戦力になる人材育成の方法とは?事例を挙げながら詳しく解説
会社が成長・発展していくためには、ヒト、モノ、カネ、情報などが重要な資源です。どれも大切な要素ではありますが、会社の長期的な成長のためには「ヒト」に目を向けることが非常に重要です。
その中で「社内の人材育成を、どのように進めていくべきかを知りたい」「効果的な人材育成の手法を知りたい」と考えている方に向けて、この記事では失敗しない人材育成のコツや、事例などについて解説していきます。人材育成の方法について真剣に考えている方は、ぜひ最後まで読み進めてください。
まずは人材育成を行う目的を確認しよう
人材育成を行う際には、まずその目的を明確にすることが大切です。目指すゴールがなければ、人材育成を試みても中途半端な結果に終わってしまうでしょう。
ここでは、人材育成を行う目的をいくつか紹介していきますので、自社での取り組みの参考としてください。
現場の生産性向上
人材育成の目的は、社員の意識および技術を高めることにあります。マニュアル通りに淡々と業務をこなすだけではなく、自ら能動的に動いていく人材を育成することで、会社全体の生産性向上に繋がるでしょう。
また、少子高齢化社会が進んでいることもあり、労働人口が今後も減少していくと見込まれています。企業においても人手不足が進んでいますが、一人ひとりの人材の質を高めることによって生産性を維持することができるでしょう。
自社業績の向上
人材育成は、自社業績の向上が期待できます。社員に必要な教育を施すことによって、仕事への向き合い方や、現場での行動に少しずつ変化が出てきます。考え方や行動が変われば、一日の業務の取り組み方も、これまでとは違ったものになるでしょう。その積み重ねによって現場の生産性が向上し、ひいては自社の業績アップに繋がります。
経営戦略の達成
人材育成の最終的な目標は、経営戦略の達成にあります。経営戦略を練るうちに、現状で不足している技術や業務が明らかになっていきますが、その不足している点を補うために、人材育成を継続的かつ計画的に進めていき、経営戦略の達成に貢献できる社員を育てていきましょう。
しかし、「教育→社員への定着→業績への反映→経営戦略達成」といった一連のフローは、完遂までにかなりの時間がかかります。長期的な視点を持ちつつ、早いタイミングで取り組みを進めていきましょう。
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新入社員・若手社員を育成するコツ
長期的な経営を見据えた場合に重要なのは、いかにして未来の会社を担う存在を育てていくかです。その観点から考えると、新入社員や若手社員を、どのように育てていくかのノウハウ確立が重要と言えるでしょう。
以下では、新入社員・若手社員を育成するコツを4つ紹介します。
作業を覚えさせるだけで終わらないように
新入社員・若手社員を育成する際には、目の前の作業を覚えさせるだけでなく、全体を見通して仕事を進められるように教育を施していきましょう。
戦力となる人材に育てるためには、何年も在籍することを前提とし、入社時から業務全体の流れを理解できるように指導することが大切です。
新入社員や若手社員は知識・経験が不足している状態であるため、現在行っている作業にどのような意義があるのか理解しづらい状態にあります。そのため、仕事に対するモチベーションが下がることもあるでしょう。
仕事に対する意識を向上させるためにも、毎日行っている業務にはどのような意義があるのかを、初期段階からきちんと説明することも重要です。
一人ひとりに合った指導者を割り振る
社員を育てる際には、その社員一人ひとりに合った指導を行う必要があります。内容はもちろんですが、誰が指導を行うかによっても結果は変わってくるでしょう。
指導する側とされる側には相性があり、価値観や考え方もそれぞれ異なります。新入社員・若手社員に指導をするケースにおいても「上司Aさんよりも上司Bさんの方が、相性がよく成長するスピードが早いようだ」といった事例はあるでしょう。
本人の資質に合った指導者を選定することで、成長率は大きく変わります。指導者との性格の不一致が離職の原因になることもあるため、適切な人材を選定することが大切です。
成功体験を話すのはほどほどに
これまでに自分がどのように成功してきたか、どのようなマインドをもって仕事に取り組み成長してきたのか、といったエピソードや実体験を、新入社員・若手社員に伝えることは非常に大切です。右も左もわからない入社直後においては、先輩や上司の経験は何よりも大切な情報でしょう。
しかし、その成功体験を押し付けがましく伝えるのは好ましくありません。年々社会情勢や業界動向、社内の取り組みは変化しています。自分が成功したときと現在の状況が異なるケースは多いため、まったく参考にならないこともあるでしょう。場合によっては、単なる自慢と捉えられることもあります。
成功体験を話すときはできるだけ抽象的に、様々な状況に当てはめやすいように伝えましょう。
最初からできる人はいないことを再認識しておく
指導の立場にある人にとって大切なのは、「最初から何でもできる社員はいない」という事実の認識です。特に新卒社員や経験の浅い若手社員は、即戦力になるような知識や技術を持ち合わせていないケースがほとんどです。
経験がまったくないことを前提とし、何年も在籍している社員と同じ仕事・同じクオリティを求めるのは避けましょう。長期的な視点を持って、少しずつ育成を進めていく取り組みが重要です。
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中堅社員を育成するときのポイント
新入社員・若手社員に経験を積ませて育てていくための取り組みと並行して、中堅社員に対してのアプローチも大切です。社内の中間層にしっかりと教育を施すことで、会社の基盤はより盤石なものとなるでしょう。
以下では、中堅社員を育成するポイント3つを紹介します。
直属の後輩や部下を配置する
中堅社員を一定のポジションに置く際には、これまでに関係性を育んできた直属の後輩や部下を同じ部署に配置するようにしましょう。中堅社員の育て方には様々な手法がありますが、すでに関係性ができているメンバーでチームを組むことによって、ストレートに物事を伝える力や、状況に応じた指導力を身につける効果が期待できます。
逆に、これまで関わりがなかった人材とチームを組むことで、ゼロから物事を生み出す力やコミュニケーション能力の上昇といった効果も見込まれるでしょう。
双方ともに共通するのは、指示を出す立場になることです。会社の将来的な成長も踏まえて、組織的に事業目標を達成する経験を積ませていきましょう。
ジョブローテーションの実施
中堅社員を育成するための有効な手法は、ジョブローテーションです。ジョブローテーションとは、新たな能力開発を狙いとした配置転換を指しています。この配置転換は、あらかじめ定められた人材育成計画に基づいて実施され、様々な業務を通して社内の全体像を掴む、能力開発によって新たな変革を起こすなどの効果が期待されます。
3〜6ヶ月ほどの短いスパンから、3〜5年ほどの長いスパンまで様々な形で行われますが、これにより業務全体、ひいては社内全体の流れが把握できるようになります。中堅社員は、新人社員に比べてより多くのことを経験しているからこそ、ジョブローテーションによって細かい点まで新たな発見ができる仕組みとなっています。
その他、他部署との人脈づくりにも効果的です。将来的にチームで仕事をすることになったときも、一から人間関係を構築する必要がなくなるでしょう。
責任のある立場を経験させる
中堅社員の育成に効果的な手法の一つとして、責任ある立場を経験させておく取り組みが挙げられます。新店舗の運営責任者を任せる、新事業をゼロからスタートさせるなど、その方法は様々です。
責任ある立場を経験することで、マネジメント能力や現場調整能力、上司・部下・取引先との、コミュニケーションスキルなどの向上が見込まれます。任せた事業が軌道に乗り、長期的に忙しくなる可能性も見越して、本人のポテンシャルや将来的な希望をきちんとヒアリングしておきましょう。本人がどのように成長していきたいのかを掴み、その成長を後押しするための土台を整えておくことが重要です。
また、女性社員の場合には出産・育児についても希望を聞いておき、仕事と私生活を両立できる環境をつくる取り組みを行いましょう。
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人材育成に失敗しないよう意識すること
人材育成の方法を誤ると、思ったように育たなかった、社風にそぐわない人材になってしまった、といったケースに繋がることもあります。そのため、人材育成に失敗しないためのコツを、事前に理解することが重要です。育成時に意識すべき点を、3つに分けて解説していきます。
経営陣が会社全体の達成目標を明確に示す
人材育成に失敗しないために重要な取り組みは、経営陣が会社全体として何を目指しているのかを明確にすることです。会社全体で目指していくべき達成目標が明確になっていなければ、現場レベルでは具体的に何を進めていくべきか分かりにくくなります。個々で目標を定め仕事を進めたとしても、会社全体で高い成果を得ることは難しいでしょう。
また、人材育成がうまく進まなくなったとしても、達成目標が明確であれば改善点が見つけやすくなります。目標を成し遂げるためには、どの程度の数字やスキルが必要になるのか、その数字を達成しスキルを身につけるためには、どのように成長していくべきなのかを常に探っておきましょう。ひいては、この取り組みが社員の意識統一にも繋がります。
目的・目標を設定する
会社全体の目標と並行して、社員一人ひとりに具体的な目的や目標を設定させることも重要です。個別に目標を定めることによって、日々仕事にどのように取り組み、どのように成長していくべきかの指標がはっきりと示されるでしょう。
目標を定めることで、通常業務だけでなく社内外の研修を受ける際にも、得た知識を自分ごととして受け取れるようになります。逆に目的や目標を設定していないと、「ただ話を聞いただけ」に留まってしまい、内容を覚えていない社員が出てくるケースもあるでしょう。
定期的に評価を行う
人材育成を効果的に進めていくためには、正しい方法で定期的に評価を行う必要があります。正しい評価が行われなければモチベーションが維持できず、自らが何のために仕事を行っているのかが見えにくくなってしまいます。
評価を行う際には、上司が部下に対して、あるいは先輩が後輩に対して、人材育成の目標が達成できているかを、定期的に確認するシステムを構築しましょう。必要に応じて、仕事ぶりに対するフィードバックやアドバイスを行うことも大切です。
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会社の戦力になる人材を育成する手段5選
会社の戦力となり、業績を伸ばしていく人材を育成するためには、いくつかの手段があります。社員の状態や成長度合いに応じて育成方法は異なってくるため、複数の育成手段を効果的に用いていきましょう。
以下では、OJTやOff-JTなど5つの人材育成方法を解説していきます。
①OJT(On the Job Training)
OJT(On the Job Training)とは、新入社員や業務未経験者が実務に携わりながら、業務に関わるスキルや知識を養っていく育成方法です。様々な企業で導入されており、実務に携わることによって、即戦力となる効果が期待されています。
導入にあたっては、新入社員でもすんなりと業務に入れると同時に、徐々に成長を図っていけるような体系的なプログラムを用意しておきましょう。
OJTは人材育成でよく使われる手法ではありますが、職場によっては研修中の人が放置されたり、雑用専門になったりするケースもあるようです。現場の実務をきちんと学べなければ実施している意味がないため、事前に計画を立てる取り組みが重要です。
②Off-JT(Off the Job Training)
Off-JT(Off the Job Training)は、対象者が一つの会場に集まり、一緒に講義やグループワークを受ける集合研修を指します。
一人ひとりを個別に教育するのではなく、多くの人数を対象として行われるため、知識や実技の習得を、画一的に行う際によく用いられる手法です。事前にプログラムが決められていることで、学びのクオリティが担保されつつ、必要なスキルを一度に伝えられる点は、独自のメリットでしょう。
実施にあたっては、日程や場所、講師の手配など決めるべき点が数多くあります。事前にチームを編成するなど、計画的に物事を進めていく必要があるでしょう。Off-JTで学んだ内容をOJTで活かすなど、併用して教育を施していくとさらに効果的です。
③自己啓発
自己啓発は、社員による自発的な学習を促す育成手段です。OJTやOff-JTと並んで用いられる育成方法ではありますが、決定的な違いは、会社側が強制的に学ばせるのではなく、社員が自分から進んで取り組むという点にあります。あくまでも会社側が行うべきことは、社員が自己啓発によって学びを深められるようにサポートすることです。
社員の自己啓発を促すためには、セミナーへの案内や読むべき書籍の紹介などが効果的です。会社から社員へ向けて、自己啓発を推進するための資金や時間の支援があると、よりよいでしょう。
④MBO(目標管理制度)
MBO(目標管理制度)とは、社員一人ひとりに目標を立てさせ、その目標をどれだけ達成できたかによって、人事評価を行う制度です。社員自らが立てた目標であるため、その目標を達成するために、自主的な努力や工夫を凝らしながら仕事を進めることが期待されています。
導入にあたっては、社員が立てた目標を達成していくためのサポート体制を、会社側が確立しておくといいでしょう。また、その目標の適正確認を行うために、上司や責任者が専任で教育を施すことも重要です。
ただ目標を立てるだけではなく、会社全体の目標や部門の目標と、個人の目標をどれだけリンクさせられるかについても、目を向けておくとよいでしょう。
⑤eラーニング
eラーニングは、スマートフォンやパソコンを使って学習を進めるコンテンツのことで、効率的な知識の習得を目的とした育成方法です。各企業によって様々なサービスが提供されており、導入する会社や団体が増加傾向にあります。
オンラインコンテンツであるため、受講者が場所や時間を選ばずに学習を進められる点は大きなメリットです。集合研修を行う必要もないため、社員を一度に集める手間も一切ありません。
導入にあたっては、サービスを提供している企業を複数ピックアップした上で、自社の目的や予算に合わせたものを選定しましょう。
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eラーニングシステムを導入した人材育成の事例
人材育成に有用なeラーニングシステムとして、learningBOXを導入する企業が増えてきています。以下では、導入前に企業が持っていた課題と、learningBOXによってどのように課題を解決したのかを解説します。
株式会社ヴェントゥーノ
株式会社ヴェントゥーノは、「ともに美しく生きていく」を理念として掲げており、モズクやコンブなどに含まれる、ぬめり成分を活用した健康食品や化粧品などを販売している会社です。
同社は本社とコールセンターの2拠点ありますが、まとめて研修を行う際に時間とコストがかかるという課題を抱えていました。
しかし、learningBOXを導入することで、移動時間やコストを削減して、社員の学習を推進するシステムの構築に成功しています。新型コロナウイルス蔓延前の導入ということもあり、コロナ禍にあってもスムーズに社員教育を施せる体制を事前に整えておくことが可能となりました。
一般社団法人 日本LD学会
一般社団法人 日本LD学会は、LD(学習障害)やADHD(注意欠如・多動症)、ASD(自閉スペクトラム症)などを研究し、その内容を用いた支援を進めている学術研究団体です。
同学会は研修の受講者を増やしたい、ITに不慣れな利用者がいるといった課題を抱えていましたが、learningBOXの導入によって、場所を問わずに研修を実施する体制が整いました。ITに苦手意識がある方でも使いやすく、研修への参加者や専門ライセンスの取得者が増加しています。
株式会社うぇるねす
株式会社うぇるねすは、マンション管理業界の経営力強化や人材育成をサポートしている会社です。業界を支えていくべく、独自システムを活用して人材のレベルアップを目指す取り組みなどを進めています。
同社は、「高齢者でも利用できるeラーニングを導入したい」「意欲的に学べるコンテンツを作りたい」といった課題を抱えていましたが、learningBOXの導入によって、高齢者の方でもスマートフォンを使ってスムーズに学べるようになりました。全国各地の代務員に、均一に学習機会を提供することも実現しています。
さらに、同社はWebアプリにlearningBOXを組み込み、時間・場所を問わず管理員研修を行えるeラーニングシステムを提供しています。
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eラーニングを活用して社員のスキルを伸ばそう
会社の価値を高めていくためには、会社の将来を担う人材を計画的に育てていく取り組みが重要です。人材育成には様々な手法がありますが、会社の目的に合わせて最適な育成方法を選びましょう。
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