逆セクハラとは?問題点や職場での事例、企業の予防策を解説
セクシュアルハラスメント(セクハラ)は一般的に「男性から女性」に対する加害と思われがちですが、「女性から男性」に対する加害でも成立します。このように男性が被害者となるケースは「逆セクハラ」と呼ばれます。
特に企業では、女性の上司に男性の部下という立場の違いから生まれるケースも多く、逆セクハラへの対応が急務です。
今回は、逆セクハラの基礎知識や該当する言動の例、企業ができる予防策を解説します。男女問わず働きやすい職場環境を整備するためにも、 人事担当の方はぜひ参考にしてみてください。
目次
逆セクハラとは?
セクシュアルハラスメント(セクハラ)という言葉は耳にする機会が多いものの、逆セクハラはあまり馴染みがない方も多いでしょう。そこでまずは、逆セクハラの意味や問題点を解説します。
逆セクハラの意味
逆セクハラとは、女性から男性に対するセクハラを指します。職場では女性の上司が加害者、男性の部下が被害者となるケースが多い傾向にあります。
セクハラは性的な嫌がらせの言動の総称で、性別を理由とした差別行為であり人権問題として捉えられています。
本来セクハラは女性・男性を問わず成立するものですが、依然として「セクハラは男性が女性に対して行うもの」という意識が根強いことから、逆セクハラという言葉が生まれました。
逆セクハラの問題点
逆セクハラの問題点として「セクハラの被害者は女性である」というステレオタイプな考え方が浸透しており、被害に遭った男性が言い出しにくい環境になっている点が挙げられます。女性が自覚なく逆セクハラをしている事例も少なくありません。
また、逆セクハラは男女雇用機会均等法に抵触する可能性がある点にも注意が必要です。企業や事業主は、防止措置を怠ると厚生労働大臣から助言や指導、勧告を受ける恐れがあります。
勧告に従わないと過料が科されるだけでなく、企業名が公表され、イメージダウンにつながる恐れもあります。
【参考】 e-Gov「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」
目次に戻る逆セクハラの具体的な事例
社内での逆セクハラ被害を防止するには、企業が「どのような言動が逆セクハラに該当するか」を積極的に発信することが大切です。ここでは、逆セクハラに該当する具体的な行為を解説します。
プライベートに対する発言
プライベートに対する発言は、逆セクハラの典型例です。たとえば「彼女はいるの?」「結婚する予定は?」「休日は何をしているの?」などの発言には気をつける必要があります。
親しい間柄でないにもかかわらず、業務と無関係なプライベートに踏み込んだ発言をすると逆セクハラに該当する可能性があります。
露出度の高い服装
下着が透けて見えるトップスや胸元の開いたブラウス、丈の短いスカートなどの露出度が高い服装は、男性が目のやり場に困ると感じた場合に逆セクハラとなる可能性があります。
就業規則で男性はスーツと定められている企業でも、女性の服装は幅広く規定されているケースが多いため注意が必要です。
過度なボディタッチ
親しくない相手に体を触られると不快な気持ちになるのは男女共通です。女性から男性への過度なボディタッチは、逆セクハラと捉えられる恐れがあります。
性的な目的の有無や触る部位などは関係ありません。指導をする際は適切な距離感を保つよう注意喚起しましょう。
男性らしさを過度に求める発言
ジェンダーバイアスのかかった発言も、不快に感じる方が多い傾向にあります。
ジェンダーバイアスとは、性別に対する固定的な考えのことで「女性らしさ」や「男性らしさ」を求める言動です。たとえば、「男なのに体力がない」「男らしい態度を見せなさい」などの発言は、逆セクハラに該当します。
体型や外見に対するからかい
男性の体型や外見をからかう行為は相手を不快な気持ちにさせるだけでなく、逆セクハラと評価される恐れがあります。
「最近太った?」「白髪が増えた?」などの発言が代表例です。
逆セクハラ対策で企業ができること
最後に、企業にできる逆セクハラの対処法をご紹介します。逆セクハラをはじめとしたハラスメントが常態化すると、従業員のモチベーションが低下し、業績の悪化や人材流出などにつながる恐れがあります。
こうした事態を防ぐためにも、企業は事前にハラスメント対策を講じ、従業員に周知しましょう。
逆セクハラへの方針を明確にする
まずは、企業のトップが逆セクハラに該当する行為を許さない旨をメッセージとして発信し、対応方針を明確にすることが重要です。
男性の中には逆セクハラの被害に遭っていることを言い出しにくいと感じている方もいるため、企業が方針を示すことで安心して相談しやすくなります。
メールや社内報で発信するだけでなく、就業規則や労働協約で対応を明文化するのが効果的です。実際に逆セクハラの事案が発生した場合は、ルールの中で厳しく対処しましょう。
許されない行為をした場合にどのような処分を受けるのかが明確になり、逆セクハラの周知と抑止につながります。
相談窓口を設置する
逆セクハラが疑われる事例が発生した場合に、従業員が気軽に相談できる窓口を設置して利用を促すと良いでしょう。
相談できる場所がないと、逆セクハラに該当するかどうかを従業員が自己判断してしまい、企業が認知する頃には被害が大きくなっている可能性があります。産業医などの専門家を常駐させるのが理想的です。
また、相談窓口を設置する際は、相談者や加害者のプライバシーを保護する措置を講じ、その旨を周知しましょう。相談をした事実やその内容が社内に漏れてしまう心配があると、従業員が窓口を利用しにくくなります。
自社で対応するのが難しい場合は、外部のハラスメント相談窓口を利用するのも一つの方法です。外部の相談窓口は公的な機関のほか、社会保険労務士・行政書士・弁護士などが在籍する法律事務所が提供しています。人によっては社内の相談窓口よりも相談しやすいと感じることがあるため、トラブルの発生を未然に防ぐ上で有効です。
ハラスメント防止研修を定期的に実施する
ハラスメント防止研修とは、ハラスメントに関する正しい知識の習得と、職場でのハラスメント防止を目的として実施される研修プログラムです。定期的に実施することで組織全体のハラスメント意識が高まり、職場環境の改善が期待できます。
ハラスメント研修のプログラム策定には、eラーニングシステムの活用がおすすめです。eラーニングシステムとは、教材の作成・配信や受講者の管理、データの蓄積・分析などを一括で行うシステムを指します。
外部委託する場合と比較して研修内容を自社に最適化しやすく、より高い効果が見込めます。
逆セクハラ対策を講じて男女ともに快適に働ける職場にしよう
セクハラは「男性から女性」に対する加害と捉えられやすいものの、「女性から男性」に対する逆セクハラも存在します。一般的なセクハラと比較すると認知が進んでいないため、言い出しにくい従業員がいるかもしれません。
社内でハラスメントに関する周知をする際は、「learningBOX ON」のハラスメント研修コンテンツをご活用ください。
「learningBOX ON」は、eラーニング作成・管理システムであるlearningBOXに、企業で必須となる研修コンテンツを簡単に追加することができるサービスです。自社で内製したコンテンツと組み合わせて、オリジナルの学習コースを簡単に設計することができます。
ハラスメント研修やコンプライアンス研修のコンテンツなどを無料で利用できますので、ぜひ社内研修にご活用ください。逆セクハラ防止に向けて積極的に対策を講じ、男女問わず働きやすい職場環境を整えましょう。
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