談先の設置は急務といえるでしょう。 単に窓口を設置するだけでは効果が薄いため、社内ポスターを掲示したり、名刺サイズの携帯用カードを配布したりして、従業員に周知させることも大切です。ハラスメント被害者が泣き寝入りせずに済む労働環境づくりに努めましょう。 実態を把握するためのアンケートやヒアリングを実施する 社内の実態を把握するため、従業員向けのアンケートやヒアリングを実施しましょう。アンケート結果やヒアリング内容を分析し、実態把握とハラスメント問題の有無を特定します。またアンケート実施後に防止策を講じることで、従業員の信頼を得る効果もあります。 目次に戻る ケアハラスメントはeラーニングで理解度を高めよう 少子高齢化社会の加速により、仕事・介護の両立が当たり前の時代が到来するといわれます。いずれケアハラスメントは、現状よりもさらに深刻な社会問題となるかもしれません。基礎知識や適切な対応、防止策を企業・従業員ともに学び、備える必要があります。 社内でハラスメントに関する周知をする際は、「learningBOX ON」のハラスメント研修コンテンツをご活用ください。 「learningBOX ON」は、eラーニング作成・管理システムであるlearningBOXに、企業で必須となる研修コンテンツを簡単に追加することができるサービスです。自社で内製したコンテンツと組み合わせて、オリジナルの学習コースを簡単に設計することができます。 ハラスメント研修やコンプライアンス研修のコンテンツなどを無料で利用できますので、ぜひ社内研修にご活用ください。 ▼こちらもおすすめ!あわせて読みたい 目次に戻る
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