リスキリングとは?定義から導入、推進方法までを徹底解説

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生産性向上を目的とした既存事業の抜本的な改革、DX文脈を含む新規事業の開発・拡大などを目的として、「プロフェッショナル人材」の採用や既存社員の教育(リスキリング)に力を入れていこうとしている、あるいは既に力を入れている企業は増加の一途をたどっています。

一方でプロフェッショナル人材の確保は、採用コスト・採用機会の観点から容易ではなく、既存社員をリスキリングすることで、既存事業の改革やデジタルを活用した新規ビジネスの開発など、企業の新しい価値創出に向かっているケースも見られます。

しかし、リスキリングを推進していても成果につながりづらく失敗を繰り返していたり、リスキリングという言葉が社内で一人歩きしているだけで、具体的な推進方法が分からなかったりと、お悩みの方は多くいらっしゃるのではないでしょうか。この記事では、リスキリングの定義から、導入・推進方法まで分かりやすく解説していきます。リスキリングに課題を感じている方、導入をご検討中の方はぜひ参考にしてみてください。

リスキリングとは

リスキリング(reskilling)とは、新しい職業につくために、あるいは今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを習得する・させることを指します。
世界に目を向けると、生き残りをかけて多額の投資が行われており、企業戦略の一つとなりつつあります。日本では、政府の「骨太の方針2021(2021年6月)」や経団連の「新成長戦略(2020年11月)」においてデジタル人材の育成やリスキリングの必要性が言及されるなど、国内で関心が高まっている分野です。

リカレント教育・学び直しとの違い

リスキリングはリカレント教育や学び直しと混同されることがありますが、その本質や目的はまったく異なります。職を離れる「リカレント教育」や単純な「学び直し」は、あくまで現在の役割をより良くこなすための個人のスキルアップにすぎません。一方、「リスキリング」は企業が新たな価値創出を目指すための事業戦略の一環なのです。

リスキリング リカレント教育
定義 新たな業務に必要なスキルや知識を習得すること 生涯にわたって教育と就労のサイクルを繰り返すこと
目的 既存社員を新たな役割におけるプロフェッショナル人材にすること 現在の役割をより良くこなすためのスキルアップ
学びの主体 企業 個人

リスキリングが注目される理由

リスキリングが注目される理由として、DXやGX(グリーントランスフォーメーション)の普及・推進が挙げられるでしょう。企業はこれらの影響により、戦略から製品・サービス、業務フローまで、企業経営の大幅な変革を迫られつつあります。その結果、消滅する職務だけでなく新たな職務や業務フローが生まれ、対応できる人材の確保が急務になってきているのです。

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リスキリングが必要とされる背景

リスキリングが必要とされる背景を「市場動向」「経営戦略」「人材戦略」の3つのポイントから見ていきましょう。

市場動向

一つの大きな背景として、外部環境(市場)の急速な変化が挙げられます。主な要因を3つ挙げていきます。

  • デジタルを中心とした技術の発展(DX・GX)
  • SDGs・ESG・LGBTQなど、企業の社会的な適任やソーシャルインパクトを重視する潮流
  • 新型コロナウイルスのパンデミックなどによる半強制的な社会の移り変わり

経営戦略

市場動向の変化に伴い、企業の経営戦略は「既存の枠組みにとらわれない経営の志向」が必要となってきています。既存事業においては、デジタル活用による事業改革や業務効率化が、新規事業においてはDXを念頭に置いた開発・拡大がそれぞれ必要となるでしょう。

人材戦略

市場動向と経営戦略を踏まえると、新たな価値を創造できるプロフェッショナル人材の確保が必須になっていきます。しかし、以下2つの点から人材の採用・確保は困難と言わざるを得ない状況です。

  • 圧倒的な売り手市場で、慢性的にプロフェッショナル人材が不足している
  • 企業に潤沢な予算や採用におけるストロングポイントがない限り、プロフェッショナル人材の採用を人材戦略の主軸に据えられない

つまり、新たな人材を採用するよりも、既存社員をプロフェッショナル人材へ育てるリスキリングが求められているのです。

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リスキリングに取り組むメリットとは

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リスキリングが注目される理由や必要とされる背景を踏まえたうえで、実際に取り組むメリットを紹介していきます。

人材不足の解消

前節で触れた通り、新たな価値を創造できるプロフェッショナル人材の確保は困難になりつつあります。既存の社員にリスキリングを行い、事業に必要なスキルを持った人材を育成することで、社内での人材確保が可能となります。さらに、人材不足を解消しながら採用コストの削減も期待できるでしょう。ただし、人材採用と比較して、既存社員のリスキリングには時間と相応のコストがかかります。

業務効率化

リスキリングによってデジタル技術を習得できれば社内のDX化が進み、既存業務の自動化・効率化による時間短縮やコスト削減に加え、正確なデータ分析やデータの一元管理も可能となります。業務を効率化することで、より高度で新しい業務に取り組む余裕が生まれ、さらには残業時間の減少による人件費の削減、ワークライフバランスの向上なども見込めるでしょう。

新しいアイデアの創出

リスキリングで新たなスキルを獲得することによって、既存の枠組みを超えた新しいアイデアを創出できる可能性が高まります。新たなスキルやアイデアは新規事業の立ち上げ・成長につながるだけでなく、既存事業への貢献も期待でき、企業全体の成長にもつながっていきます。

企業を理解した既存社員による新規事業への取り組み

高度なプロフェッショナル人材を外部から採用した場合でも、経営理念やパーパスなど「企業そのもの」と合わなかったり、既存業務との連携や既存社員とのコミュニケーションが円滑に進まないリスクがあります。企業文化や業務に精通した既存社員をリスキリングすることで、リスクを減らして新規事業に取り組むことが可能となります。

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リスキリングの進め方と押さえるべきポイント

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以下に挙げた5つのステップに沿って進めることで、今、企業に求められているリスキリングを進めることができます。

STEP1:対象スコープ(範囲)設定

まず、経営戦略や事業戦略から、リスキリングの対象となる職種を定めます。対象職種を重要性×必要数で象限分けして、重要性が高く、かつ必要数が多い領域の職種を対象とすることをお勧めします。限られたリソースの中で、新たな価値創出に最もインパクトの大きい職種を優先させることが重要です。

STEP2:職務/能力要件定義

対象スコープを定めたら、対象職種の職務概要を明文化し、必要な能力要件(例:小・中規模のプロジェクトマネジメントスキル)を定義します。能力要件を定義したら、各能力を学習要素レベルに細分化しましょう。能力要件に含まれる学習要素を取り入れながら研修プログラムを開発することで、効果的なリスキリングプログラム構築に役立ちます。

STEP3:研修体系構築

次に、研修体系を構築します。研修体系の構築とは、到達させたいゴールに対して、必要な研修プログラムや学習プロセスを設計することを指します。リスキリング施策を通して到達させたいゴールはSTEP2で定まっているため、各研修のゴール、ゴールから逆算した研修プログラムの開発、学習定着を促す前後施策の検討、学習の前後関係や並行関係を加味した学習プロセスの構築など、リスキリングの研修体系をチェックしていきましょう。

STEP4:研修実施

研修体系が構築されたら、スケジュールにのっとり研修を実施します。研修実施においては、講師の選定と講義の準備が極めて重要です。講師には、学習要素に精通していること、学習者の受講意欲・理解度にかなった講義を実施でき、急なトラブルにも対応できる柔軟な運営力が求められます。抜かりない準備と柔軟な運営で、STEP3で描いた絵を実現させましょう。

STEP5:効果測定・フォロー/次施策の高度化

一連のOff-JTを終えたら、Off-JTの効果の最大化・測定と、OJTのフォローを推進します。リスキリング施策を通したゴール・各研修のゴールを達成しているか測定し、足りていない部分は別途ケアをします。Off-JTの追加実施・受講環境の整備を始め、OJTを推進する現場との連携、OJTのモニタリングが手段として有効です。また、当該施策で判明した改善点や継続的に採用する点は次のリスキリング施策の高度化に向けたインプットになります。

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まとめ

この記事では、リスキリングの定義から導入、具体的な推進方法まで解説しました。リスキリングを実施することで、既存事業の改革や人材不足の解消、DX文脈を含む新規事業の開発・拡大など、さまざまなメリットが生じます。

リスキリングの実施においては、研修体系の構築と研修実施が重要なポイントとなりますが、運用に適したツールの一つとして「learningBOX」をおすすめします。eラーニングシステムのlearningBOXは、研修教材の作成配布・成績管理・受講者管理の機能がひと通り揃っています。誰でも簡単にWeb学習環境を構築できるのがおすすめのポイントです。

さらに、多彩な研修コンテンツを追加できる「KaWaL eLearning」と組み合わせれば、より研修の幅がより広がるでしょう。リスキリングの施策では、ぜひ研修コンテンツ作成の内製化に便利なサービスをご利用ください。

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※この記事は、株式会社チェンジさまのお役立ち資料を基に執筆し、同社に監修いただいたものです。リスキリングを推進しプロフェッショナル人材を育てるサービス「リスモア」を提供されていますので、記事を通じて興味を持たれた方はぜひご確認ください。

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